新型コロナウイルスの感染者が急拡大しています。
感染者拡大を受け、農林省はGo Toイートを原則4人以下での飲食に限るよう都道府県に呼びかけ始めました。
しかし、新型コロナウイルス対策に3密回避は本当に効果があるのでしょうか?
「本当はこわくない新型コロナウイルス」(著者:大阪市立大学名誉教授 井上正康先生)と言う本を読み、感染数の拡大で大騒ぎするマスコミや3密回避の効果に疑問が芽生えてきました。
「本当はこわくない新型コロナウイルス」の主張をまとめてみました。
新型コロナウイルス対策~3密回避とは?
3密とは?
3密(3つの密)とは、密閉、密集、密接から名づけられた言葉です。
密閉
窓がなかったり換気ができなかったりする場所のこと。
密集
人がたくさん集まったり、少人数でも近い距離で集まる。
密接
互いに手が届く距離で会話や発声、運動などをすること。
※参照元:新型コロナウイルスに関連する3密、ソーシャルディスタンスとは?クリニックフォアグループの医師が解説します。(2020.04.27)
「密接」は人間が2人以上集まると起こりうる問題なので、「ソーシャルディスタンス」(2メートル以上、最低でも1メートル)が叫ばれています。
これに関して「人との接触を8割減らせば、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する効果がある」と主張する8割おじさん(西浦博教授)も現れました。
厚生労働省・政府の見解
上記の抜粋記事の元ネタは以下の記事です。
安倍前総理の記者会見は緊急事態宣言を発出してから1か月程度経過後に行われました。
安倍前総理は会見で「密閉、密集、密接、3つの密を生活のあらゆる場面でできる限り避けていく。」と述べています。
そもそも新型コロナウイルス対策に3密回避が叫ばれる根拠は何でしょうか?
3密回避の根拠は何?
上記の3密はいずれも、飛沫感染対策です。
コロナウイルスの感染経路の一つである飛沫感染は、くしゃみや咳によるしぶきによって他者へ感染をさせてしまいます。
くしゃみや咳によるしぶきが到達する距離が、くしゃみで3m、咳で2mといわれています。この距離も加味して厚生労働省では、保つべき距離として相手との距離を2m程(最低でも1m)取ることを推奨しています。
しかし、新型コロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」だけではありません。
接触感染
接触感染とは、新型コロナウイルス感染者の飛沫に接触し、その状態で目・鼻・口などの粘膜に触れて感染することです。
この為、手洗いや感染者あるいは不特定多数の方が触れるドアノブや電車のつり革などは特に消毒が推奨されました。
新型コロナウイルス感染拡大はGoToトラベルが「きっかけ」?
新型コロナウイルスの感染が急拡大していることについて、日本医師会の中川俊男会長は11月18日(2020年)の会見で、政府の旅行支援策「Go To トラベル」が「きっかけになったことは間違いない」との見解を示しています。
但し、その根拠は、感染者が増えたタイミングがGoToトラベルキャンペーンの実施時期と一致している、の1点のみです。
根拠とは言えない個人的な感想といった体ですね。
農林水産省の見解
「Go Toイート」を所管する農林水産省は、食事券やポイントの対象は、4人以下での利用に限るよう都道府県への呼びかけを11月16日から始めました。
以上を踏まえ、「本当はこわくない新型コロナウイルス」の内容を見ていきます。
「本当はこわくない新型コロナウイルス」の主張
本書の正式なタイトルは『本当はこわくない新型コロナウイルスー 最新科学情報から解明する「日本コロナ」の真実』。
基本情報
●発売:2020/10/1
●著者:井上 正康
大阪市立大学名誉教授(分子病態学)
●内容:
欧米で多数の犠牲者を出した新型コロナウイルスが、日本ではなぜ少ない死者数で収まっているのか?
気鋭の分子病態学者が、遺伝子や免疫に関する最新の科学情報から新型コロナウイルスの真の姿を明らかにする。
(「BOOK」データベースより)
井上正康先生の動画
下記は「【失敗の本質】から学ぶポストコロナ時代への処方箋」と題した井上正康先生の動画です。
※2020年10月17日時点での井上正康先生の新型コロナウイルスに対する考え方がよく分かります。
井上正康先生のスタンス
井上正康先生が著書で主張する新型コロナウイルスに対する考え方は、毎日世界中の最新医学論文や臨床情報の分析に基づいています。
感染拡大の時期とGoTOトラベルの時期が同じと言うだけで、「GoTOトラベルが新型コロナウイルスの感染拡大のきっかけになったことは間違いない」と個人的な感想を医学的な見解のごとく発表する医師会会長とは大違いです。
感染率の違い
日本を含め東アジアが他外国と比べて感染率が低い理由
今でこそ、日本の新型コロナウイルスは急増していますが、それ以前は日本の感染者数が少ないのは、「PCR検査が他外国と比べて圧倒的に少ないから」と言われていました。
その点、現在の感染拡大の理由も1つにPCR検査が増えたことがあるのは間違いないでしょう。
しかし、感染者の拡大=新型コロナウイルスの拡大ではない、と井上 正康氏は主張します。
それは次の2つの観点によります。
●日本の子供の感染率は少なく、重症化しない
PCR検査の意味
そもそもPCR検査に使用するPCR検査キットは、ウイルスを診断するものではなく、あくまでもRNAの断片を検出する為のキットである。
PCR検査は「遺伝子のカケラ」を検出する方法であり、感染力とは無関係なウイルスの死骸でも陽性になる。
PCR検査数を増やして検出される陽性者の大半は無症状の健康成人であり、重傷者や死者はほとんど認められない。
即ち、「PCR陽性者=新型コロナウイルス感染者」ではない。
ところが、「PCR陽性者=新型コロナウイルス感染者」という”誤解”が独り歩きしている。
日本の子供の感染率は少なく、重症化しない
新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、当初から指摘されていたことに「日本の子供の感染率は少なく、ほとんど重症化しない」という事実がありました。
井上正康先生は、従来の風邪のコロナウイルスと今回の新型コロナウイルスが同じコロナの仲間であり、両者とも舌や鼻粘膜のACE2受容体を介して感染する。
そして、ACE2受容体は、運動不足により高血圧、糖尿病、腎臓病、及び高齢者などで増加する。
しかし、高血圧と無縁の子供のACE2受容体は僅かしかない。
これが「日本の子供の感染率は少なく、ほとんど重症化しない」理由だと主張します。
集団免疫の獲得
そして、井上正康先生は新型コロナウイルスの死者数に注目し、日本が欧米と比べて死者数が少ないのは、集団免疫を既に獲得していることにあると言います。
これは、日本では土着の風邪コロナウイルスが棲みついており、これに加えて第一波として弱毒のS型やK型が上陸して適正免疫や細胞性免疫が活性化され、55%以上の国民が集団免疫力を獲得したと推定しています。
3密回避と接触8割減の有効性は?
井上正康先生は飛沫感染が主な感染経路のインフルエンザと違い、ドアノブや便座などの物を介して感染する新型コロナウイルスでは、3密回避の効果は極めて低いことが多くのデータから示唆されている、と言います。
新型コロナウイルスに有効な対策とは?
以上を踏まえ、自粛要請や3密回避などよりも有病者や免疫力の弱い高齢者を集中ケアすることが「次の波」への現実的対応として何よりも大切だと主張します。
正に今、その「次の波」が来ていますが、政府の新型コロナウイルス対策は半年前と変わらない、3密回避です。
また、マスコミは日々「感染者数の拡大」を「新型コロナウイルスの拡大」ととらえ、危機感をあおり続けています。
そして、8割おじさんこと西浦博教授も同じ主張を繰り返えしています。
新型コロナウイルスは感染力の強い風邪ウイルス
井上正康先生は「新型コロナウイルスは日本や東アジアの民族には感染力の強い風邪ウイルス」と主張します。
日本では毎年数千万人が季節性インフルエンザに羅漢して約1万が死亡しています。
[補足]昨年のインフルエンザによる死亡者数は3300名
昨年対比では、現時点で新型コロナウイルスの倍の方が亡くなっています。
にもかかわらず、季節性インフルエンザに関して3密回避や接触8割減が叫ばれたことはありません。
しかし、新型コロナウイルスに対して政府もマスコミも過剰反応して「コロナ恐怖症」を煽っています。
「2類の指定感染症」からの格下げを早急にすべき
今回のコロナ騒動では医療崩壊の可能性が危惧されていますが、その主因は新型コロナを「2類の指定感染症」に指定したことにあります。
「2類の指定感染症」では症状の有無や重症度とは無関係に元気なPCR陽性者などを「感染症指定医療機関」で隔離する義務が生じます。
まずは「2類の指定感染症」からの格下げがコロナ禍解決の鍵となります。
そして、「新型コロナウイルスは感染力の強い風邪ウイルス」と認識して対処する事が大事だと主張します。
まとめ
井上正康先生の主張をまとめると以下になります。
※私なりの解釈です。
新型コロナウイルスに対する見解
●「PCR陽性者=新型コロナウイルス感染者」ではない。
●新型コロナウイルスの感染者の拡大=新型コロナウイルスの拡大ではない。
●新型コロナウイルスに感染して重症化するのは、病気がある人や高齢者など免疫力弱者。
●3密回避や接触8割減は新型コロナウイルスの抑制に効果的とは言えない。
新型コロナウイルス対策
●政府もマスコミも「コロナ恐怖症」を煽るべきではない。
●新型コロナウイルスを「2類指定感染症」から除外するか格下げをする。
●新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクの高い高齢者や入院患者を集中的にケアする。