野菜の1日摂取量の目安をご存知ですか?
厚生労働省では野菜の1日摂取量350gを推奨しています。
では、この野菜350gはどの野菜のいくらの分量に相当するのでしょうか?
緑黄色野菜の1日の摂取目安量は?
そして、野菜1日350gの根拠は?
そもそも、野菜は必要なのか?
野菜の1日摂取量に関する疑問についてスッキリ解説します。
野菜の1日摂取量の目安は?
野菜を1日の摂取量の目安はいくらなのか?
目安になっているのが、厚生労働省が提唱する健康づくりの指標『健康日本21』で推奨している「野菜を1日350g摂取」。
但し、”野菜1日350g”はあくまでも推奨値(目標値)であって、”必ず必要な摂取量”ではない。
しかし、実際のところは、”必要摂取量”と受け取られがちだ。
そこで、当サイトでも”必要摂取量”として話を進める。
そして指針の「野菜を1日350g摂取」について疑問に思うことが、野菜の総量は目安になっているが、野菜の種類は決まっていない点。
野菜であれば何でもよいのでしょうか?
「野菜1日350g」の種類は?
調べてみると、野菜の1日必要摂取量350gの種類について以下の記述が見つかった。
●野菜は1種類に限らず、旬の新鮮な野菜をバランスよく摂る
●1日350gの内、120gは緑黄色野菜を摂るのが理想
旬の新鮮な野菜
野菜は身土不二の法則のごとく、その土地でその季節に摂れたものが体に合っている。
旬の野菜は美味しいし、安いので経済的です。
今では、当たり前になっていますが、ハウス栽培で、季節外れの野菜が販売されています。
原点に戻るべきですね。
緑黄色野菜
緑黄色野菜というのは色の濃いβ-カロテン(抗酸化物質)を豊富に含む野菜の総称である。
成人1日あたり緑黄色野菜1日120gは厚生労働省が策定した『健康日本21』に目標値として記載されている。
※2000年の厚生労働省が行った国民栄養調査によると、緑黄色野菜の日本国民1日あたり平均摂取量は95.9g。
具体的にはニンジン、トマト、カボチャなど。
※具体例について詳しくは後述
1日に不足している野菜の量は?
厚生労働省が実施している平成29年の「国民健康・栄養調査」では野菜類平均摂取量は成人男性で1日約300g、女性で約280g、男女平均では288gとなっている。
不思議な事に男性の方が女性より摂取量が多い。
それはさておき、厚生労働省の提唱する「野菜1日350g」に対して不足している野菜の量は以下になる。
●男性:50g
●女性:70g
●男女平均:62g
次に考えるべきは1日に不足している野菜をどのように補うかである。
上記の摂取量はあくまでも平均なので個人差がある。
一般的に1日に不足している野菜の量は70gと想定することが多い。
そこで、1日70gの野菜とはどれくらいの量なのかについて考える。
野菜70gとは?
野菜70gはどれくらいの量なのか?
考え方は2つ。
●素材
●料理
素材
素材で見た場合の種類と分量。
野菜を70gベースで考えるメリットは大きい。
何故なら、1日の野菜摂取量350gは70g×5となり、5種類の野菜を70gずつ摂取すれば目標をクリアできるからだ。
1日の野菜摂取量350gで考える時は、不足している野菜の量70gで考える時のどちらにも使える。
では、具体的に素材としての野菜70gはどれくらいの分量なのかを見ていく。
70gの緑黄色野菜
可食部100g当たりカロテン含量600マイクログラム以上の野菜が緑黄色野菜とされている。
緑黄色野菜の種類と分量の一例です。
野菜名 | 分量 | 野菜名 | 分量 |
---|---|---|---|
かぼちゃ | 中くらい1/16個分 | ほうれん草 | 2株 |
トマト | 中くらい1/2個分 | ピーマン | 小さめ2個分 |
なす | 12㎝くらい1本分 | ブロッコリー | 花蕾(からい)4個分 |
アスパラガス | 20㎝くらい3本分 | 人参 | 中くらい3㎝分 |
オクラ | 10㎝くらい8本分 | にら | 1わ |
70gその他野菜
緑黄色以外の野菜の一例です。
野菜名 | 分量 | 野菜名 | 分量 |
---|---|---|---|
レタス | 中くらいの葉2枚分 | きゅうり | 中くらい1本分 |
れんこん | 厚さ2㎝分(直径6㎝) | 中くらい | 約1/4個分 |
もやし | 1つかみ分 | ゴボウ | 中くらい1/3本分 |
白菜 | 中くらいの葉1枚分 | 大根 | 厚さ2㎝分(直径6㎝) |
キャベツ | 中くらいの葉1枚分 | トウモロコシ | 20㎝くらい(1/3本分) |
野菜70gの料理
上記は素材として考えた場合の野菜の分量であった。
しかし、これは料理をする場合の話。
外食や出来合いのおかずを食べる場合には何を目安にすればよいのか?
ざっくりとした考え方では、小鉢や小皿に入った単品料理である「おかず1皿=70g」。
例えば、街中で見かける「めしや」の一品料理。
ほうれん草のおひたし、野菜サラダ、かぼちゃの煮物等だ。
野菜炒めのような野菜を大目に使った主菜なら、「1品=140g」と考えると良い。
1日なら、朝食1品、昼食2品、夕食2品で合計5品。
1日の野菜摂取量350gをクリアできる計算だ。
野菜に必要か?
ここまで、厚生労働省が推奨する野菜の1日の摂取量の目安350gに基づいて話を進めてきた。
しかし、「野菜の1日摂取量目安350g」はどういう理由で決められたのでしょうか?
「野菜の1日摂取量目安350g」の理由は?
そもそも、厚生労働省では何故、野菜の1日摂取量の目安を350gとしているのか?
これについて調べてみたが、「根拠はない」という意見が多かった。
日本国民の1日の摂取量が平均280gだったので350gにしたという理由らしい。
野菜の1日摂取量を280gから350gにしたからと言って、健康になるとは限らない。
一方で、野菜を多く摂取した方が、病気にかかるリスクは減ったという調査結果もある。
※ネットでこの調査結果と取り上げた記事は殆ど見かけないので、ここでは、これ以上触れない。
ここで根本的な問題を考えてみたい。
それは、そもそも「野菜は必要なのか?」という点。
野菜は必要か?食べないとどうなる?
世の中には肉を食べないベジタリアンがいる一方、野菜を全く食べない人もいる。
動物には草食動物と肉食動物がいるが、人間を同列で語るのには無理があると思う。
まずは、栄養不足で昔、流行した病気について取り上げる。
これらは野菜を摂取すれば防げたのか?
野菜は江戸煩い(脚気)予防に必要?
庶民が麦・あわを主食として食生活から白米を良く食べるようになった江戸時代に流行したのが、江戸煩い(江戸わずらい)という病気。
江戸煩いとは脚気のことであるが、ビタミンB1不足が原因。
症状として「疲労感」「足のしびれ」や「歩行障害」がある。
江戸時代は副菜が十分でなかったらビタミンB1不足に陥ったのであろう。
ビタミンB1は豚肉、うなぎ、豆類などに多く含まれるので、特に野菜から摂取しないと不足する栄養素ではない。
野菜は壊血病予防に必要?
15世紀半ばから17世紀半ばの大航海時代に、長距離を航海する多くの船員が壊血病で亡くなった。
壊血病はビタミンCの欠乏症だが、その原因は長い航海で、船員がビタミンCを含む食品を摂取できなかったことにある。
ビタミンCは柑橘類、柿、アセロラ、キウイフルーツ、トマト、ブロッコリー、イチゴ、カリフラワー、ほうれん草、ジャガイモ、サツマイモなどに多く含まれる。
大人気のアニメ「ワンピース」の主人公たちが乗っている船にはミカンの木が植えられているが、これは壊血病の予防の為だと考えられる。
ビタミンCは野菜に多く含まれているが、果物にも含まれている。
特に野菜を摂取する必要性が考えられない。
野菜の必要性は?
と、「野菜には必要性がない」という主張をしてきた。
しかし、本当にそうだろうか?
野菜のメリット
確かに野菜でなければ摂取できない栄養素はない。
しかし、野菜は果物に比べて種類が豊富だ。
野菜は年中、何かしらある。
おかずに向いている。
さらに野菜にしか含まれない栄養素がある。
それは食物繊維。
野菜vs果物
では果物はどうか?
果物は基本、夏場の食べ物なので、体を冷やす。
野菜に比べて種類が少ない。
果物はあくまでもデザートであっておかずになりえない。
第一、果物は糖質が多い。
万人向けではない。
野菜vs肉類
肉類はタンパク質が主成分。
一方、野菜には一般的にタンパク質が含まれない。
※大豆にはタンパク質が豊富に含まれる。
ではビタミン等の成分はどうか?
肉類にもビタミンは含まれるが、全てではない。
食物繊維も含まれない。
肉類は野菜の代りにはならない。
第一、肉類は野菜より高い。
肉類を食べないなら、豆腐等の大豆贅品からタンパク質を補給することが可能だ。
結論としては、「野菜の必要性」については△だが、野菜は食べることのメリットは大きいと言える。
野菜の調理方法は?
ここで野菜の調理方法について考えてみたい。
よく言われることは、野菜は加熱した方が量が減り、量を食べやすいと言う点。
野菜を加熱することのデメリットは無いのだろうか?
加熱に弱い栄養素は?
ビタミンB1やビタミンC、酵素などは加熱すると何割かは損失する。
しかし、その他のビタミンや食物繊維、ミネラルは熱に強く、すべての栄養がなくなってしまうことはない。
加熱に強い野菜
加熱に弱い栄養素として、ビタミンB1やビタミンC、酵素を紹介したが、一般的な話。
熱に強いビタミンCもあるし、何割かは残るので摂取しないよりはましだ。
緑黄色野菜
緑黄色野菜(にんじん、ピーマン、ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、カボチャなど)は体内でビタミンAに変わるβカロテンや、ビタミンEなどを多く含む。
脂溶性なので、油と一緒に料理すると吸収率がアップするので加熱向き。
イモ類
イモ類やカリフラワーに含まれるビタミンCは熱に強く、加熱による損失が少ないのが特徴。煮物や蒸し料理にピッタリ。
玉ねぎ等
玉ねぎ、ネギ、ニンニク、ニラ、生姜等は加熱する甘味が増す。
加熱向きだ。
野菜ジュースは野菜の代りになるのか?
最後に野菜ジュースについて取り上げる。
野菜不足を補うのに手っ取り早いのが野菜ジュース。
複数のメーカーから野菜ジュースが市販されている。
野菜ジュースで野菜不足は補えるのだろうか?
野菜ジュースとは?
まず、野菜ジュースの概念について考える。
野菜をジューサーにかけたものを野菜ジュースと考えると、野菜ジュース=野菜ではない。
何故なら、野菜カスに不溶性食物繊維がふくまれているからだ。
ビタミンCが不足
濃縮還元タイプの野菜ジュースの場合、加熱されているので、ビタミンCが何割か含まれている。
その為、不足したビタミンCを添加している場合が大半だ。
加糖入り
野菜ジュースには砂糖を配合したものもある。
野菜の種類
野菜は旬のものを摂取するのが体にとって良いが、野菜ジュースではそれは望めない。
結論としては「野菜ジュース=野菜ではない」。
しかし、食事で不足する野菜を補うのに十分ではないが、何もしないよりはメリットがあると考える。
但し、野菜ジュースなら何で良いわけではなく、良い商品を選ぶ必要がある。
※野菜ジュースについて詳しくは別記事参照