炭酸風呂は炭酸ガスが溶けたお風呂のことですが、炭酸ガス(二酸化炭素)には血管拡張作用があり、様々な効果が確認されています。
炭酸ガスがお湯1L中250ppm以上溶けた温泉を炭酸泉と呼び、1000ppmだと医学的効果が高いとされています。
炭酸風呂・炭酸泉の効果効能とデメリット&炭酸風呂の作り方を徹底解説します。
炭酸風呂の効果は炭酸ガスの濃度に依存
炭酸水は水に炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けた飲料ですが、炭酸風呂は炭酸ガス(二酸化炭素)が溶けた風呂のことです。
日本の温泉法では、温水に炭酸ガスが250ppm(1Lに250㎎)以上溶けたものを炭酸泉と定義しています。
その中でも1000ppm以上の高濃度の炭酸泉は療養泉といって、医学的にも効果が期待できるとされています。
※炭酸泉について詳しくは⇒炭酸泉(温泉)とは?自宅で高濃度炭酸風呂の作り方[機械編]
入浴すると体が温まり血行が良くなりますが、炭酸風呂(温水)には以下の効果があります。
炭酸風呂に入ると、皮膚を通じて組織(筋肉や血管など)に炭酸ガスが吸収されます。
細胞の中が炭酸ガスが溢れると、酸素を増やすために、血管が拡張し、普通の入浴以上に血流が増え、血行が良くなります。
炭酸風呂で血管が拡張するのは水道水の風呂と違って温度によるものではない、ことが明らかになっています。
血行が良くなることで様々な体の不調が改善される可能性があります。
※但し、その効果は炭酸ガスの濃度によります。
では、具体的に炭酸風呂の効果について見ていきましょう。
炭酸風呂の効果~新陳代謝が良くなる?
炭酸風呂で血管が拡張し、血流が増えるということは、酸素が増えて細胞が活性化し、新陳代謝が良くなることにもつながります。
新陳代謝が良くないと、、疲れやすくなったり、体調不良の原因になります。
逆に、新陳代謝が高まると、細胞の再生力が高まり、傷やケガ、病気の快復も早くなります。
炭酸風呂の効果~高血圧が改善?
ドイツでは炭酸泉は「心臓の湯」と呼ばれています。
それは、炭酸泉が心臓疾患や高血圧の治療に有効と確認された為です。
その理由は、血管が拡張して血流が増えることで心臓への負担が軽くなるからです。
お湯に入った直後は、水圧の影響で心臓への負担が少し増えますが、しばらく経つと温熱によって末梢血管が拡がる為、血液を送り易くなって血圧が下がり、心臓への負担も軽くなります。
さらに、炭酸風呂には抹消血管を拡張させる効果があります。
結果、沢山の血液が全身に送ることができ、また血管にかかる圧力も軽くなって血圧は下がってきます。
[ポイント]
血圧が下がるのは炭酸泉に入った時だけで、出ると血管は収縮し、元の状態に戻る為、普段の血圧は高いままになります。
研究によると、高血圧を改善するには炭酸風呂の長期連浴がポイントだそうです。
[注意]
長くお湯につかっていると血圧が下がり過ぎ、立ちくらみが起こす危険があります。
高血圧の人が入浴する時は、熱いお湯を避け、長湯しないように心がけることが必要。
炭酸風呂の効果~冷え症・むくみが改善?
炭酸には抹消血管を拡張する作用があります。
全身の炭酸入浴はもちろん、手足を炭酸温水に浸けるだけの部分浴でも末梢血管が広がって血流を良くし、冷え症の改善に効果的に働きます。
※炭酸部分浴については後述します。
そしえ、冷え症の人に多く見られるのが「むくみ」です。
末梢の血液や体液の循環が悪くなることで、末梢の余分な水分が皮下組織に溜まって「むくみ」を引き起こします。
従って、冷え症とむくみは密接な関係があり、これらを改善するには血流を促し、体温を上げることが大事です。
炭酸入浴で体温を挙げれば、冷え症とむくみを同時に改善することが期待できます。
炭酸部分浴の効果
全身浴に比べれば、体の一部分だけをお湯に浸かる部分浴では、体温の上昇はわずかです。
それでも炭酸による部分浴は、水道水のお湯に比べて体温が上昇しやすくなることが、実験で確認されました。
そして、炭酸による部分浴で浸かっている部分の皮膚だけ赤くなります。
これは血管が拡がるのが全身ではなく、炭酸に浸かった部分だけだということを示しています。
炭酸の健康効果は、部分浴でも得ることが出来ます。
これなら自宅で簡単に試せる上、心臓に負担がかからないので、高齢者や循環器系の疾患のある人でも実践が可能です。
まだある炭酸風呂の効果
炭酸は皮膚から浸透して血流を促進することで、床ずれや切り傷、火傷、皮膚潰瘍といった皮膚の疾患を改善したり、神経痛やリウマチによる痛みを和らげたり、肩こりや腰痛を改善するなど、様々な症状に効果を発揮しています。
また、スポーツ分野ではアスリートたちの筋肉疲労の回復に一役買い、美容分野では美肌づくりやヘアケアに効果的だとして女性の間でブームになるほど人気を集めています。
炭酸風呂のデメリット
健常な人も高血圧の人も入って問題のない炭酸風呂ですが、「自律神経障害を伴う疾患」を抱えている患者さんの場合は、危険ですから注意が必要です。
例えば、パーキンソン病やシャイドレガー症候群の患者さんの場合です。
炭酸風呂には血管を拡張して血流を増やす作用があるため、上記の病気の様に自律神経に障害があると、血圧はストッパーが効かなくなって下がり続けてしまいます。
血圧が下がり過ぎると、脳血流低下や立ちくらみ、めまいを起こし、浴室で倒れてしまうこともあり大変危険ですから、「自律神経障害を伴う疾患」を抱えている患者さんは炭酸風呂の入浴はお勧めできません。
また、健常の高齢者でも約5%の人に、自律神経機能の低下から、同じように血圧が下がり続けることがあります。
炭酸風呂に入っても問題がないかどうかは、日頃の入浴で立ちくらみやふらつきが起こることがあるかどうかを判断の目安にして下さい。
自宅で炭酸風呂の作り方
炭酸風呂の効果は濃度が高いほど皮膚から吸収される炭酸が増え、体に生じる変化は大きくなります。
しかし、0よりは1でも炭酸が入っているお湯に浸かった方が効果はあり、毎日のことですから健康維持に役立ちます。
炭酸泉と呼ぶには日本の温泉法上は1Lのお湯に炭酸ガスが250ppm以上溶け込んでいなければなりませんが、これはあくまでも炭酸泉の基準であって、炭酸風呂を自宅で楽しむこととは別問題です。
自宅で炭酸風呂を作るには以下の方法があります。
市販の炭酸入浴剤を使う
市販の炭酸入浴剤でも、1個で100~150ppmくらいの炭酸濃度が得られますから効果はあると言えるでしょう。
※参考⇒炭酸入浴剤の効果&市販の厳選7種を徹底比較!無添加・高濃度炭酸入力剤のおすすめは?
人工炭酸泉装置(機械)を使う
炭酸泉は1Lのお湯に炭酸ガスが250ppm以上溶け込んだ温泉ですが、治療効果を得るには、1000ppmという高濃度の炭酸ガスが必要です。
人工炭酸泉とは、お湯に機械で炭酸ガスを溶け込ませ、人工的に高濃度の炭酸泉をつくるもので、医療等の現場で利用されています。
しかし、近年、家庭用のコンパクトな人工炭酸泉装置も販売されています。
おすすめは、フジデノロの「B-da(ビーダ)」という製品です。
一般的な入浴環境で1000ppmの炭酸ガス濃度のお湯ができる機械です。
▶詳しくは⇒自宅用人工炭酸泉装置(機械)
市販のペットボトルの炭酸水を使う
一番手軽にできるのが、市販のペットボトルの炭酸水(500mL)を使う事です。
※使うのは無糖、無味、無香料の炭酸水です。
但し、高濃度の強炭酸水がおすすめです。
何故なら、ペットボトルの炭酸水はキャップを開けると炭酸(二酸化炭素)がドンドン抜けていくからです。
手づくり炭酸水を使う
クエン酸と重曹で手作りの炭酸水ができます。
▶手作りの炭酸水作り方は⇒炭酸入浴剤の効果と手づくり炭酸入浴剤の作り方を分量例示で徹底解説!
[炭酸水の使い方]
- 市販のペットボトルの炭酸水を使用する時は、栓をしたまま40℃程度の湯せんにかけるのがポイント。
- 湯せんをして40℃にした炭酸水を洗面器やバケツに入れ、手や足を浸ければ十分効果が得られます。何故なら、1000ppmくらいの炭酸ガスが、栓を抜いてもまだ残っているからです。顔を浸ければ美肌効果が、頭にかければヘッドスパとしてヘアケアにも利用できます。
- 入浴に利用するには大量の炭酸水が必要になってコストがかかりますので、炭酸入浴剤のお湯に、炭酸水をプラスして入るのも一つの方法です。
- また、普通に入浴する際、炭酸水のペットボトルを浴槽で温め、お風呂から出てから、寝る前に温まっている炭酸水で足湯をしてから寝ると、足の血行が良くなって安眠できるようになります。
炭酸風呂で効果を得るための注意点
炭酸ガスは不安定なので、ちょっとしたことで炭酸が抜けてしまいます。
炭酸風呂に入る時は以下の点に注意しましょう。
炭酸入浴の基本は「ぬるま湯の長湯」。炭酸風呂は通常のお湯より2度程温かく感じるので、このくらいの温度でも十分です。浸かる時間は15分くらいです。
炭酸風呂に入浴する時はジェットバスや追い炊きはNG。炭酸風呂はあまり激しくバシャバシャせず、静かにゆっくり浸かりましょう。炭酸の気泡が消えても効果は変わりありません。
炭酸風呂から出たら、パジャマや服を着用
炭酸水は気化しやすい性質の為、水道水より早く気化します。
その上、末梢血管が広がって血流が増えているので、より体温を奪われ冷えやすくなります。
そこで、保温の為には炭酸入浴をした後は、しっかりと水滴を拭き取り、すぐにパジャマや服などを着るようにしましょう。