「レシチンは頭が良くなる栄養素」と喧伝されることありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
レシチンの効果効能は?食品添加物「乳化剤」の副作用の危険性は?
レシチンを多く含む食品は?
レシチンの1日推奨摂取量は?
レシチンに関する疑問をスッキリ解説します。

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レシチンとは何か?

レシチン

レシチンは、元々はリン脂質 の1種類であるホスファチジルコリン(フォスファチジルコリン)の別名であったが、現在ではリン脂質を含む脂質製品のことを総称してレシチンと呼んでいる。
▶リン脂質については⇒リン脂質とは何?脂質二重層とは?リン脂質の種類・働き・多く含む食品

レシチンは細胞膜の主成分で脳神経や神経組織を構成します。

レシチンなどのリン脂質が不足すると、細胞膜が正常に働かなくなったり、コレステロールが蓄積することもあります。

またレシチンの働きは水と油を混ぜ合わせる乳化作用、酸化防止作用、保水作用などがあります。

コリンとは?

コリンは体内に入ると細胞膜や神経組織を構成するレシチンの材料になります。
※コリンについては別記事参照

レシチンの効果効能

レシチンは以下の効果効能が期待できます。

●認知症予防効果
●動脈硬化の予防効果
●脂肪肝の予防
●肝臓の機能を高める効果
●美肌効果
●ビタミンの吸収を促進する効果

認知症予防効果

アルツハイマー型認知症は脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの量が減ることが原因の1つです。

コリンが不足すると、神経伝達物質が生成されなくなってしまうため、徐々に記憶力の低下や認知症などを引き起こす可能性があります。

コリンはアルツハイマー型認知症の予防効果が期待できます。

動脈硬化の予防効果

血液中の余分なコレステロールが血管壁に溜まることが、動脈硬化の原因です。

レシチンの乳化作用によって、血液中のコレステロールが溶け、血液中のコレステロールの量をコントロールすることが出来ます。

その結果、動脈硬化を予防する効果が期待できます。

脂肪肝を予防する効果

肝臓に脂肪が蓄積されたのが脂肪肝ですが、レシチンには脂質の代謝をアップする働きがあるので、脂肪肝を予防する効果が期待できます。

肝臓の機能を高める効果

レシチンは細胞膜を活性化する働きもありますので、肝臓の機能を高める効果が期待できます。

美肌効果

レシチンの乳化作用によってコレステロールが血液中から排泄されるため、血流が良くなり、新陳代謝が促進されます。

酸素や栄養素が全身に行き渡るので、美肌効果が期待できます。

ビタミンの吸収を促進する効果

レシチンの乳化作用は脂溶性ビタミン(油に溶けやすい性質)であるビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの吸収を促進する効果が期待できます。

レシチンの副作用の危険性

レシチンは食品添加物「乳化剤」として利用されています。
レシチンが原料の「乳化剤」に副作用の危険性はないのでしょうか?

乳化剤とは?

マヨネーズと作る時に卵を使います。
その理由は、卵黄に含まれる「卵黄レシチン」の作用で、酢と油が混ざり合いやすくなるからです。

これは、レシチンには両親媒性の特徴があるからです。
※両親媒性とは、疎水性と親水性の両方を合わせ持つことです。

日常生活では、界面活性剤も理屈は同じです。
体や食器等の汚れ(脂・油)が落ちるのは、界面活性剤の脂・油と水をくっつける働きによるものです。

さて、レシチンが原料の食品添加物「乳化剤」には、食品や飲料に含まれる成分が分離するのを防いだり、滑らかさを出して舌触りを良くしたりする効果があります。

乳化剤は様々な食品に使われています。

レシチンが原料の乳化剤の危険性

レシチンが原料の乳化剤は、本来、原料が天然由来なので副作用の危険性は考えられません。

但し、原料に関しては副作用の危険性の可能性があります。
また、サプリとして過剰摂取した場合に副作用の危険性があります。

●遺伝子組み換えの大豆を使用
●アレルギー
●レシチン配合サプリの過剰摂取

遺伝子組み換えの大豆を使用

大豆レシチンの場合、問題になるのは遺伝子組み換えの大豆が使われていた場合です。

ただし、食品添加物には「遺伝子組み換え」の表示義務がないので、遺伝子組み換えの大豆が使われてるのかどうかは判断の使用がありません。

アレルギー

大豆や卵黄、牛乳などアレルギー物質を含む食材が、乳化剤の原料として使用されている場合、アレルギーを引き起こす危険性があります。

これらにアレルギーがある場合は、「非アレルゲン由来の乳化剤を使用している商品を選ぶ」や「体調の悪い時は食べない」など自分でルールを決める必要があります。

レシチンを多く含む食品

レシチンは大豆レシチンと卵黄レシチンの2種類があります。

大豆レシチン

大豆レシチンは大豆リン脂質に含まれているホスファチジルコリンのことです。

大豆レシチンは肝臓や血管中にとどまって肝臓を保護します。
血中コレステロールを減少させるので動脈硬化予防の効果も期待できます。

大豆レシチンは大豆や大豆製品、卵黄レシチンは卵黄に多く含まれています。

卵黄レシチン

卵黄に多く含まれている卵黄レシチンは、大豆レシチンよりもホスファチジルコリンが多く含まれます。

卵黄レシチンは神経系に関与するホスファチジルコリンが多く含まれ、神経伝達にかかわるアセチルコリンの前駆体であるコリンを含んでいます。

ホスファチジルコリンは、脳の神経伝達物質であるアセチルコリンの合成に不可欠なもので、集中力や判断力、記憶力を上げ、認知症やアルツハイマー病を予防する効果が期待できます。

レシチン配合サプリの過剰摂取

レシチンを大量(30g/日以上)に摂取すると発汗、嘔吐、消化管異常、下痢などの副作用を生じる可能性があります。

レシチンの摂取量

レシチンの摂取量は食事摂取基準2015では摂取量は決められていません。またJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でも添加物として利用する際も制限なしとなっています。

但し、サプリメントしてのレシチンの摂取目安量は100~250mg程度とされています。

大豆レシチンは大豆から抽出しているので、大豆アレルギーの方は摂取を控えるのが無難です。

食事から大豆レシチンを補う量は問題ありませんが、サプリメントや健康食品から摂取する際は、表示に記載されている1日当たりの摂取量を守りましょう。