糖質制限ダイエットがブームになり、注目されている糖質制限食ですが、糖質制限の方法には種類があります。
目的によって糖質制限の方法は異なり、当然、効果も違います。
糖質制限食の種類とは?その目的と効果の違いは?
糖質制限食の種類、目的と効果について解説します。
糖質制限食の定義
糖質制限食とは、ご飯、パン、麺類、砂糖などの「糖質」をできるだけ控えて、肉、魚、豆腐などからタンパク質と脂質をしっかり摂る食事療法です。
元々は血糖値をコントロールして糖尿病とその合併症を防ぐための食事療法ですが、空腹を我慢せずに、体重が減ることからダイエットとして注目されています。
さて、この糖質制限食ですが、定義はあるのでしょうか?
国際的に認められている糖質制限食の基準は以下です。
1日の糖質量が130g以下の食事を低糖質食〈糖質制限食〉と呼ぶ。
1日に130g以下ということは、単純に3食で割れば、1回の食事は43g以下になります。
日本の病院で行われている糖質制限食には種類があり、糖質制限度(1食当たり摂取する糖質の量)も異なります。
代表的な糖質制限食と1日にとって良い糖質の量をご紹介します。
糖質制限食の種類
日本で代表的な代表的な糖質制限食と糖質量は以下です。
A.高雄病院のスーパー糖質制限食(1食当たり糖質10~20g/1日当たり糖質30~60g)
B.山田悟医師のゆるい糖質制限食(1食当たり糖質30~40g/1日当たり糖質90~120g)
C.釜池豊秋氏の糖質ゼロ食(1食当たり糖質5g/1日当たり糖質5g)
尚、高雄病院の糖質制限法には、スーパー糖質制限食の他にもスタンダード糖質制限食、プチ糖質制限食があります。
※これらについては後述します。
A.B.C.の糖質制限食はいずれも、前述の糖質制限食の基準(1回43g)の範囲内です。
では、食後高血糖の改善効果はどうなのでしょうか?
糖質制限食のレベルによる食後高血糖の改善効果の違い
糖質制限食のレベル(1食当たり摂取する糖質の量)によって、そのもたらす効果は異なります。
当然のことながら、摂取する糖質が少ない程、効果が高いです。
食後高血糖の改善効果
上記の3種類の中では断トツでC.の糖質ゼロ食(1食当たり糖質5g)です。
次いで食後高血糖を防げるのはA.です。
A.の高雄病院のスーパー糖質制限食は臨床的に合併症の予防が出来るレベルです。
食後高血糖の改善効果が一番低いのはBです。
特に糖尿人がこの糖質制限法を実践すると、食後1時間血糖値180㎎/dl未満、食後2時間血糖値140mg/dlを達成するのは困難なケースが多いと思われます。
それでも日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高血糖食)よりはましですが。
インスリン追加分泌の抑止効果
ここでも最良なのはC。
糖質摂取がゼロに近いので、インスリンの追加分泌はごく少量で済みます。
次に効果的なのはAです。
インスリンの追加分泌は基礎分泌の2~3倍レベルで済みます。
また、肥満ホルモンと呼ばれるインスリンの分泌が少ないので、ダイエットにも威力を発揮します。
インスリン追加分泌に関して抑止力が最も低いのはBです。
インスリン追加分泌は基礎分泌の10~20倍レベルになります。
Bは野放しの高糖質食に比べるとマシですが、インスリンの過剰分泌によるリスクをある程度は覚悟しなければいけません。
そして、インスリンの出過ぎは肥満に陥りやすくなります。
「糖質制限食のレベルによる目的と効果」について述べる前に、高雄病院が提案する3パターンの糖質制限食について見ておくことにします。
高雄病院が提案する3パターンの糖質制限食
高雄病院が提案する糖質制限食には前述のスーパー糖質制限食を含め、3パターンがあります。
スーパー糖質制限食
【方法】朝・昼・晩全ての食事でご飯やパンなどの主食を食べずに糖質制限。
【効果】糖尿人への治療効果も健常人のダイエット効果も極めて高いです。
【糖質量】1食当たり糖質10~20g、1日当たり糖質30~60gが目安です。
効果抜群ですが、ご飯やパンなどを食べ続けてきた人には続けるの難しいので挫折する恐れも。
そこで、いきなりスーパー糖質制限食を実践できない人にすすめているのが、次のスタンダード糖質制限食です。
スタンダード糖質制限食
【方法】夕食は糖質制限しますが、朝食と昼食はどちらか1食だけ糖質制限。
つまり朝食か昼食どちらか1食だけ糖質を摂ります。
※ビジネスパーソンの昼食は外食が多いので、朝食で糖質制限した方がやり易いでしょう。
※夕食で必ず糖質制限するのは、夜は食後上昇した血糖値を下げにくいからです。
【糖質量】糖質を摂る場合、1食当たり糖質50~60g、1日当たり糖質70~100gが目安です。
【効果】このスタンダード糖質制限食では1日1回は食後高血糖が起こり、インスリンが追加分泌されますが、1日の糖質摂取量を130gを超えないようにすることがポイントです。
1日の糖質摂取量130g以下はアメリカ糖尿病学会(ADA)や主要国の専門家が認めている糖質制限食の定義の範囲内で、血糖コントロールの改善やダイエット効果が期待されるからです。
プチ糖質制限食
高雄病院で糖尿人にすすめているのはスーパー糖質制限食とスタンダード糖質制限食ですが、それ以外にプチ糖質制限食があります。
【方法】1日3食の内、夕食だけ糖質制限する方法です。
【糖質量】1日当たり糖質110~140gが目安。朝食と昼食は糖質50~60gが目安です。
【効果】
健常人のダイエットや健康の為には、プチ糖質制限食も有効です。
また、糖尿人にとっても、日本糖尿病学会推奨のカロリー制限食(高糖質食)よりは遥かにマシです。
人によっては、ある程度の改善効果が見込めることも考えられます。
※本記事は江部氏の著書『人類最強の「糖質制限」論』を主に参照しました。
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糖質制限食のレベルによる目的と効果
さて、以上で日本で代表的な糖質制限食3種類と高雄病院の提案する糖質制限食の3つのパターンを見てきました。
整理してみます。
A.高雄病院のスーパー糖質制限食(1日3食糖質制限/1食当たり糖質10~20g)
A-2.高雄病院のスタンダード糖質制限食(1日2食糖質制限/1食当たり糖質50~60g)
A-3.高雄病院のプチ糖質制限食(1日1食糖質制限/1食当たり糖質50~60g)
B.山田悟医師のゆるい糖質制限食(1食当たり糖質30~40g)
C.釜池豊秋氏の糖質ゼロ食(1日1食/1食当たり糖質5g)
糖尿病治療の観点から効果が最も高いのは釜池豊秋氏の糖質ゼロ食です。しかし、1日1食で1食当たり糖質5gというのはかなりハードルが高く、続けるのは難しいでしょう。
次に効果があるのは高雄病院のスーパー糖質制限食です。
ただ、どのレベルの糖質制限食を選ぶかは糖尿病の状態、糖質制限食のしやすさによって異なります。
※但し、糖尿病治療が目的の場合、1日に130g以下の糖質摂取が望ましいいので、上記の糖質制限食の中では、高雄病院のスーパー糖質制限食、高雄病院のスタンダード糖質制限食、山田悟医師のゆるい糖質制限食より選ぶことになります。)
糖尿病の方は糖質制限食を取り入れている病院で相談するのが一番です。※病院によって糖質制限食の指導は異なります。また、指導をしていない病院もあります。
健常人のダイエットや健康の目的の場合、どのレベルの糖質制限食を選ぶかは自由ですが、無難なのは、高雄病院のプチ糖質制限食です。
プチ糖質制限食ではダイエット効果が得られないと言う場合は、プチ糖質制限食が慣れた段階で、1日2食糖質制限すると良いと思います。
糖質制限食を実践する上での注意事項
糖質制限食を実践する目的は糖尿病治療やその合併症の予防、健康維持、ダイエットと様々だと思います。
どの糖質制限食を実践するにしても大事なことは続ける事です。
ダイエット目的なら、目標数値を達成することです。
しかしながら、そもそも糖質制限食は農耕が始まるまでは糖質制限食が当たり前でした。
炭水化物を主食としてエネルギー源とする現在の食事方法は人間の体に合っていません。
炭水化物の過剰摂取が糖尿病を初めとする病気や症状、そして肥満を生んでいます。
糖質制限食こそ人間本来の健康食と言えます。
糖質制限食を実践する目的が何であれ、糖質を制限するという意識を絶えず持ち、継続することが大事だと考えます。