子供が同年代の子供より身長が低いと、低身長症の可能性があります。
低身長とは?低身長のチェックはどうやって行うのでしょうか?
低身長の原因は?
低身長の可能性が出たら、病院で検査を行います。
最終的に成長ホルモンの分泌が不足している場合、ホルモン治療を行う事になります。
低身長とは?低身長のチェック
低身長かどうかをチェックには2つの基準を使います。
①低身長の基準(身長-2.0SD)
②身長増加の基準
「2.0SD」というのは、同じ年齢の子供が100人いた場合、低い方から数えて2人目くらまでの身長を指します。
これは、2学年下の子供と比べても低い身長で、クラスでは一番低く、次に背が高い子供と比べても、かなり低い状態です。
この「低身長の基準」を上前る身長があっても、年間の身長の伸びが悪い場合も問題です。
1年間で少なくともこれくらいは伸びる、という身長増加の基準を示したものが②の表です。
子供の身長が表①の「低身長の基準」以下であり、2年続けて表②の「身長増加の基準」を下回っている場合は、検査を受けた方が良いでしょう。
低身長の基準と平均身長
以下の表は2つの表を合算したものです。
・表①低身長の基準(身長-2.0SD)
※2000年度版標準身長から求めたもの
・表③平均身長
※2016年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果
統計の年度及び出典が異なりますので、表①と表③は単純に比較はできません。
参考程度にして下さい。
年齢(歳) | 表①低身長の基準 | 表③平均身長 | ||
---|---|---|---|---|
男子(cm) | 女子(cm) | 男子(cm) | 女子(cm) | |
1 | 69.7 | 67.7 | 79.0 | 78.3 |
2 | 79.5 | 79.0 | 87.9 | 87.8 |
3 | 86.1 | 84.4 | 95.1 | 94.6 |
4 | 92.3 | 91.1 | 101.3 | 101.5 |
5 | 97.9 | 97.9 | 108.2 | 108.3 |
6 | 103.7 | 103.5 | 114.8 | 116.6 |
7 | 109.5 | 108.8 | 123.2 | 121.6 |
8 | 114.7 | 113.9 | 128.2 | 126.1 |
9 | 119.7 | 118.8 | 133.7 | 134.4 |
10 | 124.5 | 123.9 | 138.3 | 139.8 |
11 | 128.9 | 130.2 | 144.7 | 146.0 |
12 | 133.9 | 137.0 | 150.8 | 151.1 |
13 | 140.7 | 142.3 | 160.3 | 154.1 |
14 | 148.6 | 145.3 | 164.3 | 156.8 |
15 | 154.7 | 146.5 | 168.6 | 156.8 |
16 | 157.7 | 147.1 | 170.4 | 157.4 |
17 | 158.8 | 147.4 | 170.3 | 157.3 |
身長増加の基準
※表②
年齢(歳) | 男子(cm) | 女性(cm) |
---|---|---|
1~2 | 8.9 | 8.8 |
2~3 | 7.0 | 6.8 |
3~4 | 6.0 | 6.0 |
4~5 | 5.4 | 5.6 |
5~6 | 4.9 | 5.2 |
6~7 | 4.5 | 4.9 |
7~8 | 4.5 | 4.4 |
8~9 | 4.3 | 4.1 |
9~10 | 4.0 | 4.4 |
10~11 | 4.0 | 5.9 |
11~12 | 4.0 | 6.1 |
12~13 | 4.5 | 2.9 |
13~14 | 6.9 | 1.1 |
14~15 | 3.3 | 0.4 |
15~16 | 1.4 |
低身長の原因
低身長には、病気が原因である場合と、そうでない場合があります。
病気が原因の場合でも発見は遅れてしまいがち。
低身長が疑わる時は、早めに検査しましょう。
病気が原因の低身長
- 体出生体重性低身長症(SFD低身長症)
予定通りの出産なのに低体重の場合、出生後に追いつくことも多いのですが、追いつかずに低身長となることもあります。
一部の国では、SFD低身長症に成長ホルモンが使われています。 - 思春期早発症
思春期があまりに早いと身長が伸ないので、思春期を遅らせる治療をします。 - 染色体の病気
低身長の女子に多い「ターナー症候群」は、成長ホルモンの投与が有効です。 - 骨の病気
軟骨に異常が見られる「軟骨異栄養症」では、極端な低身長となり、成長ホルモンの投与もある程度有効です。手術(脚延長術)を試みる場合もあります。 - ホルモンの病気
「成長ホルモン分泌不全性低身長症」や「甲状腺機能低下症」などが原因の場合もあります。 - 内臓の病気
慢性腎不全(腎臓の病気でうまく尿がつくれない)では、成長ホルモンの投与がある程度有効です。
病気以外が原因の低身長
病気以外が原因の低身長は治療は必要ありません。
- 体質性低身長(正常低身長)
体質的なもので、病気ではありません。極端な低身長になることは、まれです。 - 思春期遅発症
高校生になって急に身長が伸びたという人がいますが、それがこのタイプ。思春期の発育が遅れますが、最終的には正常身長に達します。 - 栄養不良
タンパク質不足は背が伸び悩みナスが、極端な低身長になることは、まれです。
[関連記事]子供の身長を伸ばす方法~背の伸びに効果的な栄養素・食べ物 - 心理・社会的要因
社会の複雑化、家庭の崩壊など、精神的な影響で身長が伸びない場合は、成長ホルモン治療をしても効果はありません。
低身長の検査方法と内容
低身長の子供に対して、最初に行う検査(スクリーニング検査)があります。
スクリーニング検査では、以下の4つのことを行います。
この検査の結果により、治療が必要か否かを判断します。
病気が疑われれば、それに応じて必要な検査も行います。
その結果をもとに、成長ホルモン療法を施していくのです。
成長曲線を正確に描く
「何歳何ヶ月の時、何㎝だったか」という過去の記録をもとに、子どもの背の伸び(推移)をグラフにします。
手の甲のレントゲンを撮る
身長が伸びていないということは、骨が伸びていない、ということ。
子供の手の甲のレントゲンを見ることで、発育の度合いを知ることができます。
尿中の成長ホルモンを測定する
成長ホルモンは、夜寝ている間に分泌されます。
[関連記事]子供の身長(背)を伸ばす方法~良質な睡眠が大切な理由とは?
睡眠中にちゃんと分泌されると、その一部が尿に出てきます。
朝1番の尿中の成長ホルモン量を測定することで、睡眠中にどの程度、成長ホルモンが分泌されたのかが分かります。
血液の検査を行う
採血をして、骨を伸ばす重要なホルモンである「ソマトメジンC」の測定を行います。
夜間、成長ホルモンが十分に分泌されていると、肝臓やその他の組織で、「ソマトメジンC」が作られます。
「ソマトメジンC」を測定すれば、間接的に成長ホルモンが分泌されているかどうかがわかるのです。
成長ホルモン分泌刺激試験
これは、前述のスクリーニング検査を行った結果、成長ホルモン分泌不全の可能性がある場合に行います。
この検査では、成長ホルモンの分泌が本当に不足しているのか、成長ホルモンはどのくらい不足しているかを調べることができます。
低身長の治療
上記の検査を行い、成長ホルモンが不足しているという結果が出た場合、成長ホルモン治療が必要になります。
治療の効果は、始めの1~2年に大きく伸び、その後はなだらかになることもあります。
それでも、治療以前に比べると、よく伸びるようになるのです。
※当記事は身長を伸ばす方法を解説した本「子どもの身長を伸ばすためにできること」を主に参照しました。⇒子どもの身長を伸ばすためにできること
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