糖質制限ダイエットがブームですが、糖質制限ダイエットは今までの医学の常識から素直に受け入れがたいといった医師や管理栄養士等の専門家が「糖質制限は危険」を主張して、雑誌やTV番組でも糖質制限の危険性が喧伝されています。
専門家が言うといかにももっともらしく聞こえるのですが、専門家が信じる常識が実は古かったリ、根拠とする論文が間違っているケースもあります。
今まで医学の常識とされている事柄に対するする反論(エビデンス付き)を糖質制限食の第一人者である江部康二医師の著書からピックアップしてみました。

sponsorlink

糖質制限の基本的なやり方

糖質制限では糖質をカットする代わりに、タンパク質と脂質を摂取するため、肉類、魚介類、卵、大豆などの摂取を増やします。

このことにより以下の2点が問題になります。

①糖質をカットすることによる危険性
②高タンパク質・脂質の食事を摂ることによる危険性

それではこの2点に関連して世の中で一般的に信じられている「常識」に触れたいと思います。

肉を食べ過ぎると大腸がんになる?

医学論文国立がん研究センターあ発表した2011年の多目的コホート研究では、「赤肉」の摂取が多いグループ(1日80g)では、女性の結腸癌(大腸がんの一種)のリスクが上がり、「加工肉」を含めた肉類全体の摂取量が多いグループ(1日100g以上)では、男性の結腸癌のリスクが高くなるという結果が報告されています。

[反論]
加工された肉を避けるのは賛成ですが、糖質制限をしていれば赤肉についてはそれほど神経質に制限しなくてもよい。

何故なら、肉類とガンの関わりを調べた研究は全て糖質を普通に摂っている集団を研究の対象としたもの。

糖質の過剰摂取こそ、ガンの最大の危険因子なのですから、糖質をカットすれば赤肉によるガンの発生リスクを気にする必要はない。

それでも気になる人は1日当たり赤肉を生肉換算で100gに抑え、後は鶏肉や魚介類などからタンパク質と脂質を摂るようにしましょう。

脂肪悪玉説

脂肪を摂り過ぎると、肥満になりやすいし、コレステロールが増えて血管に詰まるので病気になり易い、特に動物性のアブラは体に悪いから摂らない方がいい

[反論]
脂質比率20%で強力に脂質制限をしたグループは、対照グループに比べ心血管疾患、乳がん、大腸がんのリスクが低下しなかった」(米国の蛇規模介入試験~米国医師会雑誌[2006年2月8日号])

炭水化物(糖質)が少なく脂肪とタンパク質が多い食事でも、冠動脈疾患おリスクは上昇しなかった」(ハーバード大学のグループによる研究~ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン[2006年11月9日号]

肥満や糖尿病の原因が、脂質ではなく糖質の摂り過ぎにあることは全米健康調査(男性)からも明らかになっています。[1995年~2005年]

〈低脂質+野菜豊富な食生活〉は乳がん、大腸がん、心血管疾患リスクを下げない」(米国医師会雑誌[2006年2月8日号])

コレステロールの摂り過ぎで動脈硬化?

動脈硬化を起こす主因は酸化ストレス。
その元凶になっているのは体内で発生する「活性酸素」。

酸化ストレス下では、末梢にダブついているLDLが酸化して酸化LDLコレステロールという超悪玉の異物になり、血管内皮細胞に炎症反応をおこしてしまします。

それが動脈硬化の始まりです。

糖質制限をすると、食後高血糖、高インスリン血症、血糖値の乱高下がいずれも避けられて酸化ストレスが低下します。

血液がドロドロの状態も解消してサラサラと流れるようになりますから、動脈硬化の予防につながるのです。

肉類や卵などの動物性食品からコレステロールをとっても、短期的にはともかく、長期的にはコレステロール値は上がりません。

コレステロールは肝臓で80%が作られているので、食事はコレステロール値に影響を与えないのです。

現在ではコレステロール値が遺伝的に下げられない「家族性高コレステロール血症」という難病を除くと、コレステロールを控える必要がないことが分かっています。

控えるべきはコレステロールではなく、ご飯やパンやお菓子などの糖質なのです。

糖質制限ダイエットを5年以上続けると死亡率が高まる可能性がある?

総摂取エネルギー比率、糖質30~40%の中糖質群は、60~70%の高糖質群と比べて、死亡率が1.31倍だった」(能登論文[2013年 第47回日本成人病学会にて発表)

[反論]
能登論文には様々な欠陥があります。
能登氏は492の論文から、最終的に9つの論文に絞ってメタ解析を行っている。
しかしながら、この9つの論文は玉石混交であり、信頼度ゼロの論文が含まれている。
※江部氏はこの論文の6つの大きな問題を指摘。
信頼度が低い論文を選択した時点で、能登論文の信頼度は地に落ちている。

ケトン体は危険?

糖質制限をすると脂質から代謝される「ケトン体」は、脳の神経細胞を初めとする全ての細胞の重要なエネルギー源になっています。

ところが日本の医師にはケトン体を「糖尿病ケトアシドーシス」のイメージから”危険物質”と捉えている人が少なくありません。

ケトン体は酸性の物質なので、糖質制限をしてケトン体の濃度が上がると「アシドーシス(酸性血症)」となる「ケトアシドーシス」を引き起こすのではないかという不安を持つ人もいます。

しかし、インスリン作用が保たれているⅡ型糖尿病、もしくはダイエットや健康を目的に糖質制限食をしている健常人のケトン体値が上昇しても、ケトアシドーシスに陥ることは絶対にないので、心配無用です。

糖尿病ケトアシドーシスは危険な症状ですが、そもそもインスリン作用が欠乏しないと絶対に発症しません。
それはⅠ型糖尿病の患者さんが、いきなりインスリン注射を中断したときなど特殊なケースに限られます。

肉類や乳製品などに多い飽和脂肪酸の摂り過ぎは、心臓病や脳卒中のリスクを高める?

2010年にアメリカの臨床栄養学雑誌「The American Journal of Clinical Nutrition」で、「飽和脂肪酸の摂取量と心情病や脳卒中の発症率には相関がない」ことが明らかに。

さらに飽和脂肪酸の摂取は体に悪いどころか、脳卒中のリスクを下げるかもしれないという研究報告もあります。

1日に摂取する飽和脂肪酸が多いほど、脳出血や脳梗塞による発症リスクは低い」ということがわかりました。(国立がん研究センターの多目的コホート研究の成果[2013年に国際専門誌『European Herat Journal」誌上で発表])