ケトジェニックダイエットは糖質制限+高タンパク質の食事方法で痩せるダイエット方法です。
糖質制限をする以外は基本的に何を食べても良い(肉をたらふく食べる)夢のダイエット方法です。
ケトジェニックダイエットは一過性のダイエット方法ではなく、人間がDNAとして本来持っているケトン体回路を回すダイエット方法であり、科学的に実証されています。
ケトジェニックダイエットの効果は?
具体的な食事方法は?
糖質制限ダイエットとの違いは?
ケトジェニックダイエットを実践する上での疑問について徹底解説します。
ケトジェニックダイエットとは?
ケトジェニックダイエットとは、糖質制限をしながらも、お肉などで必要な栄養素はしっかり摂って健康になる「低糖質・高タンパク質」の食事法で痩せるダイエット方法です。
※日本ファンクショナルダイエット協会の定義による。
以下の本を参照しました。
糖質制限ダイエットとケトジェニックダイエットの違い
血糖値を上げるのは糖質のブドウ糖のみです。
ブドウ糖はエネルギー源ですが、余分なブドウ糖は中性脂肪となり、対し体脂肪として蓄えられます。
これが「太る」ということです。
※炭水化物は糖質+食物繊維
糖質制限をすることで、太らなくなりますが、体のエネルギーが不足します。すると、体のタンパク質を分解してアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生が起こります。
その結果、筋肉が痩せ、代謝が落ち、痩せにくい体質になってしまい、食事が元に戻るとリバウンドします。
この糖質制限のみの食事方法の欠点を補うのが、タンパク質を沢山摂る(高タンパク質)ということです。
糖質制限ダイエットは狭義的には、糖質を制限する食事法のことです。
ケトジェニックダイエットも糖質制限ダイエットに入りますが、タンパク質を沢山摂る(高タンパク質)のが、特長です。
ケトジェニックとは?
そもそも、ケトジェニックダイエットの「ケトジェニック」とは何でしょうか?
「ケトジェニック」とは、「ケトン体を体の中で作り出して、それをエネルギー源として働かせている状態」のことを指します。
では、「ケトン体」とは何でしょうか?
ケトン体とは?
ケトン体とは、体を動かしているエネルギーの1つです。
通常は、炭水化物から分解された糖質(ブドウ糖)からエネルギーを得ています。
しかし、糖質が体内で枯渇すると、脂肪からケトン体が作られるようになります。
※食事で糖質を多く摂っている場合はケトン体は生成されません。
ケトジェニックダイエットで糖質制限+高タンパク質の食事を実践すると、ケトン体回路が回るようになります。
そして、体の余分な脂肪が分解してケトン体とり、エネルギーとして消費されることで、「痩せる」ことが可能です。
ケトン食療法とケトジェニックダイエットの違い
元々、ケトン食はダイエットに以前に「てんかん」に効果があることが分かり、治療に用いられていました。
即ち、ケトン食療法とは、低糖質・高脂肪食で構成され、抗てんかん作用のみを求めた食事療法の1つです。
一方、ケトジェニックダイエットの対象は、基本的に健康体の人。
低糖質・高タンパク質で構成され、あらゆる慢性的な不調や疾病の予防・改善に効果が期待できます。
ケトジェニックダイエットの効果
ケトジェニックダイエットでは、ダイエットだけでなく、以下の効果が期待出来ます。
●筋肉を落とさずにやせる
●肌の調子が良くなる
●集中力が増す
●食後の眠気やイライラがなくなる
●貧血・冷え性の改善
●むくみの改善
●脂肪肝の改善
●高血圧の改善
●糖尿病の改善
●アトピー性皮膚炎の改善
●うつ症状の改善
●花粉症の改善
●更年期の不調の改善
●メタボリックシンドロームの改善
ケトジェニックダイエットの食事のポイント
ケトジェニックダイエットの具体的な食事内容に関しては、専門家によって若干違いがあります。
以下は、「ケトジェニックダイエットレシピ[斉藤糧三医師監修]」より抜粋。
●1食(1日)あたりの糖質量
●タンパク質を積極的に摂る
●食物繊維で腸内環境を整える
●ミネラルで体の機能を維持
●脂質はオメガ3脂肪酸&中鎖脂肪酸を摂る
1食(1日)あたりの糖質量
ケトジェニックダイエットにおける糖質制限の基準は以下の通りです。
●ケトジェニック状態⇒1食あたり糖質20g以下(1日60g以下)
●セミケトジェニック状態⇒1食あたり糖質40g以下(1日60g~120以下)
※但し、糖質量が100gあたり10未満の食品は「低糖質食品」と見なし、糖質としてカウントしない。
タンパク質を積極的に摂る
ケトジェニックダイエットでのタンパク質の1日の摂取推奨量は体重1㎏あたり1.2~1.6g。
※体重1㎏あたり2g以上は摂らない。
【例】
体重60㎏の場合:60×1.2~1.6g=72g~96g
体重50kgの場合:50×1.2~1.6g=60g~80g
厚生労働省の「食事摂取基準」では、「男性は1日60g、女性は50g」なので、これよりやや多い量です。
食物繊維で腸内環境を整える
ケトジェニックダイエットでの食物繊維の1日の摂取推奨量は20g以上。
「葉野菜、海藻、キノコで400g」が理想。
葉野菜が苦手な人は、スムージーにして飲むのがオススメです。
ミネラルで体の機能を維持
ミネラルは、神経・筋肉の機能維持や、体液のバランス維持の為に重要な営養素です。
その為、1日あたりカリウム3.5g以上、カルシウム650㎎以上を摂取するよう心がける。
脂質はオメガ3脂肪酸&中鎖脂肪酸を摂る
ケトジェニックダイエットでの1日のオメガ3の摂取推奨量は、2g(小さじ1杯)以上。
但し、オメガ3は熱に弱いので、加熱調理は不可。
また、ケトン体生成に力を発揮する「中鎖脂肪酸」が豊富なココナッツオイルやMCTオイルも摂取可。
ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットの1つのなので、糖質を制限する部分に関しては、糖質制限ダイエットと同じです。
⇒糖質制限ダイエットの正しい食事方法[糖質量・食べていいをもの]徹底解説
ケトジェニックダイエットの食事例
では、具体的にどのような食事方法を摂ればよいのでしょうか?
ケトジェニックダイエットを提唱し、その普及の為に設立した日本ファンクショナルダイエット協会理事長である医師の白澤卓二医師が以下の本で、ご自分の食事例(メニュー)を紹介しています。
ケトン体を主なエネルギー源として使っている白澤卓二医師のある日の朝の空腹時から就寝までのケトン体と血糖の値が公開されており、興味深いです。
朝食
[9:34]コーヒー+ココナッツオイル
コーヒー1杯にココナッツオイル大さじ1杯(13g)を加え、ブレンダーに入れて十分攪拌。
昼食
[12:35]会食ランチ~低糖質の中国料理のコース:合計糖質43.1g
・前菜(くらげの甘酢あえ、黒豚チャーシュー、他):糖質6.1g
・海鮮とアスパラガスのカレー風味:糖質12.9g
・磯魚の清蒸し:糖質0.3g
・菜の花とたけのこのいため:糖質4.1g
・松坂牛の黒こしょういため:糖質4.4g
・ふかひれとしいたけの蒸しスープ:糖質8.8g
・ココナッツミルクプリン:6.5g
夕食
[17:30]会食ディナー:糖質合計12g
・グリーンサラダ
・牧草牛のステーキ300g
・赤ワイン
1日の合計糖質量は約55gで、ケトジェニック状態の基準の1日60g以下はクリアしています。
但し、昼食は会食の為か糖質43.1gで、1食20gをはるかにオーバー。
それでも、中華のコースで糖質が1食43.1gというのは驚きですね。
上記の食事例では、糖質の摂取量の記載がありますが、タンパク質の摂取量の記載はありません。
しかし、夕食のステーキ300gを牛ヒレ赤肉と仮定すると、100g中に19.1gのタンパク質が含まれているので300gで57.3g。
白澤医師の体重を50㎏と仮定するとケトジェニックダイエットで推奨する1日のタンパク質摂取量60g(=50×1.2)に近い数字になります。
白澤医師はこの夕食メニューが定番だというので、ステーキでタンパク質を補っているようです。
ケトジェニックダイエットの食事内容
ケトジェニックダイエットの食事例は分かりましたが、実際にケトジェニックダイエットを実践しようとすると、糖質やタンパク質の計算が面倒だと考える方もおられるのではないでしょうか?
そこで感覚的にある程度の目安量を把握できる方法をご紹介します。
●主食を摂らない
●毎日、体重(㎏)×1.2~1.6の肉を食べる
●毎食片手分の野菜を食べる
●ココナッツオイルを1日大さじ2杯摂る
主食を摂らない
糖質制限ダイエットはそもそも糖質を制限するダイエットなので、糖質を多く含む米・パン・麺等の主食を摂らないのが一番です。
何しろ、茶碗一杯で糖質は55g。
勿論、糖質を多く含むイモ類、根菜類や菓子類等も食べないのが基本です。
毎日、体重(㎏)×1.2~1.6の肉を食べる
肉は赤身肉が脂肪を含む肉よりタンパク質が多いです。
白澤医師にように夕食には赤身肉+野菜と決めておくと、メニュー選びに困りません。
ケトジェニックダイエットの提唱者である斉藤糧三医師は、著書「腹いっぱい肉を食べて1週間5kg減!ケトジェニック・ダイエット」の中で、「手の平1枚分の肉を食べよう」と主張しています。
特に牧草で育てられた牧草肉(グラスフェッド・ビーフ)を推奨しています。
毎食片手分の野菜を食べる
加熱した野菜なら片方の手の平に山盛りのる量で120g、加熱していない生野菜なら両手の平一杯です。
毎食、この量の野菜を食べると3回で360g、厚生労働省の基準をクリアできます。
1日2食ならその量の1.5倍になります。
ココナッツオイルを1日大さじ2杯摂る
油は中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルがオススメです。
ココナッツオイルはコーヒーに入れたり、加熱料理にも使えます。
MCTオイルは中鎖脂肪酸100%のオイルですが、加熱はNGです。
コーヒーに入れたり、サラダや料理にかけて使います。
食事回数は?
1日の食事回数に決まりはありません。
但し、回数が減ると、その分、1回の食事量が増えるので、1日1食よりは、2回か3回が良いと思います。
実践し易いのは、朝食はバターコーヒー(あるいはコーヒー+ココナッツオイル)、昼と夜は主食ナシの食事です。
カロリー制限は?
ケトジェニックダイエットは糖質を制限し、それ以外は基本的に何を食べても良い食事です。
但し、1日の消費カロリー以上に摂取すると、太る可能性があります。
注意すべきはカロリーの高い脂質です。
油の摂りすぎには注意しましょう。
特にケトジェニックダイエットではタンパク質をどっさり食べますが、脂身は避け、赤身肉を食べましょう。
糖質を制限し、タンパク質と野菜中心の食事をすると、カロリーオーバーすることはまずありません。
逆にカロリーが不足すると、エネルギー不足になります。
消費カロリーと同等の摂取カロリーを維持する事が大切です。
タンパク質と野菜中心に腹いっぱい食べましょう。
ケトジェニックダイエットで効果が出る期間
ケトジェニックダイエットで結果はどれくらいの危険で出るのでしょうか?
以下の本では、「1週間で5kg減」とあります。
全ての方に同じ効果が出る訳ではありませんが、1週間で5kg減が可能なのが、ケトジェニックダイエットです。
通常は12時間、食事をしないとブドウ糖が枯渇し、ケトン体が生成されると言われています。
ただし、今まで炭水化物の摂取が多かった方は、すぐにケトン体回路に切り替わらないこともあるようです。
その為にもケトン体の生成を促進してくれる中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルやMCTオイルを毎日、大さじ2杯摂取しましょう。
ケトジェニックダイエットで筋トレは必要か?
基本的にケトジェニックダイエットで筋トレは必要ではありません。
運動や筋トレなしで痩せるのがケトジェニックダイエットの特徴です。
チートデイは設けて良いのか?
たまには、糖質制限を一休みして炭水化物を思う存分食べたい時もあるでしょう。
しかし、炭水化物を必要以上に摂ると、ケトン体回路はたちまちブドウ糖回路に切り替わります。
できれば、チートデイは設けないのが無難です。