専門家の調査によると、20歳代、30歳代女性の約半分が「むくみ」に悩んでいます。
「むくみ」の部位で多いのが、足(ふくらはぎ・足首・足の甲・足底)、顔や手です。
むくみの原因と予防・むくみの取り方・解消方法を徹底解説します。
むくみとは?
むくみを医学的に定義すると、さまざまな原因によって細胞と細胞の間(組織間隙)に水分(間質駅)が過剰に留まることによって生じる症状です。
「むくみ」には一時的な「むくみ」と、病気の可能性がある「病的なむくみ(=浮腫)」があります。
※「病的なむくみ」に関してはこちらの記事をご覧下さい。⇒「病的なむくみ」は病気の可能性あり!見分け方・病名は?
「むくみ」が出る部位
「むくみ」ができやすい部位は、まぶた、顔、手指、足などです。
ただし、これだけではありません。
水分は重力の影響を受ける為、「むくみ」は長時間同じ姿勢でいると下方に出現しやすい特徴があります。
一方、寝たきりの方などは、背中、お尻の上あたりにある尾てい骨部分、脇腹の背面など後面に「むくみ」が起きやすくなっています。
「むくみ」の原因
「むくみ」は必ずしも病気ではありません。
誰にでも起きます。
「むくみ」のメカニズム
「むくみ」の正体は皮下の過剰な水分です。
最もむくみやすい足の場合、正常な人間での「むくみ」の原因は静脈のうっ滞です。
心臓から動脈を通って血液が足先まで送られますが、本来ならば静脈を通って再び心臓に戻ります。
①心臓の働きが低下して、足に溜まった静脈血が心臓にスムーズに戻せなくなると、「むくみ」の原因になります。
②足の筋肉や組織の動きも大きな影響を持っています。
あまり動かないとうっ滞した状態になり「むくみ」の原因となります。
長時間立ちっぱなしだと足がむくむのはこの為です。
又、足をダラリトと垂らして座っていると、筋肉の緊張はほとんどなくなり筋ポンプは殆ど働きません。
その為、足先にはどんどん静脈血が溜まってしましみます。
足の血液を心臓に戻す2つの力
上記を整理をすると以下になります。
①心臓が静脈血を引き戻す力
②静脈血を上へ押し上げる筋肉などの力(筋ポンプ作用)
日中活発に動かない人は、筋ポンプ作用があまり働かないので、むくみやすいです。
歩く、または足を少し動かすだけでも、筋肉が緊張して筋ポンプが働くので、静脈血が押し上げられます。
次に”むくみ体質”について見ていきましょう。
“むくみ体質”とは?
「女性はむくみやすい」と言われるように、むくみやすい”むくみ体質”みたいなものもあります。
それでは、どんな人が”むくみ体質”なのでしょうか?
逆にむくみにくいのはどんな人でしょうか?
太った人
太った人は、心臓に負担がかかり、静脈血を十分引き上げることができず、足に静脈血が留まってしまします。
呼吸も静脈の流れを促進しますので、太って呼吸が浅くなると影響されます。
また、皮下脂肪が多いと「むくみ」が取れにくいと考えられます。
アスリートはむくまない
筋肉が発達したアスリートは筋ポンプ作用が強い為、むくみにくいと言えます。
一方、筋肉量の少ない人、つまやり痩せている人はむくみやすくなります。
男性に比べ筋肉量が少ない女性が「むくみ」で悩むことが多い一因はここにあります。
女性はむくみやすい
男性より女性の方がむくみやすい理由は筋肉量の違いだけではありません。以下の原因が考えられます。
- 女性ホルモンのバランス
生理の1週間前から生理中にかけて、女性ホルモンの影響で血管が広がり尿の量が減り、普段よりも体に水分を溜め込もうとする為、むくみやすくなります。 - 皮下脂肪
女性は皮下脂肪が多い為、冷えによる血行不良が起きやすい。 - 低血圧
女性は低血圧の人が多いです。男性に比べて皮膚が柔らかい為、皮下組織の圧も低くなり、水分を静脈に戻しにくなどの要因もむくみやすくさせています。 - 妊娠時
妊娠時もむくみやすくなります。
女性ホルモンの影響で、ナトリウムや水を体内に貯留しやすくなり、同時にお腹の中の赤ちゃんの成長に伴い物理的に足の静脈を圧迫し体重も増えるなどで、足の血液が心臓に戻りにくくなる為です。
年齢もむくみの原因
年齢が直接「むくみ」に関係していることはありません。
しかし、加齢による体の衰えがむくみの原因となることがあります。
・加齢によって太ってきた
・心臓や腎臓、静脈などの機能が低下してきた
・リンパ液の流れが悪くなってきた
・歩くことが少なくなり筋肉が衰えてきた
・肌のハリ(皮下組織圧)がなくなってきた
主な”むくみ体質”を見てきましたが、「むくみ」の原因には体質以外にライフスタイルも大きく関係してきます。
ライフスタイルが原因で起こる「むくみ」と予防法
どういう生活習慣の時に「むくみ」は生じやすいのでしょうか?
立ち仕事・座り仕事
長い時間立ち続けたり、座っていたりすると、程度は様々ですが、誰でも足がむくんできます。
[関連記事]座りっぱなしは病気や死亡リスクを高める!座りすぎ対策を伝授!
足の血液にも重力がかかり、足の血液が心臓に戻りにくくなり、沢山の血液が足にうっ滞してくるからです。
この為、長時間同じ姿勢でいる時には、時々、足を動かしたり、足のふくらはぎをマッサージしたりしてうっ滞した足の血液を心臓に戻してやると良いのです。
また、足を圧迫する弾性ストッキングを履くと、足にうっ血が起こりにくくなり、むくみの予防になります。
運動不足
運動不足は、2つの理由から足のむくみを起こしやすくなります。
①筋ポンプ作用が十分に働かず、足の血液が心臓へと戻らなくなる為、足にうっ血が起きる。
②運動不足が筋肉それ自身を弱くし、筋ポンプ作用の効率を悪くする
同じように運動をしても、よく発達した筋肉の方が効率よく足の血液を心臓に戻します。
高齢者、女性、やせた人では、筋肉の発達が弱く、足がむくみやすくなります。
予防法は以下になります。
・普段より運動などで足の筋肉を強くしておく
・普段の中で積極的に歩く
※ダラダラ歩くのではなく”キビキビ”と筋肉をしっかり動かして歩くこと
※筋トレにはスクワットが最適→スクワットで腹筋を割る効果的なやり方[回数・頻度・他]
ダイエット
間違ったダイエットは「むくみ」につながりかねません。
それは以下の点です。
◇足の筋肉量の減少
体脂肪だけでなく足の筋肉量も減少により筋ポンプ作用低下
◇低栄養
極端なダイエットによる低栄養は、低たん白血症をきたし、毛細血管が水分を血管の内外でやり取りするチカラである膠質浸透圧が低下する為、末梢に留まる水分量を増やします。
また、ビタミンB1の欠乏による脚気も全身性のむくみをきたします。
不規則な生活
運動不足、寝不足、栄養の偏り、ストレスは「むくみ」の大きな原因となります。
ボディースーツ
ボディースーツは、胸部から腹部、股までの体の中心部分のみを締め付けることになるので、足のむくみを増長させる可能性があります。
特に股や大腿部分を締め付けることにより、それよりも下の足の部分をむくみやすくする可能性があります。
足を組む座り方
まず、足を組む時は、座りっぱなしで足を動かさないので、むくみやすい状況にあります。
そして、片方の足は、膝から下のふくらはぎが空中に浮いている上に、一方の足もう一方の足を圧迫して血行を妨げているので、さらにむくみやすくなります。
さらに、足を組むことにより、座っている時の骨盤は左右どちらかに向くので、姿勢が悪くなります。
このような姿勢を続ければ足はむくみやすくなり、他の部位の筋肉も付かれる結果となります。
塩分
塩分を摂り過ぎると、血管内の水分が増えます。
血管内の水分が増えると、血圧が上がり、毛細血管から水分が染み出してむくみが生じます。
塩分の摂り過ぎは禁物です。
水分
水分を多く摂り過ぎてもむくむことはありません。
腎臓が働いて尿として出してしまします。
しかし、水を飲み過ぎるとむくむような気がするのは、腎臓が調節しきるまでに時間がかかるからです。
むくみの予防には水分、塩分は控えめにし、また、体を冷やさないようにして腎臓の働きをよくしてあげることです。
アルコール
飲酒後にむくのは、体内の水分量の増加と血管拡張による「血管透過性」の亢進が原因です。
アルコールは、ほどほどにしましょう。
最後に「むくみ」を解消する方法を見ていきましょう。
「むくみ」の予防と解消法
大切なのは、自分のむくみの原因やライフスタイルに合わせて、自分に合った予防・解消法を自分自身で作り上げていく事です。
足の挙上
特に足にむくみが起こりやすい原因は、立っている時には足が心臓よりもはるかに下にあり、足の血液にも重力がかかり、足にうっ血が起こりやすいからです。
足のうっ血を少なくし、むくみを予防・解消させるには足を心臓より高くすることです。
可能であれば1時間に1回くらい、仰向けで足を高くして休むと良いでしょう。
足首運動
座り仕事が多い方におすすめです。
≪やり方≫
1.座った状態で、かかと支点につま先を上げる。
2.次につま先を下し、つま先を支点にかかとを上げる。
※20~30分ごとに10回行う。
ふくらはぎマッサージ
足首から膝にかけて、ふくらはぎの筋肉をしっかりと揉み上げると、血液の流れは足首の運動と同じように速くなります。
ふくらはぎの筋肉のマッサージも、むくみの予防に効果があります。
リンパマッサージ(リンパドレナージ)
リンパマッサージと言っても特別なマッサージではありmせん。
日常生活で適当に体を動かしていれば、十分にリンパ系は刺激され流れることになります。
十分な睡眠
睡眠時に横になると、日中に足に溜まった余分な水分が移動を始めます。
横になっていることで、循環血液量が増大して、腎臓への血液量が増加、余分な水分が尿として蓄積されます。
むくみを解消する観点から十分な休息は重要です。
※病的な「むくみ」の場合も安静は治療の基本となります。
水分・塩分は控えめに
タンパク質やミネラル、ビタミンのバランスを考慮した食事を摂取することが重要です。
そして、むくみ(間質液)の主成分である水分、ナトリウムを溜めないように、食生活では水分、塩分の過剰摂取をさけること基本です。
弾性ストッキング
弾性ストッキングは圧力のあるストッキングで、足を圧迫し「むくみ」を予防します。
弾性ストッキングにはいろいろな圧力や形があります。
≪弾性ストッキングの選び方≫
◇形(タイプ)
「むくみ」予防の為には膝下までの長さのハイソックスタイプで十分です。※足首より先の部分まで覆われているタイプを選んでください。
◇圧力
むくみ予防に使う弾性ストッキングの圧力は、一般に15mmHg(20hPa)前後とし、「むくみ」の軽い人では少し低めの10mmHg(13hPa)前後の圧力の弾性ストッキングを使用したら良いと思います。
以下の弾性ストッキングは「つま先なし」ですが、足首はしっかりカバーしており、足首には29hPa、ふくらはぎには20hPaと医学にもとづく段階圧力設計を取り入れられています。
弾性ストッキングは医師の指導の元、着用する圧力が強めの医療用と、一般用があります。
上記は一般用です。
尚、サイズがあります。
サイズは身長で選びます。
※本記事は主に「むくみ体質をあきらめない~医師が教え入る予防・解消の知恵」を参照しました。