新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、梅肉エキス(梅エキス)が持つ免疫細胞活性化や殺菌・抗菌作用などの機能性が再評価されています。
果たして、梅肉エキス(梅エキス)には、新型コロナウイルス感染予防対策に効果があるのでしょうか?
専門家の見解をまとめてみました。

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梅肉エキスとは?

そもとも、梅肉エキス(梅エキス)とは何でしょうか?
梅肉エキスとは、青梅の実の絞り果汁を長時間煮詰めて水分を蒸発させ、ペースト状にした健康食品です。

梅肉エキス
【関連記事】
梅肉エキス(梅エキス)の効能効果・副作用・飲み方・作り方【分かりやすく解説】

梅と言えば、馴染みのあるのは梅干ですが、梅干と梅肉エキスには以下の違いがあります。

●塩分の有無
●ムメフラールの有無
●有効成分の割合

梅干と梅肉エキスの違い:塩分の有無

梅肉エキスは梅干が原料ではありません。
青梅が原料です。
従って、塩分は後で添加しない限り含まれないので、塩分制限がある高血圧や腎臓病の方が召し上がっても安心です。

梅干と梅肉エキスの違い:ムメフラール

「ムメフラール(Mumefural)」という新規化合物が生まれます。
「ムメフラール」は、梅や梅干しには含まれません。
梅肉エキス特有の成分です。

ムメフラールはクエン酸と糖の一部からつくられており、血流を改善する効果が期待できます。

梅干と梅肉エキスの違い:有効成分の割合

梅肉エキスに含まれる有効成分は梅干しの数十倍と言われています。

梅肉エキスは新型コロナウィルスの感染予防効果はあり?

梅肉エキスの新型コロナウィルスの感染予防に対する効果を専門家はどう考えているのか、見解をまとめてみました。

梅肉エキスの新型コロナウイルスに対する予防効果【消費者庁】

まずは、消費者庁の見解です。

消費者庁は、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に乗じ、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする健康食品、マイナスイオン発生器、空間除菌商品等(以下「ウイルス予防商品」という。)に対し、緊急的に景品表示法(優良誤認表示)及び健康増進法(食品の虚偽・誇大表示)の観点から改善要請等(別紙1)を行うとともに、SNSを通じて一般消費者への注意喚起(別紙2)を行いました。

「いわゆる健康食品(カプセル、錠剤、粉末等)【23事業者40商品】」の中に「世界的にコロナウイルスは猛威、ウイルス予防に梅肉エキス」があります。

※参照:新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について【消費者庁】

【補足】
消費者庁の見解は、商品の宣伝方法が消費者をその効果について誤認させる恐れがある点での「注意喚起」です。
そして、そのポイントは「根拠」があるかないか?

梅肉エキスには「ウイルス予防の効果を標榜する根拠がない」ということです。
ここで注意して頂きたい事は、「梅肉エキスにウイルス予防効果がない」と判断しているわけではないという点です。

「ウイルス予防の効果があるという根拠」がないので、「ウイルス予防」を標榜するのは、行き過ぎた広告だということです。

新型コロナウイルスにサプリメントは効果無し!【医科学コラム】

医科学コラムでは、上記の消費者庁の「注意喚起」を元に「新型コロナウイルスにサプリメントは効果無し!」と断じています。
※参照: 新型コロナウイルスとサプリメント 【医科学コラム No. 36 (2020 年 3 月)】

【補足】
医科学コラムは「効果なし」と断じていますが、前述の通り、消費者庁は効果の有無を判断しているわけはありません。
広告の内容に「根拠」があるのかを判断しているだけです。
「効果なし」は誤解を与える見解ではないでしょうか?

梅の効能~インフルエンザ予防効果【健康産業新聞】

健康産業新聞では、梅の効能として「インフルエンザ予防効果」などを取り上げています。

梅加工会社5 社の寄付により和歌山県立医科大学内に設置されている機能性医薬食品探索講座では、これまでに梅の効能として、インフルエンザ予防効果、糖尿病予防効果、動脈硬化抑制作用などを確認。

※参照:ZOOM UP【梅】コロナ禍で梅エキスに再注目!!【健康産業新聞】

【補足】
ここでは、新型コロナウイルスではなく、インフルエンザの予防効果です。
インフルエンザの予防効果があるからといって、新型コロナウイルスにも効果があるとは限りません。

唾液が新型コロナウイルスに有効?【木更津きらら歯科】

歯医者さんの記事から抜粋。

唾液には様々な効能があるが、その中でも抗菌作用が特に強い。
唾液に含まれる「IgA(免疫グロブリン)」という抗体の一種は、感染症予防効果はとても大きく、IgAの値が低い人は、かぜやインフルエンザにもかかりやすいということが明らかになっている。
唾液の抗菌作用は、新型コロナウイルスに対しても、有効だということが十分に考えられる。

※参照: 感染症予防の強い味方「唾液」のお話です。【木更津きらら歯科】

【補足】
唾液に含まれるIgAがかぜやインフルエンザ感染症予防に対する効果がとても大きいことから、新型コロナウイルスに対しても有効ではないかという見解です。
梅肉エキスと何が関係があるかというと、酸っぱい梅干しを想像するだけで唾がわくという唾(唾液)つながりで、直接、梅肉エキスの新型コロナウイルス予防効果を論じたものではありません。

また、唾液自体に新型コロナウイルス予防効果があるかどうかは不明です。

梅でインフルエンザを予防!【JA紀南】

紀州田辺うめ振興協議会では、和歌山信愛女子短期大学に研究委託を行い、「梅果実の機能性成分のウイルスに対する作用について」の研究結果について発表した。

「梅酢ポリフェノール」は、紀州産梅果実に重量比で約0.1%含まれており、梅干製造時に梅酢に約20%が抽出され、梅干しには、約80%が残存します。 インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス作用(ウイルス増殖抑制作用)、急速に感染性を失うこと(不活性作用)が明らかになった。

※参照:梅でインフルエンザを予防!【JA紀南】

【補足】
梅酢及び梅干しの抗ウイルス作用についての研究結果です。
抗ウイルスと言ってもインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス作用についてです。
インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス作用が確認されていますが、新型コロナウイルスの予防効果は不明です。

新型ウイルスの予防対策【蔵元 中野商店】

米酢の業者のブログから抜粋。

ウイルスの嫌いな食べ物は塩気と酸。
クエン酸(梅やお酢)などの強力な酸と塩を合わせ持つ物(梅干し等)に敵う
ウイルスはいない。
「梅干し」や「お酢」は副作用のない最強の天然抗生物質。
「デイズ貴醸」を熱いお茶で2倍に薄めてスプレーボトルに入れて口に噴射
すれば新型ウイルスだけでなく全てのウイルス対策の予防対策になるはず。

※参照:新型ウイルスの予防対策のご紹介【蔵元 中野商店】

【補足】
新型”コロナ”ウイルスではなく、「新型ウイルス」という表現をとっていますが、「新型ウイルス」が「新型”コロナ”ウイルス」を暗示していることは明らかです。
「梅干し」や「お酢」が「新型”コロナ”ウイルス」の予防対策になると主張する記事ですが、根拠があいまいです。

梅肉エキスは新型コロナウイルスの感染予防効果はある?【まとめ】

以上をまとめてみます。
結論から言うと、梅肉エキスに新型コロナウイルスの感染予防効果は確認できませんでした。

但し、梅干しを含む梅関連製品に特定のウイルスに対する効果は確認できました。

梅の効能~インフルエンザ予防効果

梅加工会社5 社の寄付により和歌山県立医科大学内に設置されている機能性医薬食品探索講座では、これまでに梅の効能として、インフルエンザ予防効果、糖尿病予防効果、動脈硬化抑制作用などを確認。梅の効能~インフルエンザ予防効果【健康産業新聞】

梅酢ポリフェノールの抗ウイルス作用

「梅酢ポリフェノール」は、紀州産梅果実に重量比で約0.1%含まれており、梅干製造時に梅酢に約20%が抽出され、梅干しには、約80%が残存します。 インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス作用(ウイルス増殖抑制作用)、急速に感染性を失うこと(不活性作用)が明らかになった。⇒梅でインフルエンザを予防!【JA紀南】