リン脂質とは簡単に言うと何でしょうか?
リン脂質の両親媒性とは?脂質二重層とは?
生体膜と細胞膜の違いは?
リン脂質の種類は?レシチンとは?リン脂質を多く含む食品は?
リン脂質の働きは?不足するとどうなる?
リン脂質に関する疑問を徹底解説します。

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リン脂質とは何か?

リン脂質とは何でしょうか?

まずは、Wikipediaの記述を見てみましょう。

リン脂質(リンししつ)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称。
※英語では「Phospholipid」です。

両親媒性を持ち、脂質二重層を形成して糖脂質やコレステロールと共に細胞膜の主要な構成成分となるほか、生体内でのシグナル伝達にも関わる。

これだけ読んでもさっぱり分かりませんね。
詳しく見ていきましょう。

脂質とは?

レシチン一般的に「脂質」というと、たんぱく質、糖質と並ぶ三大栄養素の1つです。
脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
※脂肪酸については別記事参照

体内で合成できない脂質を必須脂肪酸といい、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸があります。
※オメガ3脂肪酸にはα-リノレン酸、DHA、EPAがあります
[関連記事]オメガ3脂肪酸とは?効能・摂取量・多い食べ物・油・食べ方を徹底解説!

体内における脂質は水に溶けず、有機溶媒(エーテルやクロロホルムなど)に溶ける物質の総称で、その構造によって中性脂肪、コレステロール、リン脂質などの種類に分けられます。

中性脂肪とは?

中性脂肪はエネルギーの貯蔵タンクです。
食べ物に含まれる糖質はエネルギーとして使われますが、使いきれなかった糖質は中性脂肪は体内に蓄えられます。

ダイエットに糖質が大敵なのはこういうわけです。
[関連記事]糖質制限食の方法&糖質制限ダイエットで痩せる理由

コレステロールとは?

コレステロールというと、悪玉コレステロールをイメージしやすいですが、実はコレステロールは人間の血液中だけでなく、脳、内臓、筋肉など全身に広く分布しており、細胞膜、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、脂肪の消化吸収を助ける胆汁の材料になります。

●悪玉コレステロール(LDL):各細胞にコレステロールを運ぶ
●善玉コレステロール(HDL):全身の細胞から余ったコレステロールを回収

LDLとHDLはコレステロールを運ぶ役割があり、悪玉コレステロール(LDL)が何か悪さをするわけではありません。

両親媒性とは?

両親媒性分子(りょうしんばいせいぶんし、amphiphilic molecule)は1つの分子内に水(水相)になじむ「親水基」と油(有機相)になじむ「親油基」(疎水基)の両方を持つ分子の総称。
界面活性剤などのほか、リン脂質などの生体内分子や両親媒性高分子などがある。

生体膜の主成分はリン脂質であるが、リン脂質の両親媒性は、生体膜をつくることを可能にしている。両親媒性によってリン脂質が二重層膜を形成することにより、成分の異なる水溶液を疎水性の領域によって内と外に区切るという役割を果たす。

リン脂質の他にも生体内には両親媒性を持った分子が存在する。例えば、コレステロールや糖脂質である。
出典:Wikipedia~両親媒性分子

生体膜とは?

生体膜(せいたいまく)とは細胞や細胞小器官の有する、その外界との境界の膜のことで、特有の構造を持つ。厚さ7~10nm。
出典:Wikipedia~生体膜

生体膜とよく似た言葉に「細胞膜」があります。
何が違うのでしょうか?

生体膜と細胞膜の違い

細胞膜、リソソーム膜、ミトコンドリア内膜、外膜、小胞体膜、ゴルジ体膜、核膜、シナプス小胞膜などの膜の総称が「生体膜」です。

「生体膜」の内、細胞の外側(外界)とのしきりの膜が「細胞膜」です。
では、この「細胞膜」にはどのような働きがあるのでしょうか?

そのヒントが「脂質二重層」です。

脂質二重層とは?

細胞膜の基本構造を成す、リン脂質を主とする膜。

隙間なく並んだリン脂質が疎水性部分を内側に、親水性部分を外側に向けて二重の層となる。

細胞膜の表面は親水性をもち、内部は脂肪酸に満ちて細胞の内外を遮断する障壁の役目をもつ。

リン脂質二重層。脂質二分子膜。
出典:コトバンク~脂質二重層

脂質二重層の役割

コレステロールの働きについては前述しました。

●悪玉コレステロール(LDL):各細胞にコレステロールを運ぶ
●善玉コレステロール(HDL):全身の細胞から余ったコレステロールを回収

細胞膜の材料はリン脂質とタンパク質・コレステロールです。

細胞は体液(水分)に囲まれています。
細胞内は、脂肪酸に満ちています。

リン脂質には、両親媒性(疎水性と親水性)があるので、細胞膜の表面は親水性部分を、細胞膜の内側に疎水性部分を向ける脂質二重層にすることで、細胞内に水分が通さず、脂肪酸を通すことが可能になります。

細胞内の脂肪酸はエネルギーに変わり、生命活動を支えます。

リン脂質の種類

レシチンは、元々はリン脂質 の1種類であるホスファチジルコリン(Phosphatidylcholine)の別名であったが、現在ではリン脂質を含む脂質製品のことを総称してレシチンと呼んでいる。

市場などでは原料に何を使用しているかで分類され、卵黄を原料とするものは「卵黄レシチン」、大豆を原料とするものは「大豆レシチン」と呼ばれ、区別される。

体内で脂肪がエネルギーとして利用・貯蔵される際、タンパク質と結びついてリポタンパク質となり血液の中を移動するが、このタンパク質と脂肪の結合にレシチンを必要とする。
出典:Wikipedia~レシチン

大豆レシチンとは?

大豆レシチンは大豆リン脂質に含まれているホスファチジルコリンのことです。
▶大豆レシチンについては⇒レシチンとは?効果・副作用の危険性は?多く含む食品・摂取量は?~大豆レシチン

卵黄レシチンとは?

卵黄に多く含まれている卵黄レシチンは、大豆レシチンよりもホスファチジルコリンが多く含まれます。
▶卵黄レシチンについては⇒レシチンとは?効果・副作用の危険性は?多く含む食品・摂取量は?~卵黄レシチン

リン脂質を多く含む食品

私たちが食べている食品にも含まれていますが、リン脂質を食事から摂取してもそのまま体内に取り込まれる訳ではありません。

体内でグリセロールや遊離脂肪酸に分解されて体の各細胞内においてリン脂質に再合成されます。

リン脂質を多く含む食品として、鶏卵・大豆食品・穀物類・魚・肉などがあります。
※大豆レシチン・卵黄レシチンについては前述

リン脂質の働き

リン脂質には以下の働きがあります。

●リン脂質は各細胞の細胞膜を形成している主な成分
●リン脂質は脂肪分を運動エネルギーに変える
●リン脂質は体内で脂肪がエネルギーとして使われたり貯蔵される際にたんぱく質と結合して血液中に移動する
●リン脂質は脳の活動に必要な栄養素~脳の神経細胞同士をつなぐ伝達物質であるアセチルコリンの原料となる
●リン脂質は記憶に関わる

リン脂質が不足するとどのような弊害があるのか?

リン脂質が不足すると上記の働きが出来なくなります。

●細胞膜が正常に作られなくなる
●血管に悪玉コレステロールや中性脂肪が増加する
●動脈硬化や腎臓病・心臓病・糖尿病といった生活習慣病を起こすリスクが増える
●記憶力や判断力が低下する

リン脂質とは簡単に言うと何?

リン脂質に関するまとめです。

●リン脂質は脂質の1つで、他に中性脂肪、コレステロールがある。
●リン脂質はタンパク質・コレステロールとともに細胞膜の原料である。
●リン脂質の特徴は両親媒性にある。
両親媒性とは、疎水性と親水性の両方の性格を合わせ持つこと。
●この両親媒性によって、細胞膜を脂質二重層にすることができる。
●脂質二重層とは、細胞膜の表面は親水性部分を、細胞膜の内側に疎水性部分を向ける二重構造をとること。
これによって、細胞は体液に包まれているが、細胞内には脂肪のみを通すことができる。
●細胞内の脂肪はエネルギーに代わる。
●リン脂質の両親媒性により、タンパク質と結びつき、コレステロールが血液中を移動できる。
●リン脂質は、神経伝達物質のアセチルコリンの原料となり、脳の活動に必要な栄養素を形成する。