リノール酸はヒトの体に欠かせない必須脂肪酸です。
リノール酸の効果効能[肌]は?
過剰摂取による副作用の危険性は?
多く含む食品は?
リノレン酸、オレイン酸との違いは?
リノール酸の1日推奨摂取量は?効果的な摂り方は?
リノール酸とリノレン酸との摂取割合は4対1?
リノール酸に関する疑問をわかりやすく解説します。

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リノール酸とは何か?

リノール酸(lionleic acid)とは、不飽和脂肪酸の1種。
n-6系(オメガ6)の多価不飽和脂肪酸で、ヒトの体内では合成されない必須脂肪酸です。
※必須脂肪酸は体外から摂取する必要があります。リノール(lionleic)はギリシャ語で亜麻のlinonと油のoleicに由来。
oleicは、オレイン酸(oleic)の由来でもあります。ヒトを含めた動物の体内では、アラキドン酸からアラキドン酸カスケードと呼ばれる生体反応を経てプロスタグランジンなどの生理活性物質の原料となるほか、細胞膜の膜脂質として多く見られます。
参照:Wikipedia~リノール酸

不飽和脂肪酸とは?

サラダ油

脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

飽和脂肪酸は、乳製品、肉などの動物性脂肪や、ココナッツ油、やし油など熱帯植物の油脂に多く含まれています。
常温では固体として存在します。

一方、不飽和脂肪酸は、魚類や植物油に多く含まれ、常温では液状で存在します。

不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、さらに多価不飽和脂肪酸には、n-3系脂肪酸(オメガ3)、n-6系脂肪酸(オメガ3)などの種類があります。
[関連記事]オメガ3脂肪酸とは?効能・摂取量・多い食べ物・油・食べ方を徹底解説!

リノール酸はn-6系脂肪酸(オメガ3)です。

オレイン酸とは?

オレイン酸は一価不飽和脂肪酸です。
オレイン酸はオリーブ油に多く含まれます。
[関連記事]オリーブオイルとは?種類・大さじ1のカロリー・糖質を徹底解説!

アラキドン酸とは?

アラキドン酸(Arachidonic acid)は、リノール酸と同じく、不飽和脂肪酸の1種で体内で合成されない必須脂肪酸です。

アラキドン酸はリノール酸を原料として体内で合成されます。

アラキドン酸は細胞膜中のリン脂質として存在し、中でも脳に多く含まれます。
[関連記事]リン脂質とは何?脂質二重層とは?リン脂質の種類・働き・多く含む食品

アラキドン酸は生理活性作用を持つため、リノール酸を摂取すれば免疫力や記憶力、認知力、血液凝固作用や炎症作用などの効果も得られるとされています。
生合成過程や体内での作用はアラキドン酸カスケードと呼ばれます。

リノール酸の効果効能

リノール酸には以下の効果効能が期待できます。

●総コレステロール値や中性脂肪値の低下効果
●心筋梗塞の予防効果
●美肌効果
●髪のパサつき・抜け毛予防効果

総コレステロール値や中性脂肪の低下効果

適量のリノール酸を摂取すると「総コレステロール値やLDLコレステロール値が低下する効果が期待できます。

心筋梗塞の予防効果

総コレステロール値や中性脂肪値が低下することで、心臓病の予防につながる効果が期待できます。

美肌効果

リノール酸は、肌の保湿や、ニキビなどに対する局所的な抗炎症作用など肌に良い性質を持ち、化粧品にも使われてます。

また、リノール酸の工業的用途としては、石鹸や乳化剤などの製造に用いられています。

髪のパサつき・抜け毛予防効果

リノール酸が不足すると、髪のパサつきや抜け毛などのほか、創傷の治癒の遅れ等の可能性があります。

リノール酸の副作用の危険性

リノール酸の過剰摂取による副作用の危険性には以下のものがります。

●アレルギー性炎症疾患のリスク増大
●大腸がん・乳がん・前立腺がんのリスク増大
●心血管死亡、冠疾患死亡のリスク増大

アレルギー性炎症疾患のリスク増大

リノール酸を取りすぎると免疫細胞が働きにくくなります。

その結果、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性炎症疾患を引き起こす危険性があります。

大腸がん・乳がん・前立腺がんのリスク増大

リノール酸などの植物油をとりすぎると、乳がん、前立腺がん、大陽がんなどの発症率や死亡率が上昇するという研究が過去に発表されたことがあります。

但し、米国で行われている15件の臨床研究のメタ解析では、リノール酸の摂取とがん発症と関連があるという結果は示されていません。

心血管死亡、冠疾患死亡のリスク増大

最近の研究結果では、日常で摂取する飽和脂肪酸の一部(15%程度)をリノール酸に置き換えた場合、全死因死亡、心血管死亡、冠疾患死亡リスクが上昇する可能性が指摘されています。

リノール酸を多く含む食品

オレイン酸は以下のような植物油に多く含まれます。

●ベニバナ油(サフラワー油)
●サラダ油
※大豆油とキャノーラ油の混合
●コーン油
●大豆油
●ヒマワリ油

リノール酸の摂取量

2004年に国際的に脂質を評価しているISSFAL(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)は、リノール酸の適正な摂取量は全カロリーの2%(4~5g)としています。

一方、日本の1999年の報告では、リノール酸を2.4%(5~8g)が適正だとされました。

国際的な基準:全カロリーの2%(4~5g)
日本の基準:全カロリーの2.4%(5~8g)

いずれも、報告が古いので、現状に合っていない可能性があります。

リノール酸の効果的な摂り方

リノール酸は必須脂肪酸ですが、直接摂る油以外に、菓子、パン、マヨネーズ、カップ麺、総菜など加工食品やファストフードに含まれており、過剰摂取の危険性があります。
※原料に「植物油脂」の記載があれば、リノール酸が使われている可能性が大

オメガ6系とオメガ3系の割合

オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸は摂取バランスが大事です。

両者は、体内で一方が増えると他方の作用が抑えられる関係にあります。

バランスが乱れると生活習慣病のリスクが増える可能性があります。

生労働省の食事摂取基準ではオメガ6系を4~5に対しオメガ3系は1の割合が望ましいとされています。

オメガ3系にはα-リノレン酸・DHA・EPAがありますが、α-リノレン酸は亜麻仁油、えごま油等に豊富に含まれます。
[関連記事]α-リノレン酸とは?効果・多く含む食品・摂取量・効果的な食べ方

α-リノレン酸とリノール酸の摂取量は4対1と覚えておくとよいですね。

普段の料理では、リノール酸を含むサラダ油の代りにオリーブオイルを使う、料理にはスプーン1杯の亜麻仁油、えごま油等をかける等の工夫が必要です。
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食事からオメガ3系のα-リノレン酸・DHA・EPAを摂取するのが難しい場合は、サプリメントの利用が便利です。