新型コロナウイルスの接触感染を避ける為、WHOや厚生労働省が推奨しているのが、漂白剤のハイター等を薄めた次亜塩素酸ナトリウム希釈液による、ドアノブ等の殺菌だ。
次亜塩素酸ナトリウムについて調べていると、「次亜塩素酸水」と言う言葉を発見。
最初、次亜塩素酸ナトリウム希釈液のことを「次亜塩素酸水」と思ったが、全く別物であった。
次亜塩素酸水は新型コロナウイルスの感染予防に効果あるのだろうか?
専門家の見解を調べてみた。

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次亜塩素酸水とは何?

次亜塩素酸水の特長

次亜塩素酸水の特長をまとめると以下になる。

①塩酸 (HCl)又は塩化ナトリウム (NaCl)水溶液を電気分解して作る
②2002年に食品添加物(殺菌料)として認められた
③10~80ppmの有効塩素濃度を持つ酸性電解水

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムとの違い

接触感染を予防する為、新型コロナウイルスが付着した可能性のあるドアノブ等の除菌には「次亜塩素酸ナトリウム」を含むハイター等の漂白剤を希釈したものを使うが、これは「次亜塩素酸水」とは全く別物だ。

消毒スプレー

次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムとの違いをまとめると以下になる。

●製法の違い

「次亜塩素酸水」:次亜塩素酸(HOCl)
「次亜塩素酸ナトリウム」:次亜塩素酸イオン(OCl-)

●殺菌力の違い
次亜塩素酸(HOCl)の殺菌力は次亜塩素酸イオン(OCl-)より約 80 倍高い。
●pHの違い

「次亜塩素酸水」:酸性
「次亜塩素酸ナトリウム」:強酸性

●安全性

「次亜塩素酸水」:生体(手指、皮膚)に使用可
「次亜塩素酸ナトリウム」:生体使用不可

※次亜塩素酸水について詳しくは下記をご参照ください。

次亜塩素酸水とは?次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)との違いは?

次亜塩素酸水のウイルス感染予防効果は?

次亜塩素酸水は新型コロナウイルスの感染予防に効果はあるのか?
まず、新型コロナウイルスの感染予防効果に関しては、現段階で確認できないので、「効果がある」とは言えない。

新型コロナウイルスの感染予防効果に関しては、次亜塩素酸水に限らず、新型コロナウイルスの感染予防対策グッズ全般に同じことが言える。

これに関しては、首掛けタイプのウイルスブロッカーに関する記事で言及しているので、興味のある方はご参照ください。⇒ウイルスブロッカーの新型コロナウイルス予防効果【まとめ】

次に一般的なウイルスに対して効果は確認できているかということ。
一般的なウイルスに対して効果が確認できていれば、新型コロナウイルスに対して効果を発揮できる可能性が期待できる。

厚生労働省の見解

厚生労働省(=政府と言えるだろう)は、「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」の中で、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの抗菌・抗ウイルス活性の比較表を掲載している。
「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」との違い抗ウイルス
資料が古い為か、コロナウイルスに関する記述はないが、ノロウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスに対して、抗ウイルス活性をあり(二重丸)としている。

経済産業省の見解

経済産業省では、新型コロナウイルスに有効な可能性がある消毒方法として以下を選定した。

「界面活性剤(台所用洗剤等)」
「次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)」
「第4級アンモニウム塩」

「今後、これらの消毒方法について、NITEにおいて有効性の評価を実施」するとのこと。
※参照元:新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を行います【経済産業省】(2020年4月15日)

(一財)機能水研究振興財団の見解

こちらの資料は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて作成されたものだ。
レポートの日付は2020 年3月。
一部抜粋する。

次亜塩素酸水(有効塩素濃度 10~80ppm)は、各種の病原細菌やウイルスに対して高い殺菌活性や不活化活性を示します。
それらの活性は、消毒用アルコール(70%)より高く、0.1%次亜塩素酸ナトリウムと同等性があります。
新型コロナウイルスを含めてコロナウイルスは、インフルエンザウイルスと同じくエンベロープをもつ粒子構造をもっています(図 2)。したがって、次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに対しても有効性を示すと推察できます。

※参照元:【(一財)機能水研究振興財団】

作成日は新しいが、内容的に目新しい内容ではない。
前述の厚生労働省の「次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性に関する資料」の内容を新型コロナウイルスに特化してまとめているだけだ。

しかし、以下の文章には、ハッとした。

なお、新型コロナウイルスを対象にした不活化試験は消毒用アルコールでも 0.1%次亜塩素酸ナトリウムでも行われていないと思われます。

現在、WHOや厚生労働省が推奨している手指の消毒用アルコールや亜塩素酸ナトリウムの希釈液も新型コロナウイルスの感染予防効果が確認されているわけではないのだ。
※そういった事実は公表されていない。
【補足】
一般財団法人 機能水研究振興財団」とは?

財団法人機能水研究振興財団は、健康や衛生の保持・増進に寄与すると期待される電解水を中心に機能水を社会福祉の向上に役立てることを目的に、1993年(平成5年)に厚生大臣の認可を得て設立されました。
2014年(平成26年)に内閣府管轄の一般財団法人に移行しました。

元北里研究所 基礎研究所所長の小宮山寛機氏の見解

(一財)北里環境科学センター顧問で元北里研究所 基礎研究所所長の小宮山寛機氏と日本電解水協会の専務理事 石渡幸則氏の対談をまとめたもの。

小宮山寛機氏は「酸性電解水(次亜塩素酸水)が新型コロナウイルスに効果があることは十分推察できる。」と述べている。

酸性電解水(次亜塩素酸水)は、ヒトや動物に感染する様々なウイルスに殺ウイルス効果を発揮します。
特に、ウイルス粒子にエンベロープを有しているインフルエンザウイルスには効果が優れているので、同じようなエンベロープを有しているコロナウイルスにも効果があることが考えられます。

※参照元:酸性電解水(次亜塩素酸水)による新型コロナウイルスの抑制効果【一般社団法人 日本電解水協会】

次亜塩素酸水はコロナウイルスに効果あり?【まとめ】

次亜塩素酸水が新型コロナウイルスの感染予防に効果があるかは現段階では確認のしようがないので不明だ。
※但し、これは「次亜塩素酸水」に限ったことではなく、全ての新型コロナウイルス対策グッズに言えることだ。

では、次亜塩素酸水はコロナウイルスの感染予防に効果は期待できるのか?

厚生労働省に関しては、古い資料にインフルエンザウイルスに効果があることを明言している。⇒厚生労働省の見解

このことを根拠に「インフルエンザウイルスと同じようなエンベロープを有しているコロナウイルスにも効果があることが考えられる」とするのが、今回取り上げたと元北里研究所 基礎研究所所長の小宮山寛機氏だ。

あくまでも可能性の話だが、期待度は大である。
※「次亜塩素酸水」の使い方については別記事をご参照ください。

【関連記事】▶新型コロナウイルス感染予防対策【まとめ】