スポーツドリンク(飲料)は糖分(砂糖)が多く含まれているので飲み過ぎると糖尿病になるリスクがあります。
それ以前に「太る」可能性が大です。
スポーツドリンクに含まれる糖分の量は?
スポーツドリンクをどれだけ飲むと飲み過ぎになる?
スポーツドリンクの飲み過ぎで糖尿病にならない為の飲み方、対策をご紹介いたします。

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スポーツドリンクを飲み過ぎると糖尿病になる?

医師問診

スポーツドリンクには糖分が結構含まれているので、に見過ぎると”太る”、”糖尿病になる”という話があるが、本当なのだろうか?

ペットボトル症候群という病名がある。
スポーツドリンク、清涼飲料水などを大量に飲み続けることによっておこる急性の糖尿病だ。

Wikipedia~ペットボトル症候群

問題はその理由だ。
何故、スポーツドリンクを飲み過ぎると糖尿病になるのか?

それは、市販清涼飲料水(ここでは以下スポーツドリンクと表現する)にはかなりの糖質が含まれているためだ。

糖質の摂り過ぎは糖尿病の原因になるので、「スポーツドリンクを飲み過ぎると糖尿病になる」のは自明の理だ。

それでは、どれくらい飲めば”飲み過ぎ”となるのだろうか?

スポーツドリンクの栄養成分~糖分の量比較

ここで、私が普段飲んでいる粉末タイプ(1L用)のスポーツドリンクの原材料名及び栄養成分を比較してみる。
※ポカリスエットは72g、スポーツドリンクパウダーは49g。

原材料名比較

ポカリスエットスポーツドリンクパウダー
砂糖、ブドウ糖、粉末果汁、デキストリン、食塩、酸味料、ビタミンC、塩化K、調味料(アミノ酸)、乳酸Ca、香料、炭酸Mg糖類(砂糖、ブドウ糖)、食塩、根昆布エキス末、蜂蜜パウダー、酸味料、香料、二酸化ケイ素、食塩K、乳酸Ca、甘味料(アスセルファムK)、ビタミンC、ロイシン、バリン、ロイシン

栄養成分表示比較

ポカリスエットスポーツドリンクパウダー
エネルギー288Kcal196kcal
炭水化物72g49g
ナトリウム520㎎510㎎
カリウム227㎎120㎎
カルシウム23㎎86㎎
マグネシウム6㎎

ポカリスエットはスポーツドリンクパウダーに比べて、炭水化物(=糖分)及びエネルギーが約1.5倍。
炭水化物=エネルギーと考えてほぼ間違いないので当然だろう。

内容量に占める糖分(=炭水化物)の割合は、約97%と96%で差はほとんどない。
これを見る限り、スポーツドリンクは糖分の塊と言って良いかもしれない。

ナトリウム(=塩分)はほとんど変わらない。

次に問題になるのは、糖分(砂糖)の1日の摂取目安量はどれくらいかということ。

糖分(砂糖)の1日の摂取目安量

[st-kaiwa1]スポーツドリンクに含まれる糖分は多いの?少ないの?どれくらいで摂り過ぎになるの?[/st-kaiwa1]

WHOの推奨する砂糖の1日目安量は?

世界保健機関(WHO)は砂糖などの糖類を一日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべきだとする新指針を発表した。(2015年4月)
※5%だと平均的な成人の場合、約25gの糖分(砂糖ティースプーン6杯分)になる。

従来は10%までと推奨していたが、各種の研究結果から基準を引き下げた。

もっとも、WHOが摂取量の制限を推奨するのは、糖質の内の砂糖等の糖類のみ。
※炭水化物、糖質、糖類の違いについては後述する。

このことで、砂糖業界等からは反発が出たらしい。

1日に必要なエネルギー量は?

まず、1日に必要なエネルギー量(=摂取カロリー)はどれくらいなのか?

農林水産省のHPによると、一日に必要なエネルギー量と摂取の目安は性別・年齢・身体活動量で異なるとある。

一日に必要なエネルギー量と摂取の目安:農林水産省

活動量の少ない成人女性(12歳~69歳)の場合は、1400~2000kcal、活動量の少ない男性(12歳~69歳)は2200±200kcal程度が目安(基本形)になっている。

「活動量の少ない」の内容の説明はないが、事務仕事で普段、運動をしないというイメージだろうか?

分類では、「身体活動量が低い」の上は「身体活動量が普通以上」しかない。せめて「普通」の内容について記述があれば理解しやすいのだが。

ここでは男性を例に計算してみる。
※砂糖を一日に摂取するカロリーの10%未満で想定

2200+200kcal=2400kcal×10%=240kal

スポーツドリンクのエネルギー量

前述の粉末タイプのスポーツドリンクのエネルギーは以下の通り。
ポカリスエット:288Kcal
スポーツドリンクパウダー:196kcal
※いずれも1L用

ポカリスエットでは約830ml、スポーツドリンクパウダーでは約1224mlでWHOの10%基準を超える。

もっとも、砂糖はスポーツドリンクだけでなく、食品や調味料等にも含まれているので、スポーツドリンクで摂取可能な量はもっと少なくなる。

5%基準だとこの半分。
ポカリスエットでは約415ml、スポーツドリンクパウダーでは約612ml。

ポカリスエットの飲み過ぎに関する大塚製薬の見解

ポカリスエットの飲み過ぎに関して製造元の大塚製薬はどう考えているのだろうか?
HPにQ&%Aがあった。

Q.ポカリスエットを飲みすぎたら糖尿病になりますか?
A.ポカリスエットが、直接糖尿病の原因になることはありません。糖尿病の発症要因はさまざまです。ポカリスエットは糖分と塩分を含む清涼飲料水で、100mlあたり約25kcalです。糖尿病の心配がある人は、ポカリスエットの飲用だけを問題にするのではなく、食生活を含めた生活習慣全般にわたって医師や専門家とのご相談をお勧めします。
(引用:ポカリスエットを飲みすぎたら糖尿病になりますか?

[st-kaiwa1]「100mlあたり約25kcal」というのは本当?[/st-kaiwa1]

粉末タイプ[1L用]のポカリスエットのエネルギーは288Kcal。
100mlあたり約29kcalになる。
「100mlあたり約25kcal」というのはドリンクタイプのことだろうか?

いずれにしても、回答が不親切。
質問者は「飲み過ぎた」場合を聞いているのだが・・・。

Q&Aに以下のものもあった。

Q.ポカリスエットは1日にどのくらい飲んでもいいですか?
A.お飲みいただく量の制限は特にありません。塩分や糖分を含むので肥満や高血圧などで食事の制限などを受けている場合には、制限を考慮のうえ、ご利用ください。
(引用:ポカリスエットは1日にどのくらい飲んでもいいですか?

まあ、ポカリスエットは清涼飲料水なのでこう答えるしかないのは分かるが、質問者が納得のいく回答ではない。

尚、炭水化物、糖質、糖類、糖分の違いについては、次の項で取り上げる。

炭水化物、糖質、糖類、糖分の違いは?

上記では、2つのスポーツドリンク(粉末タイプ)の内容を比べてみた。
その時出てきたのが、「原材料名」には砂糖、ブドウ糖、「栄養成分表示」には炭水化物。

さらに、「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」「糖分控えめ」を謳った商品が販売されている。

[st-kaiwa1]炭水化物、糖質、糖類、糖分の違いは何?砂糖はどこに分類されるの?[/st-kaiwa1]
これについて詳しく解説した記事を発見。
「管理栄養士がわかりやすく解説」とあるので信用おけるだろう。
内容をまとめてみる。

メモ

炭水化物=糖質+食物繊維

ただし、炭水化物中の食物繊維の割合は低いため、炭水化物=糖質と考えて良い。

メモ

糖質は、①糖類、②多糖類、③糖アルコール、④その他の4つで構成される。

各々の具体的な内容は以下の通り。

①糖類:二糖類(砂糖、乳糖、麦芽糖)、単糖類(ブドウ糖、果糖)
②多糖類:オリゴ糖、デキストリン、でんぷん
③糖アルコール:キシリトール、マルチトール
④その他:アスセルファムK、スクラロース

※参照:炭水化物・糖質・糖類・糖分の違い | 管理栄養士がわかりやすく解説

炭水化物は加工していない食品(サツマイモ等)、糖質は食品を加工したものと考えると良いのかもしれない。

じゃがいも⇒でんぷん
サトウキビ⇒砂糖
てんさい⇒オリゴ糖

そして、精製度の高い順番に並んでいる。
炭水化物<糖質<糖類

精製するたびに、微妙な栄養素が失われていく。

[st-kaiwa1]それはそうと、糖分の説明がないね?[/st-kaiwa1]

糖分に関しては前述の記事に以下の記述があった。

実は「糖分」には明確な定義がありません。(中略)正しい意味を伝えたい場合には、「糖分」は使わない方が良いですね。

[st-kaiwa1]いや~恥ずかしい。今まで「糖分」という言葉を使ってた。[/st-kaiwa1]

ただ、Wikipediaにも「糖分」という表現があった。
何をどう考えるかは専門家(例:医師)によっても異なる。

専門的には「糖分」という言葉に明確な定義がなくても、世間一般では「糖分」という言葉を使うことが多いので、当ブログでも、「糖分」という言葉を使う事にする。
※糖分=糖質と考えれば良いのではないか?

さて、炭水化物・糖質・糖類・糖分の違いがスッキリ分かったところで、改めて前述の粉末タイプのスポーツドリンクの原材料名を見てみると、しっかり”糖分”が含まれている。

糖尿病リスクを高める糖質の1日摂取量は?

WHOが推奨する砂糖の1日摂取量の基準を取り上げたが、WHOは砂糖の摂り過ぎと「糖尿病」の関係については言及していない。

「肥満や虫歯を予防するために、砂糖などの糖類を一日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべき」と言ってるに過ぎない。
但し、「肥満」も「糖尿病」もカロリーオーバーなのには違いない。

ここでは、WHOの基準も「糖尿病」リスクの1つと考えることにする。

では、砂糖を毎日どれくらい摂取すると「糖尿病」リスクは高まるのだろうか?

1日に必要なエネルギー量から考えてみたい。

1日に必要なエネルギー量

前述の「一日に必要なエネルギー量と摂取の目安:農林水産省」から計算してみる。

活動量の少ない成人女性(12歳~69歳)の場合は、1400~2000kcal、活動量の少ない男性(12歳~69歳)は2200±200kcal程度が目安(基本形)

厚生労働省から5年ごとに発表している「日本人の食事摂取基準」では、1日に必要な炭水化物は50~60%。
※炭水化物には食物繊維が含まれるが微量なので炭水化物=糖質と考えて良いだろう。

●女性:1400~2000kcal×60%÷4kcal=210~300g

●男性:2000~2400kcal×60%÷4kcal=300~360g

計算すると結構な量になった。

サツマイモで換算すると・・・

サツマイモ100gには糖質が29.7g含まれる。
ということはサツマイモのみで考えると700g~1200g。

サツマイモ中程度の1本の重さは300~400gなので、約2本~4本になる。

サツマイモ

砂糖の1日摂取目安量[WHO基準]

一方、WHOが推奨する砂糖の1日摂取量の基準(10%・5%)だと1日に摂取量は以下になる。

●女性:1400~2000kcal×10%÷4kcal=35~50g(17.5~25g)

●男性:2000~2400kcal×10%÷4kcal=50~60g(25g~30g)

男女とも1日のエネルギー量が2000kcalの場合、砂糖の1日摂取量は25gとなる。
ここが大まかな目安と考えて良いだろう。

ポカリスエットの1日目安量

ポカリスエット(粉末タイプ)1L用には炭水化物が72g含まれる。原材料名を見る限り、その大半は砂糖だと考えて良いだろう。
5%基準だと1日350ml、10%基準だと700m以上飲むとをWHOが推奨する砂糖の1日摂取量をオーバーする。
※もっとも、スポーツドリンク以外に食べ物等にも砂糖が使われているので、実際はもっと少なくなる。
※あくまでも目安です。個人差があります。

スポーツドリンクの飲み過ぎで糖尿病にならない為の飲み方[結論]

スポーツドリンクには糖質(砂糖等)が結構含まれている(500mlで25g以上)ので、飲み過ぎると糖尿病になるリスクが高い。
※糖質(砂糖等)の摂り過ぎが糖尿病のリスクを高めることは自明の理。何もスポーツドリンクに限ったことではない。

糖尿病にならない為のスポーツドリンクを飲む時の対策は以下の通り。

  • 糖分なし(ゼロ)のスポーツドリンクを飲む。
    ※糖分なし(ゼロ)とは人工甘味料のことを言うが、人工甘味料には問題がありそうだ。
  • 糖分が少ない(糖分控えめ)スポーツドリンクを飲む。
  • 1日に飲むスポーツドリンクの量を抑える。
    糖分の1日摂取目安量は個人差がある。またスポーツドリンクによっても含まれる砂糖等の量が異なる。
  • スポーツドリンクを薄めて飲む。⇒スポーツドリンクは薄める?薄めない?その理由と効果は?
    ※但し、薄めて飲んでも飲み過ぎると同じ。
  • 自家製スポーツドリンクを作る。
    スポーツドリンクの飲み過ぎが問題になるのはそこに含まれる砂糖の量。
    自家製スポーツドリンクでは砂糖の代りにブドウ糖、蜂蜜等を使うことができる。⇒糖分控えめ熱中症対策用スポーツドリンクの作り方[簡単]