オメガ3脂肪酸(ω-3脂肪酸/n-3系脂肪酸)とは体内で合成できないので食品から摂取する必要がある必須脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸には、α-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)の3種類があります。
オメガ3脂肪酸には、どのような効能効果があるのでしょうか?
オメガ3脂肪酸が妊活に良いのは本当?
1日の摂取量目安は?
取りすぎによる副作用は?
オメガ3脂肪酸が多い食べ物(食材)は?
オメガ3脂肪酸に関する疑問について徹底解説します。

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オメガ3脂肪酸とは何か?

オメガ3脂肪酸(ω-3脂肪酸)は、多価不飽和脂肪酸の一種です。

「オメガ3脂肪酸」は、以前は「n-3系脂肪酸」と呼ばれていました。
※現在でもこの呼称を使う事は多いです。

「n-3系脂肪酸」の「n-3」とは、「エヌマイナス3」と読み、端から3番目の炭素が二重結合になっている脂肪酸です。

えごま油

多価不飽和脂肪酸の種類

多価不飽和脂肪酸には、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)とオメガ6脂肪酸(n-6系脂肪酸)があり、いずれも必須脂肪酸です。

必須脂肪酸
▶出典:ナッツ類でダントツ1位!くるみのオメガ3脂肪酸含有量

必須脂肪酸は、体内では合成できないので、食品から摂取する必要があります。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の働き

必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、体内で対抗するように働きます。

●オメガ3脂肪酸
血液を固まりにくくしたり、炎症を抑えたりする。

●オメガ6脂肪酸
血液を凝固させたり、体内の炎症を促進したりする。

この2つの脂肪酸のバランスが崩れて、一方が過剰になると、血が固まりやすくなって心筋梗塞などのリスクが高まったり、逆にサラサラになりすぎて、出血が止まらなくなったりする可能性があります。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率

日本脂質栄養学会が推奨しているオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率は1:2ですが、日本人の現状はおよそ1:5(1:20と言う説も)という比率でオメガ6脂肪酸が大分多くなっています。
※オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の比率は1:4が理想とする説もあります。

日本人が摂取するn-6系脂肪酸のほとんどはリノール酸です。
リノール酸は、揚げ物等に使われる大豆油、コーン油、サフラワー油等に多く含まれています。

リノール酸の摂りすぎは、アレルギーなどの炎症を起こす可能性があります
▶リノール酸について詳しくは⇒リノール酸とは?効果・副作用・多く含む食品・摂取量・摂り方

リノール酸(オメガ6脂肪酸)の摂取量を減らし、オメガ3脂肪酸を増やすことが大切です。

オメガ3脂肪酸の種類

オメガ3脂肪酸には以下の種類があります。

●植物性:α-リノレン酸(ALA)
●海洋性:DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)

オメガ3脂肪酸を多く含む食品(食べ物)

α-リノレン酸(ALA)を多く含むオイル

エゴマ油:58g
亜麻仁油(アマニオイル):57g
なたね油:7.5g
調合油:6.8g
大豆油:6.1g
※いずれも100g中

α-リノレン酸(ALA)を多く含むナッツ・その他

くるみ:9g
マヨネーズ(卵黄型):5.1g
凍り豆腐:2.5g
油揚げ:2.5g
※いずれも100g中

DHA・EPAを多く含む食品

DHAとEPAは青魚に多く含まれています。
DHA・EPA含有量
※いずれも、可食部100gあたり
▶引用元:魚類のDHA・EPA含有量

▶DHA・EPAについて詳しくは⇒DHA・EPAの効果・取りすぎの副作用・多く含む食品・DHAとEPAの違い【徹底解説】

オメガ3脂肪酸の効能効果

オメガ3脂肪酸には、以下の3つの種類がありました。
各々の効能効果を見ていきます。

●α-リノレン酸(ALA)
●DHA(ドコサヘキサエン酸)
●EPA(エイコサペンタエン酸)

α-リノレン酸(ALA)の効能効果

α-リノレン酸には以下の効果効能が期待できます。

●血流の改善(中性脂肪やコレステロールを低下させ、血液をサラサラにする)効果
●血栓予防効果
●アレルギー性疾患の改善効果
●脳神経系に作用する効果
●老化を防止する効果
●うつ病の予防効果

尚、α-リノレン酸(ALA)は体内で一部(10~15%)がEPA⇒DHAに変換されると言われています。
▶α-リノレン酸(ALA)について詳しくは⇒α-リノレン酸とは?効果・多く含む食品・摂取量・効果的な食べ方

DHA・EPAの効能効果

DHA・EPAには以下の効能効果があると考えらています。

●記憶力・集中力の維持
●目の健康維持
●血液サラサラにして、心筋梗塞や脳梗塞などを予防
●アレルギーの予防・改善
●HDL(善玉)コレステロールを増やす
●中性脂肪の低下
●胎児の脳の発育、早産予防、産後うつの予防

DHAとEPAの効能効果の違い

DHAとEPAの効能効果は似通っていますが、以下の違いがあります。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

人間の脳や目の網膜の脂質成分で、脳に脳に直接入って栄養素として機能できる数少ない物質。
「認知機能改善効果」がヒトで報されています。

EPA(エイコサペンタエン酸)

脳内にはほとんど存在せず、血液サラサラ効果や中性脂肪低下作用がDHAより高い物質。
「中性脂肪低下作用」がヒトで報告されており、医薬品としても利用されています。

オメガ3脂肪酸の副作用

オメガ3脂肪酸には、α-リノレン酸(ALA)とα-リノレン酸(ALA)があるので、各々の副作用を見ていきます。

●α-リノレン酸(ALA)の副作用
●DHA・EPAの副作用

α-リノレン酸(ALA)の副作用

α-リノレン酸を亜麻仁油やエゴマ油から摂る場合、油は消化が悪いので、摂りすぎると、胃痛・胃もたれ・おう吐・下痢などが起きる可能性があります。

これは、油に関する一般的な副作用であって、α-リノレン酸(ALA)特有の副作用ではありません。

α-リノレン酸の副作用について調べてみましたが、特に見つかりませんでした。
但し、α-リノレン酸を多く含むオイルに亜麻仁油がありますが、以下の記述がありました。

「アマニやアマニ油のサプリメントは、良好な忍容性を示すようです。副作用はほとんど報告されていません。
アマニは、水溶性線維を含んでおり、「アマニもアマニ油も、共に下痢を起こす可能性があります。」
「アマニの繊維は、経口薬を体内に吸収する力を弱める可能性があります。アマニは、他の通常医療の内服薬やサプリメントと同時に摂取すべきではありません。
▶出典元:アマニ、アマニ油【「統合医療」情報発信サイト~厚生労働省】

DHA・EPAの副作用

DHA・EPAの副作用として以下のものが考えられます。

●水銀の害
●取りすぎの害

水銀の害

マグロなどの動物性オメガ3には水銀が微量に含まれています。
大人は体内の水銀を排出できますが、胎児は排出できません。
従って、妊娠中や出産を控える女性は控えた方が良いと言われています。

尚、以下の魚は、厚生労働省が「特には注意が必要でないもの」として挙げているので、妊娠中や出産を控える女性が食べても問題ないと言えます。

キハダ、ピンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ
アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなど

取りすぎの害

FDA(Food and Drug Administration)米国食品医薬品局は、1日あたりのDHA摂取量が3~4gまでならば安全だと保証しています。

しかしながら、サプリメントからの摂取に関しては、米国食品医薬品局(FDA)は、DHAとEPAを合わせて1日2グラムを超えないように警告しています。

DHA・EPAの取りすぎると副作用により以下の症状が起こる危険性があります。

・吐き気や下痢
・出血が止まりにくくなる

血液凝固阻止剤や血圧を下げる薬を飲んでいる人は、DHA・EPA配合サプリメントを飲む場合は、医師と相談する必要があります。

また、女性の場合は生理中も過剰な摂取は避けるのが無難です。

オメガ3脂肪酸の効果的な摂り方

オメガ3脂肪酸の1日の摂取目安量

厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)の1日の摂取目安量を設定しています。

●成人男性の1日の推奨摂取目安量:2.0g~2.4g
●成人女性の1日の推奨摂取目安量:1.6g~2.0g

尚、DHA・EPAに関しては1日1,000㎎の摂取を推奨しています。

オメガ3脂肪酸を摂るタイミング

魚や油、ナッツ等オメガ3脂肪酸を含む食品は、食事の時に食べるので、摂るタイミングを考える必要がありません。

問題はオメガ3脂肪酸を配合したサプリメントを飲む場合、いつのタイミングが良いかということです。

サプリメントの場合、薬と違って、いつ飲んでも良いわけですが、強いて言うなら、食後(胃に食べ物が入っている)時がオススメです。

食事の際には消化器官が活発に活動するので、栄養素の吸収が効率よく行われます。

オメガ3脂肪酸を摂る時の注意点

オメガ3脂肪酸は熱に弱く、酸化し易いのが特徴です。

α-リノレン酸

α-リノレン酸は加熱料理には向かないので、α-リノレン酸を多く含むエゴマ油、亜麻仁油は、サラダにかける、味噌汁等に入れるといった使い道です。
※酸化しやすいので食べる直前にかけましょう。

また、開封後は早めに使いきる必要があります。

エゴマ油、亜麻仁油は癖があるので、味や香りが苦手な方は、エゴマ油、亜麻仁油配合のサプリメントを利用する手もあります。

DHA・EPA

DHA・EPAは青魚に含まれますが、α-リノレン酸と同じく熱に弱く、酸化し易いのが特徴です。
焼き魚や煮魚にすると、DHA・EPAが多少、失われます。

「魚が苦手」「毎日青魚を食べるのは難しい」方は、DHA・EPA配合サプリメントの利用がおすすめです。

オメガ3脂肪酸は妊活におすすめ

欧米では、日本の産婦人科医が、妊婦へ積極的に葉酸の摂取を呼び掛けている現状と同じように、オメガ3の摂取は当たり前の様に薦められ、すでに妊活・妊娠・授乳中に「オメガ3」を摂ることが常識になっています。

妊婦

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」でも、妊娠中・授乳中の女性は、通常(1.6g/日)より多くのオメガ3脂肪酸(1.8g/日)を摂取することを呼びかけています。

▶出典元:妊娠期のオメガ3脂肪酸の追加摂取

※おすすめのオメガ3脂肪酸配合サプリメントについては別記事参照