朝日新聞(2020年8月28日)に「水筒にスポーツ飲料はNG?」という記事を掲載されていた。
当サイトでは、2018年9月に「スポーツドリンクを水筒に入れるのは危険」を鵜呑みにするのは危険!という投稿している。
朝日新聞はどういう見解なのか?
当サイトの見解と違う点があるのか?
検証してみました。

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朝日新聞の見解

朝日新聞が「水筒にスポーツドリンクはNG?」という記事を掲載したのにはきっかけがあった。
勿論、2020年の夏が猛暑であったことが大きいが、それと厚生労働省のツイッターが大きなきっかけになったようだ。

厚生労働省のツイッター

厚生労働省食品安全情報の公式ツイッターでは7月8日に以下のツイッター発信。

上記のツイッターの情報はあまりに少ないが、整理してみる。

これらに関して、朝日新聞はどういう見解なのか?

まず、担当者の話を紹介している。
「容器の中に傷やサビがあるとスポドリなどによって金属が溶けだす可能性がある。長時間の保管は避けて欲しい」

厚生労働省公式サイトのツイッターの内容と担当者の話は言っていることのニュアンスが異なる。
とりあえず、ツイッターの内容をチェックしてみる。

ヤカンに入れたスポーツ飲料を飲んだことによる銅食中毒が発生

2020年7月に、高齢者施設で、やかんに入ったスポーツドリンクを飲んだ高齢者13人が、吐き気や下痢などに苦しんだ。
飲料から高濃度の銅が検出された。

厚生労働省公式サイトのツイッターで言う「ヤカンに入れたスポーツ飲料を飲んだことによる銅食中毒が発生」は上記の事件のことだと推察できる。

金属製の容器(ヤカンや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶け出すことがある

厚生労働省の見解は、『ヤカン(金属=銅)が酸性の飲み物(スポーツドリンク)と反応して溶けだした』と言う事のようだが、県の見解は異なる。

県は、『ヤカンが直接溶けたのではなく、水道水を繰り返し沸騰させる中、水に含まれる銅が、ヤカンの内側に蓄積し、スポーツドリンクと反応して溶け出た』とみている。
県によると、ヤカンは9年使用され、中が黒ずんでいた。

県と厚生労働省の見解を整理すると以下になる。

●県の見解:水道水に含まれる銅がヤカンの内側に蓄積し、スポーツドリンクと反応して溶けだした。
●厚生労働省の見解:ヤカンの金属(銅)がスポーツドリンクと反応して溶けだした。

県の見解が正しいのなら、厚生労働省の見解は的を得ていないことになる。

この疑問に対して朝日新聞は2008年に起きた事件を掲載している。

水筒に6時間以上入っていたスポーツドリンクを飲んだ6人が頭痛や吐き気を訴え、飲料から高濃度の銅が検出された。

都の資料によれば、水筒は破損していたみられる。
その為、通常なら飲料と接触しない部分に使われていた銅が、破損部からしみこんだスポーツドリンクに溶け出たと考えられた。

恐らく、厚生労働省がヤカン事件で連想したのは、この前例だと思われる。

金属製の容器にジュースやスポーツ飲料を入れる時は、注意書きをよく確認すること

これに関しては、実際の水筒の説明書きの内容を挙げている。
「スポーツ飲料を入れた場合は、使用後、すぐにお手入れをする」
お手入れをしないと、「カビの発生やサビや穴があくなど故障の原因になる」

金属中毒が起こる確率は?

厚生労働省が注意喚起のけっかけになったのが、2020年7月のヤカンによる中毒事故。
そして、朝日新聞が調べた範囲では、2008年に水筒に入れたスポーツドリンクを飲んだ中毒事故。
12年間で2件だ。
これをどう考えるのか?

朝日新聞は大手水筒メーカーなどで作る全国魔法瓶工業組合の話を紹介する。
『国内で流通する魔法瓶の水筒は、大半がステンレス製。しかし、銅が使われた製品で内部が破損すると、酸性飲料が入り込んで溶けだす可能性はある。

ただ、同組合加盟メーカーのステンレス製水筒の国内出荷本数は年間1800~2000万本にのぼるといい、担当者は「事故の報告がほとんどなく、確率は極めて低い。製品の注意書に従って使用後に手入れをすれば、金属中毒は起こらない」と強調。

銅は溶けだしにくい?

ヤカンは水筒による中毒事故は、銅がスポーツドリンクで溶けだしたのが原因だと考えられる。

一方、近畿大の北岡教授は「銅は溶けだしにくい」という。

「金属の中でも銅はイオン化されにくく、容器に溶け出しにくい性質を持っている。仮にスポーツ飲料が入った水筒の中に銅があったとしても、銅は溶けだしにくいと考えられる」

しかし、実際に銅による中毒事故が発生している。
これはどう考えればよいのだろうか?

問題はサビのようだ。

水筒に使われるステンレスは、さびにくいように鉄にクロム、ニッケルなどを混ぜた合金だが、劣化すると鉄が表面に出てきて参加し、サビになる可能性がある。

「そこに酸性の高い飲料が入れば、サビが溶けだす可能性がある。水筒を使う前に中を良く確認し、サビや破損がないかを確かめた方が良い。」

水筒にスポーツドリンクはNG?【まとめ】

結局、水筒にスポーツドリンクはNGなのか?

まず、タイトルは「水筒」となっているが、問題は金属製の「水筒」。
特に銅製の水筒。

しかし、銅製の水筒が即、スポーツドリンクなど酸性の液体で溶けだすわけではない。

サビや破損があると、スポーツドリンクなど酸性の高い飲料で金属が溶けだし、中毒を起こす可能性がある。

その為に必要な事は水筒を使った後の手入れだ。
また、サビや破損がある場合は使わないこと。

現在はステンレス製が大半。
ヤカンも同じ。
中毒事故が起こる確率は極めて低い。

但し、スポーツ飲料の成分には塩分が含まれており、ステンレスが腐食する可能性があるということだ。

使用後はすぐに手入れする必要がある。

使用方法が書かれたメーカーの水筒の解説書は必ずチェックすべきだ。

以上が中毒を起こさない最低条件と言える。

もっとも、近年、スポーツドリンク対応の水筒が販売されている。
「水筒でスポーツドリンクを飲みたい」といった方はこスポーツドリンク対応の水筒を使うの無難だ。
但し、いずれにせよ、使用後の手入れは必要である。
スポーツドリンク対応ステンレス製水筒のおすすめ3選