ビタミンDというと、「カルシウムの吸収を手助けするビタミンで皮膚の下で合成されるので日光を浴びましょう。」という話になることが多いですが、ビタミンDの働きはそれだけではありません。
骨折予防を始め、癌・糖尿病・高血圧・花粉症の予防など、様々な効果があることが判明しています。

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日本のビタミンDの1日摂取量と問題点

骨折

ビタミンDの摂取量の基準は従来、カルシウム代謝と骨代謝の最適化を狙って定められています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」でも、以下の文章が明記されています。

ビタミンDの主な作用

ビタミンDの主な作用は、ビタミンD依存性タンパク質の働きを介して、腸管や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促す事である。
ビタミンDが欠乏すると、腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、低カルシウム血症となる。
これに伴い二次性副甲状腺機能亢進症が惹起され、骨吸収が亢進し、小児では、くる病、成人では骨軟化症が惹起される。

日本のビタミンD食事摂取基準

厚生労働省による日本のビタミンD食事摂取基準(μg/日)は以下の表になります。

性別男性女性
年齢目安量形容上限量目安量形容上限量
0~5ヶ月5.0255.025
6~11ヶ月5.0255.025
1~2歳2.0202.020
3~5歳2.5302.530
6~7歳3.0403.040
8~9歳3.0403.040
10~11歳4.5604.560
12~14歳5.5805.580
15~17歳6.0906.090
18~29歳5.51005.5100
30~49歳5.51005.5100
50~69歳5.51005.5100
70歳以上5.51005.5100

※妊婦の目安量は7.0μg、授乳時は8.0μg。

日本のビタミンD食事摂取基準の問題点

成人男女の1日の摂取目安量は5.5μgですが、厚生労働省の「平成27年国民健康・栄養調査」によると日本人は現在1日平均で成人8.4μg、成人女性7.5μgを摂っています。

十分足りているように思えますが、それはビタミンDの働きをカルシウムの代謝と骨代謝のみに限定している日本の摂取基準が国際的に見ても低すぎるからです。

例えば、アメリカではビタミンDの1日摂取推奨量は成人で15μgとなっており、これは日本の3倍近い数値です。
また、アメリカの摂取推奨量を日本の基準だと仮定すると、実際の摂取目安量の半分に近い数字になり、全然足りません。

慢性的な疾患の予防と改善に必要なビタミンD摂取量は?

「病気を遠ざける!1日1回日光浴~日本人が知らないビタミンDの実力」の著者、斎藤糧三医師は、「ビタミンDの血中濃度を最適化し、現代人が悩む慢性的な疾患の予防と改善を果たすために、成人1日100μg(4000IU)の皮下での合成と摂取を勧めています。

しかし、この推奨量は斎藤糧三医師だけの個人的な見解ではなく、前述の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では成人の耐容上限量を100㎎/日としています。

従って、ビタミンDを1日に100μg摂っても過剰摂取にはならないということです。
逆に摂取不足こそ問題だと言えます。

ビタミンDの働きをカルシウムの代謝と骨代謝のみではなく、その他様々な働きがあります。

ビタミンD不足により起こる可能性のある疾患

ビタミンDは日本では馴染みの少ないビタミンですが、世界的に一番ホットなビタミンであり、アメリカで最も頻繁に行われる特殊な血液検査は、ビタミンDの血中濃度の測定です。

さらに、アメリカにおいて単体のビタミンサプリメントで最高の売上を記録しているのもビタミンDです。

日本を始めとする先進諸国では、過半数に近い人はビタミンDが足りない状態であり、それが慢性疾患の一因と考えられています。

現在では、以下のような疾患に、ビタミンDの不足が何らかの形で関わり、ビタミンの充足で改善できる可能性が指摘されています。

  • がん(大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん)
  • 動脈硬化性疾患(心臓病、脳卒中)
  • 認知症(アルツハイマー型認知症)
  • 高血圧
  • 2型糖尿病
  • アレルギー疾患(花粉症・アトピー性皮膚炎、遅延性フードアレルギー)
  • 自己免疫疾患(関節リュウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、1型糖尿病)
  • 感染症(かぜ、インフルエンザ)
  • 精神障害(うつ病、季節性うつ、自閉症、統合失調症)

次にビタミンDに期待される効果を見ていきます。

ビタミンDの効果

ビタミンDに期待される効果にはいかのものがあります。

高齢者の骨折予防

ビタミンDによる大腿骨近位部(股関節に近い部分)の骨折抑制効果を解析したメタアナリシスによると、1日約20μg以上の摂取で、有意な骨折抑制効果が認められました。

また、60歳以上の高齢者を対象とした試験、メタアナリシスでは、ビタミンビタミンDで転倒による骨折を22%有意に抑制できるという結果が出ています。

がん抑制効果

現在では、ビタミンDは皮膚がん以外のほとんどの癌に対して抑制的に働くことが知られています。

高血圧を下げる作用

ビタミンDには高い血圧を下げる働きがあります。

ビタミンDは血管内皮組織でNO(一酸化窒素)を作る酵素の産生量を増やし、血管をリラックスさせて血圧を下げているのです。

糖尿病の予防

ビタミンDの摂取は糖尿病の1型にも2型にも効果的です。

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞にはビタミンDの受容体があります。
ビタミンDがこの受容体に結合すると、インスリンが分泌しやすくなるからです。

血糖値が上がるのは、ご飯やパンや砂糖などに含まれている糖質が原因。
糖尿病を予防するには、糖質の過剰摂取を避ける必要があります。

それに加えてビタミンDの摂取を増やすことが糖尿病の予防に役立ちます。

心不全や脳卒中のリスクが下がる効果

ビタミンDは血管や心臓の受容体に結合すると、アテローム性動脈硬化と心臓病を直接防ぐ働きがあります。

風邪やインフルエンザを予防

ビタミンDをサプリメントで補給すると、風邪やインフルエンザといった感染症(感染性呼吸器疾患)を予防するのに有益だという報告があります。

ビタミンDサプリメントは、毎日もしくは毎週摂取した方が、1ヶ月に一度大量に摂取するよりもインフルエンザの予防効果は高く、さらに、もともとビタミンD不足の人の方が効果がありました。
※ビタミンD3サプリメントについては⇒ビタミンD3サプリメント比較おすすめランキング

筋肉を増やす作用

古くから太陽を浴びると運動能力の向上に結び付くと考えられていました。
いずれの筋肉にもビタミンDの受容体があり、筋肉の代謝にビタミンDが影響を与えています。

認知症の予防効果

神経細胞にもビタミンDの受容体があり、脳でもビタミンDが重要な働きをしているこを示唆しています。

アメリカ神経学会は、ビタミンDが欠乏している高齢者は、アルツハイマー病による認知症になりやすいという研究を発表しています。

うつ病の改善

何らかの原因によって脳内でのビタミンDの働きが悪くなると、うつ病のリスクが高まる恐れがあります。

ビタミンDの投与により、うつ病でもっとも一般的な大うつ病障害(MDD)の患者の症状が改善したという論文が出ています。

花粉症の改善

花粉症はスギなどの花粉に対するアレルギー疾患です。

ビタミンDの不足で花粉症が起こり、ビタミンDを摂取すると花粉症の症状が軽くなったという報告があります。

免疫反応にはアクセル役とブレーキ役があり、過剰な免疫反応がおこらないように調整しています。これを「寛容」と呼びます。

白血球などの免疫を担う細胞には、ビタミンDの受容体があり、ビタミンDと結合すると「寛容」を誘導しやすくなります。

ビタミンDが不足していると、この「寛容」が正しく働かない為、花粉を寄生虫と誤認してアレルギー反応が起きます。

ビタミンDを摂ると「寛容」が正しく誘導される為、花粉症の症状が抑えられる、というわけです。

ビタミンDの摂取で遅延型フードアレルギーが軽快するケースが殆どです。

アトピー性皮膚炎の対策にも有効

アトピー性皮膚炎の背景にあるのは、免疫バランスの乱れ。
ことに免疫の寛容を誘導してくれる「制御性T細胞」の不足が問題です。

ビタミンDは制御性T細胞の働きを助けます。
※本記事は「病気を遠ざける!1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力 (講談社+α新書)」を主に参照しました。