座りすぎの弊害を取り上げるTV番組が増えてきました。
「日本人が座る時間の平均は1日8~9時間」という報告もありますが、座りすぎの問題は日本だけではなく海外でも同じ。
座りすぎの弊害に関して様々な研究がなされ、「座りっぱなしは寿命を縮める」という結果も。
座りすぎには腰痛や首・肩のコリのみならず、糖尿病等のリスクもあります。
座りすぎの弊害とその理由を解説します。
エコノミークラス症候群も座りすぎの弊害
座りすぎの問題は、座ること自体ではなく、長い時間座り続けることにあります。
象徴的な例がエコノミークラス症候群です。
じっと座ったまま動かないと下半身の血流が悪化し、血栓ができやすくなります。
「1日5時間以上テレビを見るとエコノミークラス症候群のリスクが2時間半未満の人の2.5倍高まる。」という研究結果も。
さらには、死亡リスクも高めることが分かっています。
座りっぱなしは寿命を縮める
「1時間座ると22分寿命が縮まる」
(座りすぎ研究の最先端であるオーストラリアの研究機関が公表。)
WHO(世界保健機関)も座りすぎのリスクを指摘し、座って動かない生活は喫煙、不健康な食事、アルコールの飲み過ぎと並んで、がん、糖尿病、心血管障害、慢性呼吸器疾患を引き起こし、世界で年間約200万人の死因になる」と伝えています。
「世界で年間43万人以上が、座って過ごす時間が長すぎることが死因になっている」(ブラジル・サンパウロ大学の研究者による報告)
テレビの視聴時間と死亡リスクの研究では、1日5時間以上座ってテレビを見る人は、肺の血管に血栓が詰まる静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)で死亡するリスクが増加。
「座る時間が1段階上がると総死亡リスクが11%ずつ高まること、心血管疾患(心筋梗塞、狭心症など)で死亡リスクは18%ずつ高まる」ことがわかっています。
「1日11時間以上座っている人は、4時間未満の人より死亡リスクが40%高まる。8~11時間座る場合でも、1日4時間未満の場合に比べて死亡リスクは15%高い。」
さらに「自動車移動で座る時間が週平均10時間以上の成人男性は、週4時間未満の男性と比べて心血管疾患による死亡リスクが82%も高い。」という研究結果も。
まさに「座りっぱなしは寿命を縮める」のです。
座りすぎの弊害
座りすぎ(長時間座り続ける)と、体に何が起きているのでしょうか?
「ふくらはぎ」と「太もも」を動かさないと体はピンチ
「ふくらはぎ」は第二の心臓と呼ばれ、足に降りた血液を心臓まで押し上げて戻すポンプの役割があります。
「太もも」の前部には、人体で一番広くて厚みがある「大腿四頭筋」と呼ばれる特大級の筋肉がついています。
この2つの要所を動かさないでいることは、血液や代謝を悪化させます。
「座って5分もすると血流速度が急激に下がり、30分座り続ければ血流速度は70%も低下する」。
2時間座り続けた後の血液の状態を調べると、明らかな血糖値の上昇が見られ、糖代謝にかかわるインスリンの効果が大幅に減るという報告も。
従って、座ってばかりいると、糖尿病のリスクが上がります。
足の血流が悪くなると、血液がドロドロの状態に陥り、結果、血管が詰まりやすくなり、高血圧や動脈硬化もすすんで心筋梗塞や狭心症、脳梗塞のリスクが高まります。
腰痛や首・肩のコリの原因に
太ももやおしりをつぶすような姿勢をとれば、たちまち足の血液の渋滞が起こってしまいます。
また、座った姿勢は、立った姿勢と比べて骨や筋肉にかかる負担が元々大きく、脊柱の骨と骨の間にある椎間板への負担が40%に増えることが分かっています。
腰痛
パソコン作業などに熱中していると、上体は段々前に傾きやすくなるが、座面に対して体を前傾させて座ると、腰痛を誘発しやすくなります。
また、座っている時は股関節がほぼ直角に曲がったままなので、関節がガチガチに硬くなって伸縮性が低下し、膝にも悪影響が出やすくなります。
長年ずっとデスクワークをしてきた人は、腰と繋がったお尻の筋肉も硬くなり、その為に腰痛を引き起こすこともあります。
首や肩のコリ
首や肩のコリは座りすぎ症候群の典型的な症状の1つです。
座っている時は、肩甲骨を支える為に首の後ろや肩甲骨周りの筋肉はぴーんと緊張しっぱなし。
その為、筋肉が硬くなって、コリや痛みを感じます。
座りっぱなしで動かないと頭の中も活性化せず、実際に認知機能が低下していくと言われています。
座りすぎに弊害について、一歩先を行く世界中の企業は注目しており、既に対策を取り始めています。
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※本記事は主に本「長生きしたければ座りすぎをやめなさい」(著者:岡浩一郎)を参照しました