子供の「ビタミンD欠乏症」が増えています。
「ビタミンD欠乏症」は、骨の発育不良を起こし、「くる病」の引き金にもなる病気です。
「ビタミンD欠乏症」を防ぐには、勿論、ビタミンDを多く含む食品を食べる事と適度な日光を浴びることが必要です。
「ビタミンD欠乏症」にならない為の食べ物の摂り方、日光の浴び方等を解説いたします。
ビタミンD欠乏症とは?
ビタミンD欠乏症とは、病名の通り、体内におけるビタミンDが欠乏している病態です。
ビタミンDは健康な骨の石灰化に重要な働きをしています。
ビタミンD欠乏症の症状
ビタミンD欠乏症が連続的に経過することで生じる症状に以下のものがあります。
・二次性の骨粗鬆症
・骨の石灰化不全
さらに骨の石灰化不全が骨端線が閉鎖する前に起こると「くる病」を発症します。
「くる病」では、骨の成長に必要な骨端軟骨の石灰化が生じにくいために低身長になります。
※低身長について詳しくは⇒低身長とは?チェックは?原因は?低身長症の検査は?治療は?
また、つかまり立ちや独立歩行をするようになって下肢に負担がかかると、足の骨が変形しO脚やX脚になります。
また、虫歯を多く発症します。
ビタミンD欠乏症の原因
東京大の北中幸子准教授(小児科)や小林兼毅教授(公衆衛生学)らの分析によると、ビタミンD欠乏症は、1~15歳の子供では、2009年の10万人あたり3.88から、2014年には12.30と5年間に3倍以上に増加しています。
ビタミンD欠乏症が増加している理由
ビタミンD欠乏症が増加している理由は大きく次の2点が考えられます。
・過度な紫外線防止対策
・不適切な食事制限
ビタミンD欠乏症と診断される子どもには、外出を控えたり日焼け止めをしたりして、紫外線が完全にシャットアウトされている例が少なくありません。
アレルギーなどを恐れて、ビタミンDを豊富に含む魚や卵、キノコなどの摂取を避けている場合もあります。
妊娠中の太陽光の不足
母親が妊娠中に浴びる太陽光の不足も一因になっているという報告も。
腎臓の病気
腎臓(慢性腎不全など)の病気があると、ビタミンDが不足する原因になります。
ビタミンDの1日摂取量
1日必要とされるビタミンDは大人で15マイクログラム。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日に摂取するビタミンDの目安を、生後1歳未満で5マイクログラム。
大人で5.5マイクログラムとしています。
残りの9.5マイクログラム(大人の場合)は紫外線で合成する計算になります。
ビタミンDの効果
ビタミンDは食物として経口摂取されるだけでなく、日光に当たることで皮膚でもつくられます。
ビタミンDは皮膚に紫外線があたって、そこで別の物質から合成されます。
活性化されたビタミンDは、主に腸管からのカルシウム、リンの吸収を促すことで血液中のカルシウム、リン濃度を調整しており、健康な骨の石灰化に役立っています。
腸管のカルシウムの吸収や骨への沈着を促し、子どもの発育に密接に関わっています。
ビタミンD欠乏症を防ぐ為に効果的な日光浴
食事以外に紫外線から合成する量の目安を10マイクログラムと仮定すると、夏は全国どこでも数程度で十分。
以下は、1日に必要なビタミンD量を15マイクログラム、その内、紫外線で10マイクログラムを体内で合成すると仮定した場合の日光に当たる時間です。※8月上旬は半袖の場合
ビタミンD欠乏症を防ぐ為の紫外線を浴びる時間
札幌 | 横浜 | 沖縄 | |
---|---|---|---|
3月下旬 | 25分 | 15分 | 10分 |
8月上旬 | 4分 | 5分 | 4分 |
10月上旬 | 25分 | 20分 | 15分 |
12月中旬 | 250分 | 40分 | 30分 |
日光でビタミンDを合成するのが難しいのは冬場です。
12月の場合、沖縄では長袖長ズボン姿でも30分で足りますが、札幌では約4時間、ずっと戸外にいなければならないことになり、現実的には難しいです。
また、紫外線によるビタミンDの合成にも限界があります。
紫外線によるビタミンDの合成が十分でない場合、不足したビタミンDは食品やサプリメントから摂取するのが賢明です。
ビタミンDが多い食品・食べ物
ビタミンDは魚に多く、サケ1切れに約25マイクログラム、秋刀魚一匹に約15マイクログラム含まれます。
また、キノコ類にも多く含まれます。
ビタミンDが多い食べ物・食材
食品名 | サケ1切れ | イワシ丸干し | サンマ | カレイ | ぶり1切れ | シラス(大さじ2) | マイタケ(50g) | 干し椎茸(2個) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビタミンD含有量(μg) | 25.6 | 15.0 | 14.9 | 13.0 | 6.4 | 6.1 | 2.5 | 0.8 |
※当記事は、2018年10月15日の朝日新聞 朝刊を主に参考にしました。
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