いつからか、有機栽培野菜やオーガニックを謳う商品をよく目するようになりました。
オーガニック食品に限らず、オーガニックコスメやオーガニックシャンプー等が販売されています。
オーガニックとは?有機栽培とは?無農薬栽培とは?自然農法とは?違いをスッキリ解説します。
オーガニックとは?
「オーガニック」の英語にあたる「organic」は「有機栽培の」という意味です。
わら・落葉などを堆積させ、発酵させた肥料を「堆肥(たいひ)」と言います。
※家畜の糞からつくった「堆肥」や生ゴミからつくった「堆肥」もあります。
「オーガニック」には、基本的に自然の原料を利用した「堆肥」が使用されます。
有機栽培とは?
そもそも、「有機栽培」「有機農産物」の「有機」とは何でしょうか?
「有機」の反対は「無機」です。
当然、「無機栽培」もあります。
さらには、有機肥料と無機肥料。
有機肥料を使った栽培が「有機栽培」、無機肥料を使った栽培が「無機栽培」なので、有機肥料と無機肥料の違いを見ることが、「有機栽培」有機農産物」の何たるかを知るヒントになります。
有機肥料と無機肥料の違い?
肥料は大きく二つに分けると、自然由来の有機肥料と、人工的に精製された無機肥料(化成肥料)に分けられます。
●有機肥料
有機肥料は、植物の油かすや灰、動物の糞や骨などの有機物を原料とした肥料。
●無機肥料(化成肥料)
無機肥料(化成肥料)は肥料原料を合成し、科学的に精製された肥料。
即ち、化成肥料を使わない栽培方法が「有機栽培」です。
但し、農薬の使用・不使用については規定されていませんでした。
しかし、現在では以下に規定されています。
有機栽培とは、JAS法に定められた特定の栽培方法に準拠し、有機JAS認定を受けた生産者が行う栽培のことです。
「JAS法に定められた特定の栽培方法」とは以下になります。
・化学的に合成された肥料および農薬の使用を避ける。
・遺伝子組換え技術を利用しない。
・播種(はしゅ)または植付け前の2年以上の間、有機肥料での土づくりを行った田畑で生産されたもの。
※多年生作物の場合は最初の収穫前3年以上
オーガニックと有機栽培の違い
「オーガニック(organic)」が「有機栽培の」という意味と持つ言葉であることから、「オーガニック(organic)」=「有機栽培」と考えがちですが、厳密には同じではありません。
ネットには「オーガニック」=「有機栽培」だと主張する記事がありますが、正確には違います。
何故なら、「オーガニック」は形容詞、「有機栽培」は名詞の違いがあります。
「オーガニック」には、オーガニックコスメ、オーガニック化粧水、オーガニックシャンプー、オーガニック食品、オーガニックコットンと「オーガニック」+●●という言葉があります。
※これらについては別記事参照
一方、「有機栽培」の場合は、有機栽培米や有機栽培コーヒーがある程度、いずれも農作物です。
「オーガニック」商品の場合、いずれも「有機栽培の」原料を加工したものです。
日本では「有機栽培」はJAS法で規定されていますが、「有機栽培」の考え方は各国で様々です。
即ち、「オーガニック」には、「有機栽培の」という意味だけでなく、「有機栽培の原料を使った」という意味があると思えば理解しやすいですが、この場合の「有機栽培」の考え方は、JAS法で規定する「有機栽培」より「広い」と考えると理解しやすと思います。
無農薬・減農薬・低農薬とは?
無農薬栽培、減農薬栽培・低農薬が一時、もてはやされました。
しかし、問題がありました。
それは、「無農薬」「減農薬」は農薬を使わない、農薬の使用回数が少ない栽培方法ですが、栽培期間中に限定したものだったからです。
栽培期間中に農薬を使わなくても、今まで長年、農薬を使っていた土地で栽培した作物には人体や環境への影響が考えられます。
また、その土地で元々、農薬を使っていなくても、近隣で農薬を使った栽培が行なわれれば、悪影響を受けます。
従って、栽培期間中に「無農薬」「減農薬」であっても安全とは限らないからです。
さらには無農薬でない作物を無農薬と謳う偽装が行われ、「無農薬」「減農薬」への信頼は地に落ちました。
そこで、農林水産省は「無農薬」「減農薬」といった表示を禁止して今に至ります。
その代わり、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が出来ました。
特別栽培農産物とは、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物です。(節減対象農薬と化学肥料双方の節減が必要です。 )
参照:http://www.jcpa.or.jp/user/others/qa11.html
有機栽培と無農薬栽培の違い
ここで言う「無農薬」の「農薬」とは「化学農薬」のことです。
その点では、有機JAS制度が規定する「有機栽培」は「無農薬」です。
しかし、「農薬を使わない」という意味ではありません。
「化学的に合成された肥料および農薬の使用を避ける。」とあるように、「化学的に合成された農薬」は使わないと言う意味です。
・化学的に合成された肥料および農薬の使用を避ける。
・遺伝子組換え技術を利用しない。
・播種(はしゅ)または植付け前の2年以上の間、有機肥料での土づくりを行った田畑で生産されたもの。
※多年生作物の場合は最初の収穫前3年以上
有機栽培と無農薬栽培とでは全く異なることが分かると思います。
最後に自然農法についてです。
自然農法とは?
「農薬や人糞肥料・化学肥料を?切使?せずに、枯れ草や藁などで堆肥を作って田畑に還元し、自然界の土壌と同じ生命力溢れる土を作り出し、自然の仕組みを上手に再現した農産物生産方法」
▶出典:Wikipedia~自然農法
自然農法の基本は、「不耕起・無農薬・無肥料・無除草」です。
自然界では、葉っぱが地に落ちて微生物や虫たちにより分解され、養分となり肥料代わりになり、実が育つように、自然農法も人の手を出来るだけかけない農法です。
究極の農法と言えます。
自然農法と有機農法との違い
農薬・化学肥料を使わない点では自然農法も有機農法も同じに見えます。
何が違うのでしょうか?
有機農法の場合、化学的に合成された肥料と農薬を使用しない代わりに、天然の有機物を用いた肥料である有機資材を用いて農業を行います。
それに対して自然農法では有機肥料も使いません。
人体にとっても環境にとっても最も安全な方法ではありますが、商業的には難しい部分があります。
日本の農業は化学肥料・農薬を使う慣行農業が未だに主流であり、有機農法(有機栽培)の広がりもまだまだです。
自然農法が広がるのはかなり先と言えるのではないでしょうか?