ピーナッツの効能効果については、「ためしてガッテン」「NHKあさイチ」「TBSこの差って何ですか?」等のテレビ番組で再三取り上げられ、ピーナッツの血圧(血糖値・コレステロール)等を下げる効果が注目の的です。
ピーナッツのどの栄養素にそのような効果があるのでしょうか?
また、ピーナッツを食べ過ぎるとどうなのでしょうか?
ピーナッツの栄養・効能効果・食べ過ぎ等について徹底解説します。
ピーナッツの栄養
ピーナッツは、南米が原産であるマメ科の植物「落花生」の実の部分のことです。
一般的には「落花生」=「ピーナッツ」です。
ピーナッツを「ナッツ類(木の実)」と考えている方が多いようですが、大豆等と同様「豆類」です。
ピーナッツの栄養成分表
ピーナッツは、加工方法によって、栄養価は随分と異なります。
例えば、ピーナッツを炒る場合と茹でる場合。
さらに、バターピーナッツ等、塩やバターを添加した場合と何も添加しない素のピーナッツ。
さらには、薄皮付きとそうでないピーナッツ。
当記事では皮なしのピーナッツを炒って何も添加しないものを「ピーナッツ」と表現しています。
以下は、素のピーナッツと皮付きピーナッツの栄養成分表です。
可食部100gあたり | ピーナッツ | 皮付きピーナッツ* |
---|---|---|
エネルギー | 585kcal | 625kcal |
タンパク質 | 26.5g | 24.7g |
脂質 | 49.4g | 52.2g |
炭水化物(糖質/食物繊維) | 19.6g(12.4g/7.2g) | 18.7g(9.3g/9.4g) |
カリウム | 770㎎ | |
ナトリウム | 2mg | |
マグネシウム | 200mg | 230mg |
鉄 | 1.7mg | 2.3mg |
亜鉛 | 3mg | |
ビタミンE | 11.4mg | 7.4mg |
*皮付きピーナッツは、私がスーパーで購入した吉田ピーナツ食品株式会社の「食塩不使用うす皮付ピーナッツ」です。
「食塩不使用うす皮付ピーナッツ」は皮付の為なのか、素のピーナツよりカロリーが40kcal(100gあたり)多く、栄養価も若干異なっています。
そもそも、「ピーナッツ」の栄養成分表が「平均値」ということでしょうか?
いずれにしても、ピーナッツの栄養成分の特徴が見てとれます。
●ピーナッツの約半分が脂質
●高カロリー
●糖質は少ない(100gあたり10g前後)
●食物繊維は多い(100gあたり8g前後)
上記の栄養成分表で、皮付ピーナッツを取り上げたのには理由があります。
それは、ピーナッツの皮には栄養がある為です。
ピーナッツの皮の効能
ピーナッツの薄皮には、レスベラトロールなどのポリフェノールがたくさん含まれています。
皮にポリフェノールが含まれているのは、ピーナッツに限りません。
ブドウの皮等、皮にポリフェノールが含む果物や野菜はあります。
ポリフェノールの特徴は抗酸化作用。
酸化ストレスに効果を発揮し、心臓や血管の衰えに効果があると言われています。
次にピーナッツの効能効果を見ていきましょう。
ピーナッツの効能効果
アメリカのハーバード大学が30年間にわたって約12万人の食生活を調べた研究結果では、「死亡率を大きく下げる食材」としてピーナッツを挙げています。
▶参照元:血管を強くしなやかに!ピーナッツパワー解放ワザ【ためしてガッテン】
ピーナッツには以下の効能効果が期待できます。
●コレステロール値を下げる効果
●便秘改善効果
●血糖値を下げる効果
●認知症の予防効果
血圧を下げる効果
ハーバード大学の研究論文を読んだミスター血圧こと渡辺尚彦先生が実施した実験では、「ピーナッツを毎日20粒、3~4週間食べた結果血圧が8mmHg下がった。」 そうです。
▶参照元:毎日食べると血圧が8mmHg下がった! 降圧剤にも負けない「ピーナッツ」の降圧効果がすごい
ピーナッツには血圧を下げる効果が期待できます。
悪玉コレステロール値を下げる効果
ピーナツによって血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が下がったという外国の研究があります。
これは、ピーナッツに含まれるオレイン酸に悪玉コレステロールを減らす効果がある為だと思われます。
ピーナッツには悪玉コレステロールを減らす効果が期待できます。
便秘改善効果
ピーナッツを用いた健康効果に関する研究では、便秘気味の方は落花生を摂取しない時に比べて、落花生を食べ始めると統計的に有意に便通の改善が見られました。
ピーナッツの便通改善は欧米の同様の研究でも報告されています。
何故、ピーナッツに便秘改善効果があるのか?
その理由として、ピーナッツに食物繊維や脂肪が豊富な点が考えられますが、実際のところは明らかにされていません。
但し、ピーナッツの便通改善効果が腸内細菌の変化に起因していることが判明しています。
▶参照元:【第19回】落花生と腸内細菌」医学博士井上浩義の知っトク!ピーナッツパワー
いずれにせよ、ピーナッツには便秘改善効果が期待できます。
血糖値を下げる効果
ハーバード大学の研究ではより頻繁にピーナッツやピーナッツバターを食べる人は2型糖尿病になるリスクが低いことを示しています。
何と、「参加者のうち 1 オンスのピーナッツまたはピーナッツバターを週に1回から4回食べる人は 10 パーセントリスクが低下するのに対して、週に5回以上食べる人は25%リスクが低下した。」とあります。
▶参照元:ピーナッツは糖尿病のリスクを減らす【一般社団法人日本ピーナッツ協会】
ピーナッツには血糖値を下げる効果が期待できます。
認知症予防の効果
「ピーナッツ」に多く含まれる栄養成分「レシチン」は、体内に吸収され、血液によって脳に運ばれると、「アセチルコリン」という成分に変わり脳の神経を刺激するため、認知症予防に効果的といわれています。
しかも、ピーナッツの味付けで、認知症予防の効果が大きく変わるといいます。
認知症予防におすすめの味付けは「バターピーナッツ」。
「バター」に含まれる「セリン」という成分が、「アセチルコリン」の働きを活発化してくれます。
さらに、「青のり」を加えると、より認知症予防の効果が高められるそうです。
▶参照元:「ナッツ」の種類による健康効果の差【この差って何ですか?】
以上、ピーナッツの効能効果を見てきましたが、ピーナッツの摂取を避けた方が良い(避けるべき)方もいます。
ピーナッツの摂取を避けるべき方
ピーナッツの摂取を避けるべきは以下の方です。
●ピーナッツアレルギーの方
腎臓病の方
ピーナッツはタンパク質を多く含みます。
タンパク質を多くとると腎臓の仕事量が増えるので腎臓に負担がかかり、病気の進行を早めてしまいます。
腎臓病の方は医師とご相談ください。
ピーナッツアレルギーの方
日本人やアメリカ人で食物性アレルギーといえば、ピーナッツと大豆。
ピーナッツアレルギーは、年々増加しており、人口比で0.5~1.5%存在すると言われています。
ピーナッツは少量でも重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす場合があります。
日本では1~6歳の子供はピーナッツアレルギーを起こしやすい傾向にあります。
▶参照元:幼児期には魚卵やピーナッツも発症の原因に/即時型食物アレルギー【明治の食育】
小さな子供やピーナッツアレルギーの方は食べないでください。
ピーナッツを食べ過ぎるとどうなる?
ピーナッツを食べ過ぎると、一般的に以下の症状が起こると言われています。実際のところはどうでしょうか?
●腹痛・胃痛
●吐き気
●下痢
●太る
●ニキビ
鼻血
「ピーナッツを食べて鼻血が出る」と昔からよく言われていますが、現在では、科学的根拠のない都市伝説だと考えれています。
腹痛・胃痛
ピーナッツを食べ過ぎると腹痛を起こす理由は以下の3点が考えらます。
●脂質が多い
●タンニン
含水率が低い
ピーナッツは含水率は低い為、消化が悪いです。
脂質が多い
ピーナッツの約半分は脂質です。
2~4時間で糖質が消化されるのに対し、タンパク質は4~6時間、脂質は7~8時間もの時間がかかります。
これにより、脂質は腹持ちが良い反面、食べ過ぎると消化不良を起こす可能性があります。
タンニン
ピーナッツの薄皮にはタンニンが含まれています。
タンニンは消化吸収されにくく、食べ過ぎると腸の働きを低下させる場合があります。
吐き気
ピーナッツを食べ過ぎて「吐き気」が起こる原因は3つ考えられます。
●カビ菌
●加工に使われた油脂
脂質が多い
前述の「腹痛・胃痛」と同じです。
カビ菌
ピーナッツの皮にはカビ菌「アフラキシン」が発生する場合があります。
「アフラキシン」は強い毒性があり、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などを引き起こすだけではなく、強い発ガン性もあります。
日本国内で発生する可能性は低いですが、輸入品には含まれていることがあります。
加工に使われた油脂
油脂で加工したピーナッツ菓子の場合、飽和脂肪酸が使われることが多く、油が酸化することで毒性が発生します。
下痢
下痢の原因も「腹痛・胃痛」「吐き気」と同じ原因が考えられます。
太る
ピーナッツを食べ過ぎると「太る」と言われるのは、ピーナッツの約半分が油であり、カロリーが高いことが理由かと思われます。
確かにピーナッツ油が多いですが、良質な油分なので脂肪になりにくいです。
また、カロリーについてですが、以前はダイエットと言えばカロリー制限でしたが、現在は糖質制限食がダイエットに効果的だと考えられており、「カロリーが高い=太る」とは一概に言えないということです。
ピーナッツの糖質は100g中10g前後であり、低GI食品でもあります。
ピーナッツで太るということはありません。
但し、これは素のピーナッツの話。
砂糖や飽和脂肪酸の油分で加工されたピーナッツは、食べ過ぎると太る可能性があります。
ニキビ
「ピーナッツを食べ過ぎるとニキビが出来やすい」ということもよく言われますが、これはピーナッツに限らず、脂肪分が多い物やや刺激物は皮脂の分泌を増やし、ニキビの原因になると考えられています。
但し、ピーナッツに含まれるのは、オレイン酸とリノール酸などの不飽和脂肪酸。
飽和脂肪酸に比べ、ニキビになりづらいと思われます。
注意すべきは、砂糖や飽和脂肪酸の油分で加工されたピーナッツ菓子です。
先にピーナッツの効能効果を取り上げました。
但し、効果を実感するには、食べ方に工夫が必要です。
ピーナッツの効果的な食べ方
●食べる量
●食べる頻度
●食べるタイミング
食べる量
ピーナッツの適量は1日15g(20~30粒程度)と言われています。
食べるタイミング
人間は、午前中が一番体がさびるそうです。
それ故、朝にポリフェノールを摂るのが一番効果的です。
茶色い薄皮ごと朝食の前に食べるのがベスト。
また、ピーナッツは腹持ちが良い上、糖質が低いのでダイエットに最適です。
小腹が空いた時は、間食に取り入れると空腹が治まります。
ピーナッツの適量(1日20~30粒)は分けて構いません。
食べる頻度
ピーナッツの効果的な食べる頻度は、「毎日」がベストです。
ピーナッツを週1~4回摂取するより週5回以上摂取した方が、2型糖尿病のリスクが低下する率が高い(10%⇒25%)という研究結果が出ていますので、糖尿病が心配な方は週5回以上の摂取をおすすめします。
ピーナッツの食べ方
ピーナッツはそのままでも美味しいですが、毎日、食べると飽きがくることも。
そんな時は、ピーナッツをミキサーで粉末にして、サラダのドレッシングやお鍋のだし等に使いましょう。
ピーナッツは粉末にした方がピーナッツの栄養を吸収しやすくなり、風味もUPするそうですよ。
無糖のピーナッツバターは料理に色々と使えます。
酢ピーナッツの効果
ピーナッツの食べ方の1つに酢ピーナッツがあります。
「酢ピーナッツ」は、そのピーナッツの油を酢が分解し、体内に吸収しやすくしてくれる最強のヘルシー食です。
健康効果のあるピーナッツと酢を同時に摂ることで相乗効果が期待できます。
特に高血圧予防に効果的です。
※酢ピーナッツについて詳しくは⇒酢ピーナッツの効果[コレステロール・糖尿・血圧]・作り方・効果的な食べ方【徹底解説】