健康診断で「コレステロール値が高い」といった場合の”コレステロール”とは、通常はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)のことです。
以前は、総コレステロール値が高いと高脂血症(現在は脂質異常症)と判定していましたが、現在は総コレステロール値での判定は撤廃されました。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いのには様々な原因がありますが、その一つに食べ物(食品)があります。
コレステロールが高い(多く含む)食べ物を摂りすぎると悪玉コレステロール値が上がる可能性があります。
また、逆に悪玉コレステロール値を下げる食品もあります。
従って、悪玉コレステロール値を下げるには、①コレステロールが高い(多く含む)食べ物を控える、②悪玉コレステロール値を下げる食品を積極的に摂ることが、重要です。
悪玉コレステロール値が高いとどうなる?
コレステロールの働き
コレステロールは食べ物から摂取されるほか、主として肝臓で合成され、細胞膜の構成や性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁などの原料になっています。
LDLコレステロールは、コレステロールを全身へ運ぶ役割を担っていますが、増えすぎるとと血管の内壁にコレステロ-ルが沈着し、動脈硬化を起こす原因になります。
そして、動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞を発症原因となります。
悪玉コレステロール値が高い理由
悪玉コレステロール値が高い理由について、専門家(医師等)でも様々見解がありますが、共通しているのは以下です。
LDLコレステロールの基準値
LDLコレステロールの基準値は、70~139mg/dl。
厚生労働省の脂質異常症診断基準(空腹時採血)では、LDLコレステロール値が140mg/dL以上の場合、”高LDLコレステロール血症”となります。
また、人間ドッグ協会のLDLコレステロール判定区分【2021年度版】では、LDLコレステロール値が”59以下、180以上”の場合、”D要治療”となっています。
※参照:LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を下げるには?【専門家(医師)の見解】
コレステロールが高い食べ物一覧
コレステロールを多く含む食物【武南病院】
コレステロールがたくさん含まれる食品【ヘルシア/kao】
コレステロールは動物性食品に含まれます。特に肉・魚の内臓類、魚卵、卵、卵を使った菓子類などに多く含まれます。
※参照:コレステロールがたくさん含まれる食品【ヘルシア/kao】
飽和脂肪酸が多い食品
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げる食品として真っ先に挙げられるのが”コレステロール”を多く含む食品です。
次にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げる食品として挙げられるのが、”飽和脂肪酸”を多く含む食品です。
“コレステロール”と”飽和脂肪酸”の違いは何でしょうか?
“コレステロール”と”飽和脂肪酸”の違い
炭水化物、たんぱく質、脂質は「三大栄養素」と呼ばれ、体に欠かせない栄養素です。
脂質には、中性脂肪、リン脂質、糖脂質、ステロール類などがあります。
“飽和脂肪酸”とは?
まず、中性脂肪を構成する成分である脂肪酸は、その構造によって「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。
*中性脂肪は、日頃はエネルギーの貯蔵庫として脂肪組織に蓄えられ、糖質のみではエネルギーが足りないときなどにエネルギー源として使われます。
「飽和脂肪酸」は悪玉コレステロール値を上げ、逆に「不飽和脂肪酸」は悪玉コレステロール値を下げる働きがあると言われています。
“コレステロール”とは?
“コレステロール”も脂質の一種です。
細胞膜の材料となったりステロイドホルモンの材料になったりするなど、体に欠かせない役割を担っています。
※参照:「脂質オフ」「コレステロールひかえめ」とはどんな意味?―脂質の表示【日本コカ・コーラ株式会社】
“コレステロール”と”飽和脂肪酸”の違い
結論として、”コレステロール”と”飽和脂肪酸”はいずれも脂質の一種ですが、働きに違いがあると言えます。
●飽和脂肪酸:中性脂肪*の一種
*中性脂肪は、日頃はエネルギーの貯蔵庫として脂肪組織に蓄えられる
飽和脂肪酸が多い食品
脂質異常症(実践・応用)【e-ヘルスネット/厚生労働省】
※参照:脂質異常症(実践・応用)【e-ヘルスネット/厚生労働省】
管理栄養士が教える!脂質異常症の食事で気を付けるべきポイント【メディカルケア内科】
※参照:管理栄養士が教える!脂質異常症の食事で気を付けるべきポイント【メディカルケア内科】
LDL(悪玉)コレステロールが高めの方の食事のポイント~コレステロールを上げる食品【大津市】
※参照:LDL(悪玉)コレステロールが高めの方の食事のポイント~コレステロールを上げる食品【大津市】
トランス脂肪酸
悪玉コレステロール値を上げる要因としてコレステロール及び飽和脂肪酸が多い食品(食べ物)を見てきました。
ここで脂肪酸の一種であるトランス脂肪酸について触れます。
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸は、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。
植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や植物油を高温にして脱臭する工程で生じます。
また、天然でも、牛などの反すう動物に由来する乳製品や肉に含まれています。
※参照:トランス脂肪酸に関するQ&A【厚生労働省】
トランス脂肪酸の害
平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。
また、肥満やアレルギー性疾患についても関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症などについての関連は分かっていません。
※参照:前述と同じ
HDL(善玉)コレステロールを減らし、LDL(悪玉)コレステロールを増やす作用があります。
トランス脂肪酸を多く含む食品
トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。
天然にできるもの
牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には微量のトランス脂肪酸が天然に含まれています。
油脂の加工・精製でできるもの
部分的に水素添加した油脂を用いて作られたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに、トランス脂肪酸が含まれているものがあります。
※参照:すぐにわかるトランス脂肪酸【農林水産省】
【補足】トランス脂肪酸は、パン、菓子、揚げ物などに使われている植物油に含まれていることがあるので、知らず知らずの内に過剰摂取している可能性があります。
悪玉コレステロール値を下げる食品
悪玉コレステロール値を下げる食品に以下のものがあります。
不飽和脂肪酸を多く含む食品
脂肪酸の分類
脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
不飽和脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分類され、さらに多価不飽和脂肪酸は、オメガ6系とオメガ3系に分類されます。
※参照:管理栄養士が教える!脂質異常症の食事で気を付けるべきポイント【メディカルケア内科】
多価不飽和脂肪酸の摂取
●多価不飽和脂肪酸
1日に大さじ1杯程度の植物油を料理に使いましょう。
ただし、オリーブ油、やし油などには多価不飽和脂肪酸はほとんど含まれません。*
*オリーブ油には一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)が多く含まれます。
オレイン酸は、酸化されにくいことや、動脈硬化や心疾患を招きにくい油の成分として知られています。
●n-3系多価不飽和脂肪酸
EPAやDHAといったn-3系多価不飽和脂肪酸は青魚類の脂肪に多く含まれます。
1日に魚を1切れ程度、食べるようにしましょう。
※参照:脂質異常症(実践・応用)【e-ヘルスネット/厚生労働省】
n-6系多価不飽和脂肪酸
n-6系の多価不飽和脂肪酸は、リノール酸、アラキドン酸などがあります。
主にひまわり油、大豆油、コーン油などの植物性油などに多く含まれます。
過剰に摂取すると、動脈硬化を引き起こしたり、悪性腫瘍の原因になる可能性があります。
※参照:EPA(イコサペント酸)について【大正製薬】
食物繊維を多く含む食品
食物繊維を多く摂ると体内のコレステロールを速やかに体外へ排出してくれる働きがあります。
食物繊維は、植物性食品に多く含まれています。
特に、水溶性食物繊維はLDLコレステロールの排出に効果があると言われています。
厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの「目標量」は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています。(65歳以上男性20g以上、女性17g以上)
※参照:管理栄養士が教える!脂質異常症の食事で気を付けるべきポイント【メディカルケア内科】
悪玉コレステロール値が高い人の食事
以上、コレステロールが高い食べ物、飽和脂肪酸が多い食品、悪玉コレステロール値を下げる食品を見てきました。
悪玉コレステロール値が高い人が食事の時に気を付けるべき点は以下の4点です。
●飽和脂肪酸が多い食品を控える⇒飽和脂肪酸を多く含む食品
●トラス脂肪酸を含む食品を控える⇒トランス脂肪酸
●悪玉コレステロール値を下げる食品を積極的に摂る⇒不飽和脂肪酸を多く含む食品・食物繊維を多く含む食品