ビタミンD3とは何でしょうか?ビタミンDとは違うのでしょうか?
ビタミンD3を過剰摂取(あるいは不足・欠乏)すると、どんな病気のリスクがあるのでしょうか?
ビタミンD3が多い食品・食べ物は?
ビタミンD3の1日の摂取目安は?
ビタミンD3に関する疑問をスッキリ解決!
ビタミンDの発見
ビタミンDの発見のきっかけは「くる病」です。
「くる病」は1650年、イギリスのF・グリソンらによって報告されました。
その後、日照量不足、日光量不足が「くる病」の原因だとヨーロッパの研究者たちが気付いたのが1800年前半。
1800年後半にフランス人医師トルソーが「くる病」は日光浴の不足が原因であり、タラの肝油が「くる病」の症状に効くことを発見。
その後、アザラシや鯨の脂も「くる病」や「骨軟化症」の治療に使われるようになります。
※「くる病」「骨軟化症」については後述します。
1922年にアメリカの化学者エルマー・マッカラムにより、不足すると「くる病」が起こる物質が特定されて「ビタミンD」と名付けられました。
後にドイツの化学者アドルフ・ヴィンダウスが、椎茸のエルゴステロールに紫外線を当てると、ビタミンD2ができることを発見し、1930年代にはヒトを始めとする哺乳類の皮下で合成されると判明しました。
ビタミンD3とは?
上記に「ビタミンD2」という名前が出てきましたが、ビタミンDには実はD2からD6まで5種類あります。
※D1は欠番です。
その中でヒトにとって重要なのはD2とD3です。
ビタミンD2
ビタミンD2は植物由来のビタミンDであり、主に干し椎茸などのキノコ類に含まれています。
ビタミンD3
鮭やマグロのトロといった魚類の身やアン肝のうな魚類の肝臓などに含まれています。
人の人体にとってビタミンDの最大の供給源となっているのは、何といっても皮下における合成です。
日光浴で紫外線を浴びると、皮膚(皮下)でコレステロールからビタミンD3が作られます。
ビタミンD3は体温によって容易にビタミンDに変化します。
皮下から血液中に入ったビタミンDは、食べ物から得られたビタミンDとともに、肝臓で「25-ヒドロキシビタミンD」に代謝されます。
ビタミンDが欠乏すると?
ビタミンDの働きとしてこれまで知られていたのは、体内へのカルシウムとリンの吸収の調節です。
カルシウムやリンなどの摂取が少なかったリ、その体内への吸収を助けるビタミンDが欠乏したりすると、骨の健康を保てなくなります。
骨が弱体化すると、骨が成長している幼少期では、骨の強度不足による変形、筋力低下、低身長を招く「くる病」に罹りやすくなります。
骨の成長が終わって両方の骨端が閉じると、骨が柔らかくなって、痛みなどを生じる大人の「くる病」ともいうべき「骨軟化症」、骨がスカスカになって骨折しやすくなる「骨粗しょう症」などが起こります。
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また、、妊活中にお母さんがビタミンD不足だと、生まれてきた赤ちゃんがビタミンD欠乏症並びに「くる病」になる可能性があります。
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ビタミンDに関係する病気
ビタミンDの働きは体内へのカルシウムとリンの吸収の調節だけでありません。
ビタミンDの生理機能と関連する病気は多岐にわたります。
ビタミンDが不足するとこれらに罹患するリスクが上がり、適度に摂取すると予防になると考えられます。
- がん
- 心臓病・脳卒中
- 認知症
- 高血圧
- 2型糖尿病
- アレルギー疾患(花粉症・アトピー性皮膚炎・遅延性フードアレルギーなどの食物過敏症)
- 自己免疫疾患(関節リュウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、1型糖尿病)
- 感染症(かぜ、インフルエンザ)
- 精神障害(うつ病、季節性うつ、自閉症、統合失調症)
ビタミンDの1日摂取量は?
成人男女の1日の摂取目安量は5.5μgですが、厚生労働省の「平成27年国民健康・栄養調査」によると日本人は現在1日平均で成人8.4μg、成人女性7.5μgを摂っています。
※年齢別の日本のビタミンD食事摂取基準(μg/日)は、こちらの記事をご覧下さい。
一見、十分足りているように思えますが、それはビタミンDの働きをカルシウムの代謝と骨代謝のみに限定しているからで、日本の摂取基準は国際的に見ても低すぎます。
例えば、アメリカではビタミンDの1日の摂取推奨量は成人で15μgとなっています。
これは日本の3倍近い数値です。
お隣の中国でもビタミンDの1日の摂取推奨量は成人で日本の2倍近い10μgとなっています。
ビタミンDの単位はかつてIU[国際単位]が用いられてきましたが、現在ではμg[1000分の1mg]を単位に用いるケースもあります。
100μg=4000IUです。
ビタミンDを過剰摂取すると?
ビタミンD過剰の代表的な弊害として挙げられるのが、血中にカルシウムが増えてくる高カルシウム血症があります。
ビタミンDはどれだけ摂取すれば過剰摂取になるのでしょうか?
日本、米国、中国の耐容上限量は、各々1日当たり100μg、50μg、100μgです。
「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」では、一例を除いて、250μg/日未満では、高カルシウム血症の報告はみらない為、…アメリカ・カナダの食事摂取基準に準拠して、…耐容上限量を100μg/日とした」と説明しています。
ビタミンDの推奨量が日本の3倍近い数値の米国と日本の耐容上限量が同じ100μgというのは不思議な感じがしますが、これは日本の摂取基準が低すぎる為と考えられます。
[補足説明]
耐容上限量は、この値を超えて摂取した場合、過剰摂取による健康障害が発生するリスクがゼロではなくなることを示す値です。
「病気を遠ざける!1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力」の著者である斎藤糧三医師は1日に100μgをビタミンD摂取を推奨しています。
100μg/日のビタミンDを合成・摂取しても問題はない、と考えられます。
但し、食事やサプリメントを中心に100μg/日のビタミンDを摂るのではなく、あくまで日光浴でのビタミン合成を柱とするのが基本です。
優先順位は①日光浴、②食べ物から摂取、③ビタミンDサプリメントからの摂取、の順番になるでしょうか?
但し、日常的にビタミンDが不足している人はビタミンD3サプリメントの活用が有効です。
その場合は、食事+サプリメントで補う形になります。
※効果的な日光浴の仕方はこちらの記事をご覧下さい。
ビタミンD3が多い食品は?
最後にビタミンD3が多い食品・食材を一部ご紹介します。
※[]内は可食部100g当たりのビタミンD3含有量(μg)です。
鰯の仲間
マイワシ[32] | マイワシ(みりん干し)[53] | 畳鰯[50] | シラス干し(微乾燥品)[46] | メザシ[11] |
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鮭の仲間
鮭(白鮭・秋鮭)[32] | イクラ[44] | スジコ[47] | ベニザケ[33] | マス[12] |
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カツオとマグロ
カツオ(秋獲り)[9] | カツオ(缶詰、味付け)[9] | クロマグロ(本マグロ、赤身)[5] | キハダマグロ[6] | ビンナガマグロ(ビンチョウ)[7] |
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鰯以外に手に入りやすい青魚
ニシン[22] | 塩サバ[11] | サンマ(皮付き)[14.9] | サンマ(開き干し)[14] | 真アジ[8.9] |
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それ以外の魚類
鮟肝[110] | 数の子[3] | メゴチ[11] | カマス[11] | イカナゴ[21] |
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※本記事は「病気を遠ざける!1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力 (講談社+α新書)」を主に参照しました。
ビタミンDサプリメント
日照時間が少ない地域や季節にビタミンDを補うには食品から中心になりますが、ビタミンDは魚類に多く含まれ、魚類は苦手というかたもおられるのではないでしょうか?
そういった方におすすめなのがビタミンDサプリメント。
ビタミンDサプリメントは複数のメーカーから販売されていますが、口コミでの評判が高いビタミンDサプリメントはDHC「ビタミンD3」です。
海外製のビタミンDサプリが多い中、DHC「ビタミンD3」は日本では有数の健康食品・化粧品販売会社のDHCが販売するビタミンDサプリメントです。
1粒にビタミンDが25μg(1000I.U.)含有されています。
健康リスクに立ち向かうには、1日あたり0−25μg(800−1000I.U.)必要であるとされていますので、十分な量です。
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