炭酸水がブームです。
炭酸水メーカー(ソーダマシーン)が売れていますが、重曹+クエン酸で炭酸水が作れるのはご存知ですか?
手づくりの炭酸水は重曹+クエン酸の化学反応で二酸化酸素が発生するのを利用します。
家庭で簡単にできる手づくり炭酸水(500mLの炭酸水が7円で作れる!)の作り方をご紹介します。

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炭酸水とは?

炭酸水

炭酸水とは何?

炭酸飲料と言えば、コカ・コーラが有名ですが、炭酸水とは何でしょうか?

炭酸水(たんさんすい)とは、炭酸ガスを含む水のことをいう。ソーダ水・ソーダとも言われる。
特にソフトドリンクの多くでは、飲み物に清涼感を与える目的でこの炭酸ガスを原料の一つに使用し気泡を立たせる。これは炭酸飲料とも呼ばれる。
※出典:炭酸水【Wikipedia】

炭酸ガスとは何?

炭酸ガスとは気体の二酸化炭素(CO2)のことで、個体はドライアイス、液体は液体二酸化炭素、水溶液は炭酸・炭酸水と呼ばれる。
※出典:二酸化炭素~Wikipedia

炭酸水メーカー(ソーダマシーン)は水と炭酸ガス(CO2)に圧力を加え、炭酸水を製造するが、重曹+クエン酸+水で炭酸水を作る方法では化学反応を利用する。(今回のテーマ)

重曹とは何か?

重曹とは炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)のこと。
※数字は下付き文字

炭酸水素ナトリウムは苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)に炭酸ガス(二酸化炭素)を反応させて製造される。

炭酸水素ナトリウムは、別名重炭酸ナトリウム又は重炭酸ソーダと呼ばれることから、これを略して「重曹」と言う。

重曹(=炭酸水素ナトリウム)は、名前にナトリウムが入っているようにナトリウムの炭酸水素塩だ。

ナトリウムが結合していることが、重曹+クエン酸+水で作る炭酸水の味に影響する。
※これについては後述する。

食用の重曹とお掃除用の重曹の違いは?

薬局等でお掃除用の重曹が販売されている。
掃除用の重曹は弱アルカリ性の為、油汚れや湯垢、手あかなどの酸性の汚れを落とすのに使われる。

さらに、調べてみると、薬局方の重曹もあった。

何が違うのだろうか?
掃除用の重曹を食用に使っても良いのだろうか?

・薬局方(=薬として使う)
・食用・食品添加物
・掃除用(=工業用)

これらの違いは純度や粉の粗さの違いにあった。

掃除用 < 食用 < 薬局方
の順に精製度が上がり不純物が取り除かれる。

又、精製度が値段にも反映され、
掃除用 < 食用 < 薬局方
の順に値段が高くなる。

100均のダイソーで掃除用重曹が販売されているが、安いのには理由がある。
「掃除用を食用に用いても害はない」という意見もあるが,
「掃除用重曹は食用に用いないのが無難だ。(絶対ダメという意見あり)。

炭酸水を作る時も食用重曹を使う。

重曹とベイキングパウダーの違いは?

パン

重曹=タンサン=ふくらむ⇒ふくらし粉⇒ベイキングパウダーというイメージが浮かぶが、重曹とベイキングパウダーは同じなのだろうか?
違うとしたらその違いは何?

重曹=ベイキングパウダー?

重曹は英語でbaking soda(ベイキングソーダ)とも呼ばれ、ベイキングパウダーの主成分は重曹だ。

重曹は水を加えて加熱すると、炭酸ガス(二酸化炭素)が発生する。
これを利用してパン等の生地を膨らませるのに利用される。

しかし、重曹をそのままでは、生地を黄色く色づけ、独特の臭いと苦味がある。
これは炭酸ガスと共に生成される炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)が原因。

ベイキングパウダーとは?

これを改良したのがベイキングパウダー。
色や味への重曹の影響が少なくなるよう、重曹にクエン酸等を加え少量の重曹で効率よく炭酸ガスが発生するように工夫したのだ。

かと言って、重曹がパンを焼く時に不要かというとそうではない。
色を付けたい等(例:どらやき)の時は重曹、そうでない場合(例:シフォンケーキ)はベイキングパウダーと使い分けると良い。

クエン酸とは何か?

掃除用重曹は油汚れ等を落とすのに使われるが、掃除用クエン酸は水回りの”白い汚れ”を等を落とすのに使われる。

また、レモン果汁等に含まれるクエン酸は疲労回復・軽減の効果があり、味もさっぱりするので、自家製スポーツドリンクに入れることが多い。
糖分控えめ熱中症対策用スポーツドリンクの作り方[簡単]

しかし、自家製炭酸水にクエン酸(食用)を使うのはあくまで化学反応を起こすためのもの。
※掃除用と食用のクエン酸の違いは、掃除用重曹と食用重曹の違いと同じ。

クエン酸の化学式はHOOC・CH2・COH・COOH・CH2COOH(C6H8O7)。
※数字は下付き文字

果物の酸味の成分で、水に溶けやすく、水溶液はpH2.1(2%、20℃)の酸性。

レモン(果汁)とクエン酸は同じ?

クエン酸は果物の酸味の成分。

例えば、レモン果汁100g当たり6.5gのクエン酸を含んでおり、レモンのクエン酸含有量は食品の中でも飛び抜けて多い。

レモン

重曹+クエン酸+水で炭酸水が作れる理由

重曹+クエン酸+水で炭酸水が作れるのはその化学反応の為。
理科の実験の材料だ。
自由研究の題材にする人もいると聞く。

重曹+クエン酸で炭酸水が作れる化学反応式は以下の通り。
※化学式の先頭以外の数字は下付き文字
※水は溶媒で化学反応しない。

化学反応式は次の種類があった。
いずれも先頭はクエン酸(C6H8O7)になっている。

■C6H8O7+3NaHCO3→ Na3C6H5O7 + 3CO2 + 3H2O

■C(OH)(CH2COOH)2COOH +3(NaHCO3)→Na3C(OH)(CH2COOH)2COOH +3CO2+3H2O

内容はいずれも同じ。以下の反応が起きている。

クエン酸(C6H8O7)+重曹(3NaHCO3)→クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7 )+二酸化炭素(3CO2)+水(3H2O)

重曹+クエン酸+水で炭酸水を作る方法

重曹+クエン酸で炭酸水が出来る仕組みが分かったので、実際に炭酸水を作ってみよう。
作り方は簡単だ。

用意するのは以下のもの

  • 冷たい水500mL
    ※水は水道水だと塩素が含まれているので、一度沸騰させるか、ミネラルウォーターを使うとベター。
  • 500mlペットボトル(キャップもペットボトルも炭酸飲料用を使う事)
  • 食用クエン酸 小さじ1杯(約5g)
  • 食用重曹 小さじ1杯(約5g)

[追記]
炭酸水を作る時の重曹とクエン酸の割合はネットでは1:1で美味しい炭酸水ができると紹介されることが多いので上記の分量を紹介した。
※1:3が理想的と紹介している記事もあったが、これは以下の様に1:1.3の間違いだろう。

上記の化学反応式のmol質量を調べたところ、クエン酸と重曹の理想的な割合は1:1.3だということ分かった。

手づくり炭酸水の炭酸ガス濃度は?

理論上は、クエン酸1、重曹(炭酸水素ナトリウム)1.3を混ぜ合わせた時に発生する炭酸ガスの量は0.6875である。

クエン酸が5gの場合、発生する炭酸ガスの量は3.4375g

500mLで3,435㎎なので1L換算では6,870㎎。

日本の温泉法上では250ppm(1Lに250㎎の炭酸ガスを含む)以上の温泉を炭酸泉と呼ぶので、手づくり炭酸水はかなり高濃度と言える。
※炭酸泉について詳しくは⇒炭酸泉(温泉)とは?自宅で高濃度炭酸泉の作り方[機械編]

重曹(炭酸水素ナトリウム)+クエン酸を使って炭酸水を作る作り方

1.冷たい水500mLを入れたペットボトルにクエン酸5gと重曹6.5gを入れる。
2.素早くキャップを締めてから、良く振って混ぜる。
3.しばらく冷蔵庫にいれて、反応が完全に終わるまで待つ。
※この時、キャップを下にして置くと、キャップの隙間から炭酸ガスが逃げるのを最小限に抑えることが出来る。
※お好みでレモン果汁やシロップを入れる。
[追記]
クエン酸と重曹とでは溶解度が異なるので、クエン酸をまず入れ振って良くかき混ぜる。その後、重曹を入れる、といった順番の方が良さそうだ。

重曹+クエン酸を使って炭酸水を作る時の注意点

水は予め充分に冷やしておく

これは個体(=重曹+クエン酸の粉末)は温度が高い程、溶けやすいが、気体(=二酸化炭素)は逆に溶けにくい。
故に、良く冷えていない水を使って化学反応を起こすと、二酸化炭素はすぐ発生し、かつ抜けてしまう。

水温が低いほど気体のCO2は水によく溶けるので、炭酸がきつくなる。

冷えていない炭酸飲料は炭酸が弱く感じられるのと同じ。

ペットボトルはキャップも炭酸飲料用を使う

炭酸飲料用でないと、炭酸がペットボトルの隙間等から抜けてしまう。

重曹+クエン酸で作る炭酸水の問題点

重曹+クエン酸+水で家庭で簡単に作れる炭酸水の作り方を紹介した。
ただ、この方法は1つ問題点がある。

それは化学反応でクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7 )が生成されること。
クエン酸ナトリウムは塩なので、多少しょっぱくなる

ではどれくらいの塩(ナトリウム)が含まれるか?

重曹+クエン酸で作る炭酸水に含まれる塩分の量

重曹の化学式はNaHCO3で、mol質量は84mol。
内、ナトリウムのmol質量は23/mol。

炭酸水を作る時に5gの重曹を使うと、そこに含まれるナトリウムの量は、
5g×23/84×3=約0.456g

ナトリウム量を食塩量に換算する計算式は、
ナトリウム量(g)×2.54=食塩相当量(g)なので、
0.456g×2.54=約1.16g
となる。
※計算式について詳しくは⇒スポーツドリンクは薄める?薄めない?その理由と効果は?

※参考:腎臓病患者の目安は1日3~6gが理想とされている。

重曹とクエン酸で作る炭酸水のコスパは?

重曹とクエン酸で作る炭酸水のコストは、重曹とクエン酸のみ。
※水は水道水を使うと仮定。

前述の重曹とクエン酸の楽天市場での購入価格は以下の通り。
※記事投稿時点

重曹:1kg入り630円 だと6.5g当たり4.095円(税込)
クエン酸:950g入580円 だと5g当たり3.05円(税込)

500mLの炭酸水を作るのに必要な重曹とクエン酸の値段の合計は約7.145円。
約7円で500mLの炭酸水を作ることが出来る。
勿論、作る手間はあるが、炭酸水は安くても70円位はするので1/10しかかからないのはコスパが良いと言えるのではないだろうか?